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2023年10月8日日曜日

10月の連休,金沢市内はどこに行ってもイベント。金沢駅もてなしドーム下でいしかわ古書フェス2023に行った後,広坂周辺では日本酒+スイーツ。さらに市役所前でも別のイベント

今週末はスポーツの日が絡んだ3連休ということで,本日の金沢市内はどこに行ってもイベントでした。私の方は,金沢駅もてなしドーム下で行っていた,いしかわ古書フェスに行ったのですが,その後は金沢21世紀美術館で始まった新しい展覧会を観るために香林坊・広坂方面に行ってみると...日本酒+スイーツ。さらには市役所前でも別のイベント...これから11月にかけて,こういう感じの週末が続きそうですね。せっかくなので写真で紹介しましょう。

まずは,いしかわ古書フェス2023へ。



今年は次のような店が並んでいました。結局,3冊1000円分購入してしまいました。

その後,香林坊方面へ。香林坊地下道の真ん中に不思議なスペースができていました。

金沢21世紀美術館では,DXP(デジタル・トランスフォーメンション・プラネット):次のインターフェースへという展覧会が10月7日から開始
不思議なロボット(?)。これは無料スペースからもアクセス可能な場所からも観ることができました。

DXPの入り口。手前はレアンドロのプールですが,大賑わいでしたね。

展示室8の動画作品
こちらも同様ですが,動かない作品。写真で撮ると同じように見えるのが面白いところです。

展示室11。ゲームの画像を巨大化したような感じ。シリコーンでできた泡風呂(?)みたいな展示もあり,列が出来ていました。
展示室12には天井にクラゲのようなオブジェが多数。これを撮影すると,自分の頭の上に「とりつく」ような画像がモニターに表示される,という面白い作品。というわけで,どういう感じになるかは省略旅客します。
展示室14。360度スクリーンになっており,音に反応して映像が激しく動いていました。静かな時だとどういう映像になっているのか,今度別の時間帯に確認をしてみたいと思います。



レアンドロのプールの向こうは,当日券を購入しようという列。相変わらずの人気でした。

こちらは香取慎吾の展覧会。こちらも大変賑わっていました。

マイケル・リンによる市民ギャラリー横の壁。ここにもDXPの展示のモニターがありました。

21世紀美術館の方は,月末からは別の展示も開始。Chocolateというタイトルですね。

21美を出て,金沢市役所方面へ行くと...いつもの広場が芝生になっていました。

カーフリーデーというイベントを行っていました。公共交通機関を使いましょうというのがイベントの趣旨のようです。

北陸新幹線のプラレールが走っていました。

その後,四高記念公園方面へ。ここでは,金沢スイーツフェアを行っていました。
しいのき緑地の方では,サケマルシェ。昼間から大賑わいでした。
飲みたい気分はありましたが...眺めるだけにしておきました。
金沢城公園では,夕方からチームラボによる金沢城光の祭というのもやっているようです。少々料金は高めですが,話の種に行ってみたい気はします。

というわけで,コロナ禍前にほぼ戻った感じの秋の金沢でした。

2022年4月16日土曜日

本日は北陸音盤祭へ。懐古的な気分に浸れる中古CD5枚(975円)を購入。その後 #21美 で #BLUE と長期インスタレーションルームのAKI INOMATA Acting Shellsなどを鑑賞

 年数回,金沢市内で行っている北陸音盤祭の割引券付き案内ハガキが届いたので,今回も出かけてきました。会場は石川県教育会館。雨は降らない感じだったので,自転車で出かけてきました。

会場近くのしいのき緑地では,石川テレビのパンのイベントを行っており,結構長い列ができていました。

音盤祭の入口は,いつも通りこんな感じ。
本日は,2枚490円×2セット+280円という,バーゲン品ばかりを購入。割引券が285円あったので975円で済んでしまいました。本当は,朝ドラ「カムカム・エヴリバディ」にちなみ,ルイ・アームストロングが歌う「On the sunny side of the street」が入ったCDがないか探していたのですが,残念ながら見つかりませんでした。

購入したCDを紹介しましょう。

バーンスタイン指揮NYPOの「新世界から」は,中学生の頃に友人がLPレコードで持っていたものです。当時のジャケットでないのですが,無性に聴きたくなりってしまいました。コシュラー指揮スロヴァキアPOのベートーヴェンの「英雄」は...直観で購入(廉価盤だとこういうことをしたたくなりますね)。

ピエール・フルニエの無伴奏チェロ組曲とフェリックス・アーヨの無伴奏ヴァイオリンは,両方とも全曲ではありません。この辺も280円ならではです。こちらも直観的に「ドイツ語圏以外のバッハを聞いてみたい」と思ったものです。アーヨは,イ・ムジチ合奏団のコンサートだった人です。実はバッハのこの曲を朝のバロック音楽の番組で最初に聴いたのがこの演奏でした。何と気持ちの良い演奏だろう,と思った思い出があります。

最後は須川展也さんのサクソフォンによるエンニオ・モリコーネ集。OEKが時々演奏する,「ガブリエルのオーボエ」が最初に収録されていたので,これを目当てに購入。

とりあえず,気になるコシュラーの「英雄」を聞いてみたのですが,予想通り大騒ぎしないけれども,清澄な感じと味わい深さが同居したような演奏。第4楽章のコーダがとても遅いのも◎でした。

その後,金沢21世紀美術館へ。コレクション展のBLUEをもう一度観た後,長期インスタレーションルームで始まったAKI INOMATAのActing Shellsという展示を鑑賞。海の底に沈むの真珠貝の映像などを中心とした作品で,展示室の中は水中のような静かな気分でした。なぜかじっと貝の映像を見入ってしまいました。



金沢の桜は既に「葉桜」ですが,21美の桜は,ソメイヨシノではないものもあり,まだ咲いていました。ガラスを通してみると,「襖絵」のように見えるのも設計者の狙いなのかもしれません。写真で撮ると良い感じになります。


葉桜とはいえ,まだまだ見応えのある,21美の桜でした。


2022年3月21日月曜日

本日は,金沢21世紀美術館コレクション展「BLUE」関連プログラムとして行われた小林康夫さんによる講演会「青の美術史」に参加。少々難解な部分もありましたが,「青へのこだわり」を起点にポエジーが沸き上がってくる21美にぴったりの内容でした

本日は,金沢21世紀美術館で現在開催中のコレクション展「BLUE」の関連プログラムとして行われた小林康夫さんの講演会「青の美術史」に参加してきました。

「BLUE」という展覧会は,21美のコレクションの中から青色を効果的に使った作品を集めた展覧会で(非常に雑な説明ですが...),深く考えずに見ても,単純に面白いなぁと実感できるような展覧会だと思います。そのことに加えて,以前から小林康夫さんのお名前には馴染みがあったので(1990年代前半に話題になった東大のテキスト『知の技法』の編者として馴染みがありました),一度,お話を聞いてみたいと思い聴きに行くことにしました。

この講演会を聞いて,美術史的に見て青が特別な色だったこと,21美にとってもポイントとなる色であること,現代のアーティストの多くにとってもこだわりのある色であることが実感できました。そして,こんなに色々と深読みできるのだなぁと感心しました。色々な美術作品をじっくりと鑑賞してみたくなるような,刺激的な内容だったと思いました。

「講演会」ということでしたが,普通の講演会とは一味違っていました。まず最初に小林さんご自身が青について語っている過去の動画を流したり,途中からは「BLUE」の担当キュレーターの横山さんとの対談になったり,色々な「小道具」を持ってこられたり...「21美に来たからにはただの講演会にはしないぞ」という思いが溢れる内容だったのも素晴らしいと思いました。

今回,小林さんが講演されることになったきっかけは,小林さんが「青の美術史」という著作を書かれていること,キュレーターの横山さんが小林さんの教え子であるという「つながり」があったことによります。それに加え,小林さんと21美館長の長谷川祐子さんとのつながりもあります。小林さんが「青」に注目する原点となったのが,1992年に水戸芸術館で行われた「Another World」という展覧会でした。その担当キュレーターが長谷川さんだったそうです。というわけで,今回の講演会の「本当のタイトル」は「Another World, Again: 21世紀の「青の歴史=時間」のために」であることが,ここで明かされました。

講演に先だって流された動画の中で小林さんは,次のような「青についてのエッセンス」を語っていました。

  • 青は,「憧れの青」であると同時に「カタストロフィ的な恐怖の青」であり,二重のまなざしをもつことが必要
  • 青は色を越えた特別な色として機能してきた

・・・なかなか難しかったのですが,その後,小林さんのお話を聞いているうちに,その特別さが何となく理解出来ました。

講演会の内容は,当初予定していた美術史的な話は少なめにし,21美の恒久展示(コミッション・ワーク)の話や現在開催中の「BLUE」展に出品されている作品の話に焦点が当てられました。「本に書いたことはしゃべらず,21美の展示を見て何を考えたか」という学びのスタンスで話をしたいとのことでした。

ただし,「青の美術史」についての歴史的なお話も大変面白い内容でした。

  • 伝統的にラピスラズリなどの青の絵の具は高価で,1300年代のジョットの作品が原点
  • フラ・アンジェリコの「受胎告知」では,聖なる色としての青が聖母マリアの衣装に使われている
  • ロマン主義のフリードリヒの時代になると,ロマンティック・ブルーと呼ばれるようになり,絵画の中に個人の表現が入ってくる
  • 見ることを問い詰めたピカソの「青の時代」,新しい時代を開いたマティスの青と続き,イブ・クラインの「純粋にブルーだけ」の絵に至る・・・

といった,とても面白い内容でした。小林先生の「青の美術史」を読まねばという感じですね。ちなみに半年後,21美でイブ・クライン展を行うとのことです。今回のお話はその予告編にもなっていたと思いました。

実は「青の美術史」の表紙に使われているのは,
セザンヌの「サント・ヴィクトワール山」
この絵の話もうかがってみたかったですね。

後半は21美のコレクションの話になり,横山さんとの対談となりました。

まず,お2人のお話を聞いて,21美の恒久展示としてすっかりおなじみの,「カプーアの部屋」「レアンドロのプール」「タレルの部屋」は,いずれも青が強く関連していることを改めて実感しました。

カプーアの部屋の黒く見える部分(出っ張っているのか?引っ込んでいるのか?の部分)は,実は濃い青とのことでした。「闇としての青」ということになります。小林さんがこの作品について,「闇を通って,Another Worldから落ちてきた感覚」で観ることもできる,とおっしゃられていたのが面白いなぁと思いました。

レアンドロプールについては,神秘的な要素はなく,言ってみれば「ただのプール」ですが,もちろん水の色,空の色の青がポイントの作品です。

本日もレアンドロのプール周辺は賑わっていました。

タレルの部屋については,四角いキャンバスの中に空の青が見えるという点で,イブ・クラインのさらに先にある作品と言えます。

というわけで,実は,21美の隠しテーマは「青」だったのかも,という気にさせられました。

その後,「さらに次の時代のBLUE」という話になり,コレクション展「BLUE」に出品されている作品の話になりました。横山さんが「指導教員から諮問を受けているよう」とおっしゃられていましたが,この対話形式がとても面白かったですね。各作品のポイントを,一緒になって考えつつ,なるほどと実感することができました。

その中では,ローズマリー・ラングの「青空を背景に女性が宙に浮かんでいる写真作品」についての説明が印象的でした。この作品は,一度見たら忘れられない作品ですが,命がけで撮影しながらも,重力から解き放たれている点で「自由・解放」の象徴となっているといったコメントを聞いて,「なるほど」と思いました。

日本人アーティストの作品では,志賀理江子さんの「螺旋海岸」シリーズ(異次元世界とのつながりと”どこかBLUEの気配”のある写真作品),石田尚志さんによる「絵と窓を中心とした,時間の展開を表現したアニメーション作品」が紹介されました。この話を聞いた後だと,両作品ともずっと面白く鑑賞できそうです(ちなみに,会場に石田さんご自身も来られていました)。

最後に小林さんは21世紀における青の可能性として,「らせん」ということをキーワードとして挙げていました。この辺は,量子力学の話などもされていて,なかなか付いていくのが難しかったのですが,これからは,2次元,3次元といった時代ではなく,キャンバスという枠の中に押し込められることなく,渦を巻くように次々と出てくるような時間の感覚がベースになるのではといったことを語っていました。

最後,小林さんが昨日書いた詩を自身で朗読されて,講演会は締めくくられました。この日の講演会では,「青」に関する色々な考え方が紹介されたことに加え,アートな感覚を刺激するポエジーにも満ちていたのが良いなぁと思いました。少々難解な部分もありましたが,21美で聞くのにぴったりの内容だったと思いました。

BLUEのポスターの隣の冨安由真さんの展示
のタイトルは「蒼ざめた馬」
ということで,こちらも,しっかりと青つながりでした。









2022年1月10日月曜日

金沢は快晴。国立工芸館で「めぐるアール・ヌーヴォ展」を鑑賞。もともと日本の美術・工芸は「アール・ヌーヴォー」みたいなものなのだな,と実感。その後は21美へ。青空と白い壁面がぴったりマッチしていました。

 本日(成人の日)の金沢は,雲が全くない快晴。雪もほとんど残っていないので,午前中,自転車で国立工芸館に出かけてきました。昨晩Web予約したのですが,このスタイルにもすっかり慣れました。


観てきたのは「めぐるアール・ヌーヴォ展:モードの中の日本工芸とデザイン」というものです。
アール・ヌーヴォーを直訳すると,「新しい芸術」ですが,実質的には19世紀末から20世紀前半に流行した美術運動を指します。ミュシャのポスターのような,植物をあしらった曲線的なデザインが特徴でしょうか。トンボなどの昆虫や動物などもモチーフによく出てきます。100年以上前の「新しさ」ということで,新しさと古さが一体となっている点が魅力だと思います。

陶器などの工芸作品に加え,リトグラフのポスターも沢山展示されていましたが,このリトグラフのざらっとした暖かみのある質感も好きです。

展示室は3つに分かれていましたが,実用品として欲しくなる感じの作品も多いなと思いました。例えば,次のような棚が展示されていました(今回の展示では,撮影OKの展示物と不可の展示物が混ざっていました)。

書類棚ということで,シャーロック・ホームズの部屋にありそうと思いながら観ていました(現在,NHK-BSPで再放送中です。)。

次はエミール・ガレの作品。少し茶色っぽい感じのガラスが良い感じでした。

杉浦非水による「三越百貨店」のポスター。当時の「新しさ」が今では「レトロ」と感じられます。

展示室の途中の休憩コーナー。この椅子のデザインも,建物の雰囲気によくあっています。

花がデザインされた皿。水の流れなどの動きが感じられて良いなと思いました。背景にあるのは,杉浦非水による「百花譜」の一部です。

国立工芸館の展示ケースのガラスは透明度が高く,枠もないので,とても見やすいですね。(その分,頭をぶつける人も...本日も数人みかけました)。しっかり間近で見られるのが大変贅沢だと思います。

今回の展示を観て感じたのは,もともと日本の美術・工芸には「アール・ヌーヴォー」みたいなものなのだなということです。松田権六とか石川県でもおなじみの作家の作品と違和感なく並んで展示されているのが良いなと思いました。

といった感じで展示を観終わりました。次の写真は,国立工芸館から出たところです。毎回,展覧会を観終わった後,少し高い位置から,この景色を観るのがとても好きです。

せっかくの好天だったので,広坂を降りて,金沢21世紀美術館のコレクション展「BLUE」なども眺めてきました。この美術館にも青空が似合います。白い壁面とぴったりマッチしていました。


タレルの部屋から見る空にも雲がまったくありません。

「雲を測る男」にも測るべき雲がありません。

21美を観た後は,兼六園と石川門の前を通り抜けて帰宅。

いかにも「絵はがき」という感じの写真になりました。

お土産は,国立工芸館で買った,杉浦非水デザインの植物の入ったクリアファイル。背景にも植物が描かれているのもよい感じでした。「ヌー坊主式」という文字が入っているのは,この展覧会の解説(無料)。とても充実した内容だったので,今から読んでみようと思います。