コロナ禍の方はまだまだ警戒が必要ですが,仕事の方が一段落したこともあり(+3連休),今週末はリラックスした気分で過ごしています。本日は天候も良く,金沢市内の雪も減ってきたので,自転車で石川県立能楽堂まで行き,「冬の観能の夕べ」公演を観てきました。
能楽堂の駐車場の隅には大きな雪山が残っていました。 |
能楽堂の外装は工事中のようでした |
演目と主な出演者は次のとおりです。「夕べ」といいつつ,14:30開始でしたが,約2時間,ボーッと非日常の世界に浸ってきました。
冬の観能の夕べ(2022年2月12日(土)14:30~ 石川県立能楽堂)
- 仕舞「鵜之段」(島村明宏)
- 狂言「酢薑(すはじかみ)」(酢売り:炭哲男,薑売り:炭光太郎)
- 能「三輪」(シテ:佐野玄宜,ワキ:北島公之,間:能村晶人)
今回はかなり前の方の座席だったこともあり,出演された方々の声の迫力をしっかり味わうことができました。
終演後に撮影 |
仕舞では,島村さんの素晴らしい声と地謡(3人)の声の遠近感が面白いなぁと思いました。リードヴォーカルとバックコーラスのような感じだな,と勝手に思いながら聴いていました。
狂言は「薑(はじかみ;生姜)売り」と「酢売り」の二人が登場し,前半は売り場を争うのですが,最後には意気投合するという展開です。途中,薑売りの方は,「から(辛)」という音の入る言葉を連発,酢売りの方は「す」の音の入る言葉を連発。この「から尽くし」「す尽くし」の言葉遊びの応酬が楽しかったですね(何となく「ギョ」を強調する「さかなクン」の会話に似ているな,と思いながら聞いていました)。最後は生姜と酢は料理の相性も良いので,明日から相商い(タイアップということか?)にしようといって,豪快に笑って終了。
能「三輪」は,1時間以上かかる作品でした。和州(大和の国)三輪に住む,玄賓(げんぴん)僧都(ワキ)の草庵に,いつものように水を汲みに来る中年の里の女(前シテ)が現れます。この女性が罪をお助けくださいと言った後,寒くなってきたので玄賓の衣を申し受けて去ろうとします。その去り際に住処を明かし,三輪山の杉の木が目印と言い置きます(中入)。
後半の最初,ワキの方の台詞が入りましたが,その張りのある声が良いなぁと思いました。オペラで言うところのアリアのようなものだと思いました。その後,杉の木の陰から,美しい女体の神(後シテ)が烏帽子・狩衣の男装で登場。前半から,舞台中央に「可動式フィッティングルーム」のような,結構大きな「作り物」が置いてあったのですが,その中から後シテが登場する辺りが大きな見どころだったと思います。
現代の感覚だとちょっとピンと来ないのですが,美しい女の神様が男装をしているという設定がポイントなのかもしれません。衣装は金色ぽい感じで,とても鮮やかでしたので,作り物の中から登場した時は,「拍手したい」と思うくらいでした(冬の観能の夕べのポスターのメインビジュアルが「三輪」でした)。
その後は,天の岩戸の前で神々が舞った神楽を再現します。この曲の鳴り物には,大鼓,小鼓に加え,笛と太鼓も入っており,この神楽の場面では,予想以上に熱い音楽がかなり長く続きました。神々しさと生々しさ,冷静さと華やかさが共存したような感じはとても見応えがありました。特に後半での陶酔感が素晴らしい作品だなぁと感じました。
というようなわけで,折に触れて非日常的な空間に入ってみたくなります。このシリーズの入場料は1000円ということで(当日券は1200円です),また時間があれば,観に来たいと思います。
終演後。16:30頃でしたが,まだまだ明るかったですね。 |