本日「海の日」の午前中は,国立工芸館の展示を観た後,室生犀星記念館と金沢能楽美術館に行って,それぞれの展示を観てきました。ちょっとした観光客気分を味わってきました。
国立工芸館でやっていたのは,「こどもとおとなの自由研究 工芸の〇△□×展」という,少々変わったタイトルの展覧会でした。
夏休み向け企画なのですが,「作品の中の〇△□×を見つけながら観る」というのは,大人の人が観ても参考になる見方ですね。工芸作品の見方は自由なのですが,あえて”テーマ”を持ってみると,より楽しく観られるということも事実だと思います(数学の図形の問題を解くのに補助線を入れてみる感じでしょうか)。ただし...そもそも工芸作品は,幾何学的な形や文様を楽しむものなのだなと改めて思いました。
色々な時代の色々な素材の作品が入り混じっているのも面白かったですね。100年ぐらい制作時期が違う作品が隣り合っていても,見た感じどちらが新しいのか分からなかったり,まったく違和感がなかったり...この「古くならない」「新しく見えない」感じが工芸の面白さなのかもしれません。
金属製のルービックキューブみたいのもまざっていますね。 21美あたりにあっても不思議がないような作品でした。 |
同心円状のガラスの皿の不思議な色合いが魅力的でした |
〇△□とは別に表情が良いなぁと思いました。 |
休憩スペースにあった椅子。21美にある「人気の椅子」の子供バージョンのようです。 |
最後に特別陳列として,人間国宝に認定された染織家・北村武資さんの織物が最後のコーナーにずらっとタペストリーのように展示されていました。このコーナーも見応えがありました。品の良い豪華さを実感できるスペースになっていました。
工芸館の外に出て,駐輪場に向かう途中,次のようなものを発見。これは美術作品ではないのですが,〇と□が沢山組み合わさっているなぁと感じました。
その後,犀川を渡って,室生犀星記念館に行ってきました。
今年は犀星没後60年の年ですが,それに加えて犀星の友人でもあった萩原朔太郎没後80年にもあたるということで,「詩の双生児:君は土,彼は硝子」という展示を行っていました。7月16日にスタートしたばかりの展示でした。
この展示のタイトルは,2人ともと関連の深い詩人・北原白秋の言葉です。「土」の方が犀星で,「硝子」の方が朔太郎ということで,キャラクターは全然違うのですが,共鳴する部分があったようで,生涯に渡っての親友になります。その2人の関係を,時代を追って作品や手紙などでたどっていくという内容でした。
2人は,それぞれ第1詩集「愛の詩集(犀星)」と「月に吠える(朔太郎)」を同じような時期に刊行します。それぞれに白秋の序文があり,跋文(あとがき)では,お互いが文章を寄せているというのが面白いですね。両方ともきちんと読んだことはないのですが,一度読み比べてみたいと思います。
図書コーナーにこの2冊が並んで展示されていました。 |
展示を観た後は,せっかく犀星記念館まで来たので,家族へのお土産も兼ねて,犀川大葉近くにある店で和菓子を購入。
その後,金沢能楽美術館へ。ここでは,「能楽 FOUR SEASONS:春・夏編」という展示を行っていました。
能楽の演目については,ほとんんどが春夏秋冬のどれかに分類されるそうで,季節感の表現が重要な作品の要素になっています。今回の展示では,「加茂」という作品の面や装束が展示されていました。
この中で印象に残ったのが, 「節木増(ふしきぞう)」という鼻の横に小さな傷がある女の面でした。何か妙に印象に残る面でした。一度舞台で観てみたいものだと思いした。。
本日めぐった3つの施設は,いずれも入場料は300円以下という廉価でした(犀星と能楽の方は割引券を持っていたので260円になりました)。コロナ禍の影響もあり,なかなか北陸3県以外にまで出かける気分にならないのですが,それを逆手にとって,地元の美術館・博物館めぐりをするのまた一興かなと考えているところです。