数日前に発行された,作家・村上春樹さんによる,クラシック音楽のLPレコードへの愛のあふれた本を買ってきました。次の本です。
古くて素敵なクラシック・レコードたち/村上春樹著.文藝春秋,2021.6
形はLPレコードをコンパクトにしたような,ほぼ正方形。透明のケースに入っており,さらにビニールで包まれていたので,立ち読みはできなかったのですが,「村上さんの書くクラシック音楽についての文章なら面白いはず」ということで,税抜2300円とやや高額でしたが,即購入。
まだ全部読んでいないのですが,村上さんが所蔵するクラシック音楽のLPレコードについて,曲ごとに複数のレコードをジャケット写真付きで紹介するものです。1つの曲に4,5枚ずつ紹介されている感じで,村上さんの「ハマり具合」がよく分かります。
いちばん最初に出てくる「ペトルーシュカ」は次のような感じです。LPレコードということで,1980年代以前の録音ばかりです。その点でタイトルの「古くて」という表記は合っています。それにしても,LPジャケットは縮小された写真を眺めているだけでも楽しいですね。
村上さんのレコード選びのポイントは,「ほぼジャケ買い」とのことですが,書かれている文章は,各録音について非常に的確に紹介をしており(聞いたことがない録音ばかりなので,的確かどうかは推測ですが,とてもバランスの良い記述だと思います),村上さんと同じ音源をたどるように聞いてみたくなります。
そもそも村上さんの本職は,小説家。そして音楽面での「本職」はジャズ。クラシック音楽については,「自分の好みに徹して,好きに書ける」というスタンスで書いているように思えます。それが読みやすさにつながっていると思います。
村上さんがLPレコードを好む理由として,モノとしての魅力と手間を掛けると音が良くなることを上げています。コロナ禍の中,オンラインで情報に接することが多い中,自分好みの実体のあるモノに触れたり,音質向上にこだわりを持って接したりすることは,「癒し」的な効果もあるのではと思います(帯の文章に,その辺が書かれています)。
この本は,やや変わった大きさ。LPレコードの雰囲気を出そうとしている感じです。CD(ブルーノ・ワルターの「田園」)の大きさと比較してみたのが次の写真。
というわけで,同じ音源はほとんど持っていませんが,1項目ずつ,クラシック音楽のCDを聴きながら,じっくりと読んでいきたいと思います。