今週のNHK朝ドラ「エール」の締めは「高原列車は行く」。一度聞けば覚えられるようなこの曲は古関メロディの中でも一番人気の曲ですね。
今年買った,古関メロディのベスト盤では,この曲が人気投票1位になっています (福島民報主催ということもあるかもしれませんが) |
昭和29年の曲ですので,私の場合は「ほぼクラシック音楽」として聴いてきました。何というか,聞けば聞くほど,良くできた曲だなぁと感じさせる曲です。せっかくの機会なので,この曲のどこが良いのか?その魅力を分析してみました。
「汽車の窓からハンケチ振れば」と滑らかに始まった後,このメロディを「牧場の乙女が花束投げる」でしっかり受ける。まず,このフレーズとフレーズのキャッチボールが完璧ですね。曇りのないハ長調の曲ですが,途中一か所半音が入るのも効いています。
その後,「明るい青空,白樺林...」とメロディが,列車の外の明るい景色が流れて行くように次々と湧いて出てきます。惜しげもなくメロディが続く感じが,何とも言えず贅沢だと感じます。
そして最後「ランラララー,ララ,ランランランランランーラー」と低いドから高いミまで1オクターブ以上上っていくのがワクワクさせてくれます。このミの音は素人が歌うと結構苦しいのですが,妙に挑戦したくなります。もう一度,「高原列車は」と高いミの音が出てきた後,「ランララララー」と下がっていく楽し気な脱力感も絶妙です。
古関さんが素晴らしいのは,編曲も行っている点で,前奏は列車のリズム。間奏には汽車の警笛を思わせる音が出てきます。
言葉的には「ハンケチ」「牧場」「乙女」といったのが,ほぼ現在は使われない言葉で,「ランララララー」という歌詞も,歌うのはかなり恥ずかしいのですが,曲の魅力が勝っていて,「口ずさまざるを得ない」感じにさせてくれます。こういう衒いのないメロディを付けられるのが古関さんの素晴らしさだと思います。
というわけで,私にとってもこの曲は最高の1曲と言える曲です。
ちなみにクラシックのテノール歌手の五郎部俊朗さんという方が懐メロを歌った「歌は美しかった」というCDも持っているのですが,その1曲目も「高原列車」です。この曲は,1曲目に相応しい曲ですね。