9月2日に俳優の吉行和子さんが亡くなられたという訃報がありました。吉行さんは、岩城宏之さんが音楽監督だった頃からオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の「応援団」として、プログラムにずっとお名前が掲載されていました。
ここ数年はOEKとの共演はありませんでしたが、グリーグの「ペール・ギュント」と武満徹の「系図」のナレーターとして実演を聴いたことを思い出します。このうち「系図」の方は次のとおりCD化されています。
| 三善晃さんの作品とのカップリング。 その曲でピアノを演奏している木村かをりさんのサイン入り。 |
この曲はもともとは大編成オーケストラのための曲ですが、この時は岩城さんがOEK用にアレンジした版で演奏されました。谷川俊太郎さんの詩は「むかし、むかし」で始まりますが、吉行さんのちょっとハスキーな声で聞くと、おばあさんが昔話を読み聞かせるような雰囲気になります。淡々とした中に温かみのある語りを聞くと落ち着きますね。岩城さん指揮もあっさり気味ですが、やはりその中に滋味深さが漂っています。個人的には、あまりにも情感たっぷりの朗読を聞くと...ちょっと引いてしまうようなところがあるので、この曲についても、「これぐらいの感じ」がちょうど良い気がします。というわけで、私にとってのこの曲の定盤がこの演奏です。
その他、色々OEK関連の資料を調べてみると、次の本の中にエッセーを書かれているのを見つけました。
「ペール・ギュント」の時の写真も掲載されていましたが、「9月6日=岩城さんの誕生日で、ハッピーバースデーの音楽を聞いたなぁ」と思い出しました。やはり、紙の本やCDなど、形のあるものの方が懐かしさが増すものですね。