この連休は,県境を越える観光客の移動が活性化したようで,絶好の行楽日和ということもあって,金沢市内の人通りも増えていました。私の方も「GO TO 金沢」ということで,金沢21世紀美術館で昨日始まった展覧会「ミヒャエル・ボレマンス,マーク・マンダース|ダブル・サイエンス」を観てきました。
この展覧会は,それぞれベルギーとオランダ出身のアーティスト,ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースの作品を21美の展示室に混在させて展示する「二人展」です。
ボレマンスの作品は,「伝統的なバロック絵画の技法」(チラシの説明です)で描いた結構写実的な肖像画などが中心でしたが,その作品の持つ空気感には,常にどこか不穏なムードが漂っていました。顔に仮面のようなものを付けていたり,背後から描いていたり,不思議な角度から描いていたり,色合いにどこかメタリックな感じだったり...観ていて「何か嫌な感じかも」と思わせる作品ばかり。
マンダースの方は,モアイ像を思わせるような「ドーンと顔だけ」といった彫刻が中心でした。こちらも,彫刻の真ん中に板状のものをバシッと入れ込んだり,わざと破壊されたような感じにしたり,一体何を意図しているのだろうと思わせる作品ばかり。観ていて不安にさせるような作品を,いかにも壊れそう,崩れそうという感じの置き方をしているのですが,作品自体は圧倒的な存在感や重さがあるというアンバランス。
光庭に置かれたマンダースの彫刻 |
この一癖も二癖もありそうな2人の作品を21美の空間の中に組みわせて配置する,という「21美ならでは」の展覧会となっていました。両者に共通するのは,伝統的な絵画技法や素朴な質感など,ヨーロッパのアートの伝統をベースに,「何だこれは?」というよく分からない世界を築いているだと思いました。コロナ禍でなければ,この両アーティストによるトーク・イベントなどもあったのかもしれません。個々の作品の背後にあるストーリーや2人の作品の組み合わせ方の意図ななども知りたくなってきます。が,勝手に想像する。それもまた良いのかもしれません。
いずれにしても21美の「白くて開放的な空間」に合わせてカスタマイズしたようなこだわりの展覧会だと思いました。閉塞感のある日常を離れるには,遠くに旅行しなくても,アートの世界に入り込めば良いのかもしれませんね。
この日の21美はコロナ禍後,最大の賑わいだったかもしれません。「人は集まって,あれこれ共有したいものなのだなぁ」と思いました。
屋外展示周辺は,いつも以上に賑わっていました。
代わりに別の店で,「金沢野菜のピクルス」を購入。
最後は,石川門の上の秋空。自転車で移動するのに最適の一日でした。