1月下旬にギター奏者の山下和仁さんが亡くなられたという訃報を聞いて,多くの音楽ファン同様,びっくりしました。1970年代,山下さんが10代だった頃から,オーケストラ曲をギター1本で演奏する驚異の編曲と演奏で多くの人を魅了。何となく「超人的な人」という印象を持っていたので,60代前半という若さで亡くなられたということが信じられない気持ちです。
その追悼の意味を込めて,我が家にあるCDを聞いています。まずはムソルグスキーの「展覧会の絵」とストラヴィンスキーの「火の鳥」(組曲版)を組み合わせた1枚。オーケストラの多彩な響きをギターで表現。精妙さと激しさではオーケストラ版以上かもしれません。2つの声部を1本のギターで演奏するたたり,「どうやっているのだろう?」という感じです。2重録音ならば可能だとは思いますが,リアルに1本で演奏している緊迫感が漂います。
山下さんの公式サイトに「展覧会の絵」を演奏している動画が公開されていました。
最初の方しか見ていませんが,これを見ると,よく「天才」と言われる山下さんですが,その一言では済まないような気がします。才能に努力や執念のようなものが加わらないと実現できないような演奏だと思います。
もう一つ持っているのが,中古CDとして何気なく買ったバッハの小品集です。こちらは2003年ころの録音です。
こちらもすべて山下さんのアレンジですが,「展覧会の絵」とは一味違う凄みが漂っています。曲によっては,音数は少なく,テンポも速くないのですが,その一音一音に魂がこもっている感じがします。バッハと言えば対位法ですが,メロディの線と線とが独立していながら,しっかりと絡み合っていく感じに聞き流せない凄みが漂います。
山下さんは亡くなられましたが,その演奏は不滅だと思います。個人的に聞いてみたいのは,ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の録音。独奏部をギターで演奏したものです。大昔,NHK-FMで聞いた記憶があるのですが,もう一度聞いてみたいですね。これを機会に追悼盤の発売を期待したいと思います。