音楽之友社には,以前,「ON BOOKS」という新書サイズのレーベルがあり,”音楽鑑賞之友”としてよく読んでいました。そのレーベルがリニューアルされ,ON BOOKS advanceとして3冊が発行されました。
そのコンセプトは,クラシックの特定の名曲について,「総論,楽曲の魅力」「楽曲解説」「演奏史・録音史・名盤」の3部構成で極めてもらうというものです。1冊1200円(税抜)ということで,やや高めの印象ですが,「こういうシリーズが読みたかった」という気持ちがあったので,ご祝儀気分で一気に3冊購入しました。
取り上げられている曲は,ベートーヴェンの第9(相場ひろ著),ストラヴィンスキーの「春の祭典」(満津岡信育著),ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」(広瀬大介著)の3曲です。個人的には「トリスタン」はほとんど聞いたことがない曲なので,この本を読みながら聴いてみたいなと思っています(CDなども持っていないのですが)。
ざっと読んでみた印象としては,LP,CDなどの音盤の解説書が発展した感じかもと感じました。現在,インターネットでの配信で色々な曲を気軽に聴けるようになった代わりに,解説を読みながら深く楽しむということが出来にくくなってきています。その辺のニーズに応えるシリーズとも言えそうです。そういえば,音楽之友社の雑誌「レコード芸術」の特集記事にも,以前,こういう感じの記事があった気がします。それを発展させた感じかもしれませんね。
さて,かつてのON BOOKSですが,私自身,1970年代中頃からよく読んでいました。いちばん最初に買ったのが,諸井誠さんの「交響曲名曲名盤100」でした。その頃,諸井さんはFM番組の解説者としてもよく出演されていたので,「今の私を作った5冊」の中の1冊と言えそうな本です。その後,この本について「PDF化したら便利かな」と思い,裁断してスキャンしてあるのですが...今となって思えば,そのまま紙で持っておけば良かったと後悔しています(PDFの方は,すっかり埋もれてしまっています)。
紙で残っているON BOOKSを調べてみると,次のようなものが出てきました。
諸井誠さん以外にも,長岡鉄男,黒田恭一など懐かしいお名前です。茂木大輔さんの本は比較的新しめです(なぜか「続」しか出てこなかったのですが,正編も持っていたはず)。というわけで,タイトルを眺めているうちに,ON BOOKS自体,復活して欲しいなという気になってきました。
そしてもひとつは,ON BOOKS SPECIALというシリーズ。
すべて古本で購入したのですが,いつの間にか「ほぼコンプリート」になっていました。今回のadvanceは,このシリーズの発展形とも言えそうですね。
というわけで,このシリーズで今後どういう曲が取り上げていくのか楽しみにしています。