2025年9月10日水曜日

露口茂さんをしのんで,グラナダ・テレビ製作「シャーロック・ホームズ」シリーズのオリジナル・スコアのCDを聴いています。そのつながりでケネス・シリトの演奏を探してみました

先日,俳優の露口茂さんが4月に亡くなられていたという訃報がありました。

露口さんといえば,やはり1970年代の人気ドラマ「太陽にほえろ!」の刑事役のイメージが強いのですが,さすがに50年も前の作品(このことにも驚いていますが)。我が家では,英国グラナダ・テレビ製作の「シャーロック・ホームズ」シリーズ(ただし,こちらも40年ほど前の作品ですが)でのシャーロック・ホームズ役の吹き替えの印象が強いですね。

このグラナダテレビ版は「本物感たっぷり」の雰囲気のある映像の素晴らしさに加え,主役ジェレミー・ブレットが唯一無二のはまり役。そしてその声を日本語に吹き替えていた露口さんの声も「これ以外考えられない」はまり役だと思います。現在に至るまで,NHKのBSなどで何回も何回も再放送されていますので,露口さんの声も永遠だと思います(考えてみると吹き替え版でしか観たことがないかも)。

最近気づいたのですが,我が家のCD棚にこの「シャーロック・ホームズ」シリーズの音楽を集めたCDがあるのを発見しました。私が買ったものではなく家族が買ったものだったので見落としていました。帯には「サウンド・トラック」と書かれていますが,データによると1987年録音。年代的には,放送で使っていた音源ではなく,オリジナル・スコアを使った独自の録音のような気がします。

番組のテーマ曲になっている,ヴァイオリンソロのメロディが何と言っても有名ですが(この曲のスコアが解説に付いているのも良いでですね),その他の曲もこのテーマのバリエーションのような感じで,「ホームズの主題による変奏曲」といった趣きがあります。ヴィクトリア朝の英国ムードに浸るには絶好の1枚だと思います。

さてこのCDで主題のヴァイオリンを演奏している人ですが,ケネス・シリト(シリートとかシリトーとか表記に揺れがありますが)という人です。「この名前とこかで聞いたことがあるな?」と思い調べてみると,ガブリエリ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者だと分かりました。ガブリエリ弦楽四重奏団の演奏では次のCDを持っていました。



シア・キングバセットクラリネットジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団,そしてガブリエリ弦楽四重奏団による,モーツァルトのクラリネット協奏曲五重奏曲を組み合わせた録音です。英国のHyperionというレーベルから出ているもので,録音時期は偶然ですが,ホームズの初回の放送が始まったのと同じ頃です。このレーベルは風景画などオーソドックスなデザインのジャケットが多いのですが(このオーソドックスな感じが気に入っています),このCDでのシア・キングのバセット・クラリネットの演奏もとても律儀で,安心して聞ける1枚です。

もう一つはヤナーチェクの室内楽を集めた録音。2枚組のCDでヤナーチェクの室内楽が全部聞ける,ということで買ったものです。まとまりが良すぎかなという感じはありますが,こちらも私にとっては定番の一枚。ケネス・シリトさんの独奏は,ヴァイオリン・ソナタの演奏で楽しめます。


というわけで....露口茂さんから遠く離れてしまいました。音楽を通じて色々なつながりを探し,辿っていくのは楽しいものです。