2017年4月23日日曜日

NHK #らららクラシック ベートーヴェンの「英雄」交響曲の魅力は他にも色々ありそう。やや物足りない内容でした。

NHKの「らららクラシック」の司会者や構成がガラっと変わりました。金曜日の夜に放送時間が変わったので,録画で観てみたのですが...ベートーヴェンの「英雄」の回は,やや物足りない印象を受けました。

「英雄」の特徴として,第1楽章冒頭のジャン,ジャンと主和音を2つ強くならした後,それを分散和音にした「ドーミドーソ...(移動ド唱法です)」の主題が続き,このモチーフを色々な形で表現して積み重ね,一体どこへ行くのだろう?と思わせながら,最後は大きな交響曲としてまとめる,ということを説明されていました。

なるほどと思ったのですが,このモチーフを積み重ねて行くとか,どこへ行くのだろうと不安に思わせるというのは,「英雄」に限らず,「運命」をはじめとして,ベートーヴェンの多くの名曲にも当てはまると思います。ソナタ形式の展開部というのは,「そういうもの」だと思います。

「英雄」の第1楽章の特徴としては,当時としてはかなり大胆な不協和音を使っていたり,強烈なスフォルツァンドが指定されていたり,3拍子なのに2拍子的になるヘミオラの部分があったり,コーダが非常に長かったり,という部分の方が,この曲らしいのではないかと思います(それ故に,第2交響曲から大きな飛躍があったと言われていますね)。さらには当時のトランペットの性能のことも触れて欲しかったと思います。

また,ほぼ第1楽章の説明しかしていなかったのも物足りなかったですね。「英雄」の聞きどころといえば,第2楽章のオーボエとか,第3楽章のトリオのホルン三重奏とかは欠かせないと思います。第4楽章の変奏の主題は,ベートーヴェンの他の曲からの借用で,お気に入りのメロディだったということも定番ではないかと思います。

というわけで,30分番組とするには,「英雄」はやや聞きどころが多過ぎるのかな,と思った次第です。個人的には,前の司会者の加羽沢さんの分析と説明がとても好きだったので,残念に思っています。