2020年8月22日土曜日

8月の土曜日夕方は,#石川県立能楽堂 恒例の #観能の夕べ。本日は #宝生流 宗家 #宝生和英 さんが登場する能 #田村。前半の童子から後半の坂上田村丸へ。若いエネルギーと躍動感に引き込まれました。楽器の演奏も澄んだ力強さを感じました。素晴らしかったです

今年の8月はあまり出かける場所がないこともあり,土曜日の夕方は,石川県立能楽堂夏季恒例の「観能の夕べ」を観に行っています。これで3週連続ということになります。本日の目当ては,宝生流宗家,宝生和英さんが登場する能「田村」でした。入場料も通常よりは高い3000円でしたが,宗家・和英さんの動作と,そのまわりに漂う空気感にすっかり魅せられました。

前半の童子(リアルに少年のように見えました)から後半の坂上田村丸(歴史の教科書では「田村麻呂」ですが能では「田村丸」のようです)に変身。向かうところ敵なしといったオーラに包まれ,若いエネルギーと躍動感に引き込まれました。これまで,能といえば「ゆっくり動くもの」と思っていたのですが,この作品については,歌舞伎の荒事にも通じるようなヒロイックな気分もあり,心の中で「カッコいいなぁ」と思いながら見ていました。

楽器の演奏も澄んだ力強さを感じました。特に笛の鋭い音が,作品全体にメリハリを付けているようでした。大鼓,小鼓にも冴えた美しさを感じました。邦楽器の「聞き比べ」も面白いと思いました。

演目は,狂言に加えて,仕舞も演じられたので次の3部構成になっていました。能「田村」,狂言「萩大名」ともに,清水寺を舞台にした作品ということで,作品間の関連もしっかりありました。公演データは次のとおりです。

公演日時:2020年8月22日(土)17:00~ 石川県立能楽堂

1) 仕舞「富士太鼓」 大坪喜美雄

2) 狂言「萩大名」 大名:能村祐丞,太郎冠者:中尾史生,茶屋:炭哲男

3) 能「田村」 シテ:宝生和英,ワキ:殿田謙吉,ワキツレ:渡貫多聞,間:炭光太郎

狂言の「萩大名」は,いつもはボケ役の太郎冠者が,この作品ではツッコミ役になっており,作法を知らない田舎大名に「シーッ」と注意ばかりしていました。そこが面白い点でしたが,「作法」に合わせよ小うるさくチェックしている感じで,いつもの大らかなキャラの方が,やっぱり良いなと思いました。

今回の公演を観て,他の芸術同様,「観続けることで,演ずる人や演奏する人の間での個性の違いが分かるようになるものだ」と感じました。ただし,これは生で観ないと感じられないものだと思います。夏の「観能の夕べ」はあと1回ですが,時間的な余裕があれば,定例能にも挑戦してみようかなと思います。

終演後の能楽堂

県立美術館方面の空。よく見ると三日月が出ていました