本日の午後は,とてもさわやかな気候になったので,金沢歌劇座の大集会室で行われた金沢ふるさと偉人館開館30周年記念講演会「木村栄でつなぐ過去と未来の天文学」に参加してきました。実は小学生の頃から結構天文学好きで,「発明」「発見」とか「偉人」といった世界が大好きでした。木村栄(ひさし)の名前もその頃から知っていたのですが,金沢市出身の方でありながら,実はちゃんと知らないので,「この機会に...」と思い聴いてきました。
この日は講演会豪華2本立てで,参加費500円も必要だったのですが,どちらも大変楽しい内容でした。最初に登場されたのは,国立天文台水沢VLBI観測所所長の本間希樹さん。「緯度観測からブラックホールへ:木村栄から始まる水沢の天文台の過去・現在・未来」と題して,木村栄が発見した「Z項」のこと,木村の四高時代の恩師・北条時敬(ときゆき)のこと,ブラックホールとは何か?そして,人類初のブラックホールの「撮影」の話...などがスライドを交えて紹介されました(ちなみに名称は変更になっていますが木村栄が水沢の観測所の初代所長です)。
やはりブラックホールの話が面白かったですね。ブラックホールというのは,「究極の”のんべえ”である」という説明が面白かったですね。光・時間などあらゆるものを「どれだけでも飲み込んで絶対に吐かない」とのこと。飲み込まれるギリギリまで近づいて,見てみたいものです。そして「飲むと回りは明るくなる(明るいお酒)」とのこと。ブラックホールの写真と呼ばれているドーナツのような写真も,「ブラックホールの影」というのが正しいようです。
この「影」の写真によって水沢の街も盛り上がり,ブラックホールのお菓子も次々登場しているそうです。「ブラックホールの可視化」に続き,「ブラックホールの”菓子化”にも初めて成功」というジョークも最高でしたね。「もっと知りたい」という内容でしたので,偉人館で販売していた,本間先生のサイン入り本を購入してしまいました。実は「お菓子」の方は,以前に既に購入済で,ラベルだけ残っていたので一緒に撮影してみました。
後半は国立天文台上席教授 渡部潤一さんによる「木村栄と宮沢賢治:同時代の二人が為した天文学と天「文学」」と題した講演でした。渡部先生のお名前と顔は,以前からテレビなどで知っていましたが,今回は「岩手県つながり」で宮沢賢治と木村栄についてのお話でした。この2人の生きた時代が戦争続きの激動の時代だったこと,2人には接点があったことが紹介された後,最後の方は,宮沢賢治作品に出てくる天文学の記述の正確さについての話になりました。
この最後の部分では,実際の賢治の文章も多数印象され,渡部先生が,天「文学者」でもあることが分かりました。ただし,この部分の内容は渡部先生の最新の著作『賢治と「星」を見る』にもっと詳しく書かれている内容。実はこの本の方は,「サイン入り」に引かれて,既に購入済でした。ようやく過ごしやすい気候になってきたので,講演会の内容と重ね合わせながら,この2冊を読んでみたいと思います。
さらに今回素晴らしかったのは,講演会に参加した人は偉人館にも入場でき,グッズの抽選会にも参加できるという特典。せっかくなので参加してきたところ...Z項がデザインされた巾着が当たりました。
講演会後の偉人館は大盛況。「ブラックホールの可視化...ならぬ菓子化」コーナーも本間先生のPRが素晴らしく,盛況でしたね。
といわけで,30周年記念に相応しい,楽しく勉強になって,サービス満載の企画でした。