2021年10月24日日曜日

本日の金沢は快晴。午前中は「これ鉛筆画です。」のキャッチコピーに釣られ,21美で「吉村芳生展:超絶技巧を越えて」を鑑賞。常軌を逸したすごい作品の数々。しいのき緑地で「里山ジビエ弁当」をテイクアウト。

 本日の金沢は快晴。絶好の行楽日和だったので,午前中,金沢21世紀美術館に出かけ,昨日から始まった「吉村芳生展:超絶技巧を越えて」を観てきました。会場は「市民ギャラリーA」。21美主催ではなく,北國新聞主催の展覧会です。

というわけで,色々な場所でチラシや紹介記事を見かけたのですが...やはり「これ鉛筆画です。」というキャッチコピーのインパクトがすごいですね。「本当に鉛筆画?見てみたい」という感じになります。開館直後の午前10:00過ぎに行ってみたのですが,会場には既にかなりの数のお客さんが入っていました。

吉村芳生という画家の名前を知ったのは今回初めてでしたが,とにかく,その地道な作業が生み出した迫力に圧倒されました。心底,鉛筆や色鉛筆だけで描くのが好きなのだなぁという「思い」が伝わってきました。

吉村さんの絵は,遠くから見るととてもクリアで鮮やかなのですが,間近で見ると(お客さんのほとんどが,ぐっと作品に近寄って見ていました),手書きならでは柔らかさがあり,確かに手で書いたという筆致が感じられます。デジタルを越えているなぁと思わせる作品の数々でした。

作品の種類としては,「植物を描いたもの」「自画像」「新聞の紙面を描いたもの」の3つぐらいに大別できます。大まかに言うと,植物画は,絵を売ってお金を稼ぐための作品。自画像(実際の新聞の紙面の上に自画像を描いた作品も多数)の方は,自分が真に描きたい作品という位置づけになっているようです。が,晩年になると,そういった区分を超越してしまっているように感じます。

新聞をモチーフとした作品の中には,新聞の紙面の細かい文字も全部手書きしているものもあり,「常軌を逸してる」などと思ってしまいました。何というか「アーティストの性(さが)」のようなものが伝わってきました。

チラシのメインビジュアルになっている「藤」を描いた大作は,東日本大震災の後,その犠牲者を追悼して描いたものです。この作品を観ながら,数年前に同じ21美で観た池田学さんの細密画の超大作(こちらはボールペンで描いたものでした)のことを思い出しました。こちらも震災がモチーフになっていました。あの震災は,アート面でも大きな影響があったのだなと改めて思いました。

最後の絶筆になった作品のみ,撮影可でした。

というわけで,間近でじっくり筆致を見るとすごさが分かる作品でしたが(印刷物だと完全には伝わらない),やはり記念のグッズも欲しくなり,出口付近のショップでクリアファイルを購入。震災の犠牲者のことを思い浮かべながら,一つ一つの花を描いたと作品解説には書かれていましたが,そういう思いが作品となって多くの人に拡散していくのもアートの力なのかもしれません。

その後,21美のコレクション展をざっと鑑賞(新しく始まった展示の「Feminisms」の方は,心してみないといけないような感じでしたので,また別の日に)。こちらの方にも大勢のお客さんが入っていました。



ゲルハルト・リヒターの作品(撮影可)。見慣れるうちに好きになってきた作品です。

雲を測りたくても雲がない...ぐらいの素晴らしい快晴でした

その後,しいのき緑地へ。「いしかわ食のてんこもりフェスタ2021」というテイクアウトの食品を販売するイベントを行っていました。


一回りした後,久しぶりにカレーも良いかなと思い,ぶどうの木の「里山ジビエ弁当」を購入。自宅に持って帰って食べました。


しいのき緑地の横のアメリカ楓の方も「紅くなりかけ」。来週の金沢マラソンの頃には,結構見頃になっているかもしれませんね。
本日の天候同様,穏やかに過ごせることが何よりの幸福だなと感じています。