2020年6月6日土曜日

久しぶりに金沢駅周辺へ。フォーラスのタワーレコードで古関裕而作品集のCDを購入後,久しぶりにオヨヨ書店へ。最後はいしかわ四高記念公園でコーヒー。やはり,CD・本・コーヒーの3点セットですね。

本日は久しぶりに金沢市周辺まで自転車で出かけてきました。4月上旬以来のような気がします。

何はともあれ,懐かしの石川県立堂の入口まで。立看板には公演中止の案内。チラシもすっかり少なくなり,寂しい限りです。
 

 

もてなしドームにもタペストリーは出ていませんでした。

続いて金沢フォーラスへ。ここに来るのも久しぶりです。2月頃から来ていない気もします。入口には移動式のハンバーガーショップが来ていました。このスタイル,今後増えてきそうですね。

フォーラスのタワーレコードでは,NHK朝ドラにちなんで,古関裕而さんの作品集の2枚組CD「あながた選んだ古関メロディベスト30」を購入。もちろん日本コロンビアのCDです。ドラマにちなんで福島民報社が行った人気投票をベースに選ばれた古関さんの作品34曲(ベスト30+ボーナストラック)が入っています。CDの内容は後でまた紹介しましょう。

その後,これまた久しぶりに,せせらぎ通りまで行き,古書店のオヨヨ書林へ。特に目的の本はなかったのですが,せっかくなので1冊購入。この古書店の暖かみのある雰囲気に触れることができたのがいちばんでした。

すぐに帰宅するのも惜しかったので,ローソンで100円のコーヒーを買って,いしかわ四高記念公園へ。三々五々という感じで休憩している人がいました。ベンチに座り,買って来たものを広げながら,コーヒーを飲みました。こういう時間も良いですね。

オヨヨ書林で買ったのは,「庭」についての随筆集(300円)。最近,庭の草取りを週末に行っているので,タイトルに反応。パラパラと目次を見て,室生犀星が書いているのを見つけ,「面白そう」と思い買うことにしました。この「ワンテーマ随筆集」のシリーズは他にも持っているのですが,味わい深いものが多いですね。


帰宅後は,古関裕而作品集を聞きながら,夕食の支度。このCD,予想どおり面白い内容でした。

古関さんの曲については,もちろん,同時代作品として聞いたのではなく,懐メロとして聞いていました(父親が懐メロ好きだったので,それを自然に聞いていました)。非常に覚えやすい曲が多く,歌謡曲にとどまっていない点が特徴だと思います。本日買ったCDにも,幅広いジャンルの曲がバランスよく収録されています。

朝ドラ「エール」にも出てくているとおり,コロンビアの録音は,赤レーベル(歌謡曲など)と青レーベル(クラシック音楽など)に分かれているのですが,このCDもこの2色になっていました。

1枚目は「赤レーベル」ということで,古関さん作曲の歌謡曲集。ファン投票1位は,「高原列車は行く」。福島県の人からの投票数が多かったことも影響しているのですが,これは異存のないところでしょう。何の衒いもなく明るくキャッチーなメロディを書けるのが古関さんの素晴らしさであり,戦後すぐという時代の反映なのだと思います。今回の音源はオリジナルのモノラル録音が多いのですが,これも良いですね。当時の「時代の空気」が伝わってきます。

古関さんの作品の幅は広いのですが,いくつかのタイプに分けられます。「高原列車」は,健康的な国民歌謡風の曲。「イヨマンテの夜」はもともとクラシック音楽の作曲家を目指していた片鱗のようなものを感じます。アイヌを題材にしていることもあり,伊福部昭的な野性味のあるリズムが特徴的です。それと伊藤久男(「エール」では,山崎育三郎が演じている役ですね)の自信たっぷりの歌もこの曲にぴったりです。その後,映画「モスラ」のテーマが続くのですが(懐かしのザ・ピーナッツの声が素晴らしい),並べて聞くと,結構似た感じです。

歌謡曲での代表曲としては「長崎の鐘」も抜かせません。藤山一郎の誠実でまじめな声に相応しい曲です。そして,この曲の魅力は転調の素晴らしさですね。ファン投票では30位でしたが,藤山さんとのコンビでは「夢淡き東京」も好きな曲です。こちらもまた,ぐっと心をつかむ転調と前向きな推進力が魅力的です。歌詞とメロディの流れがぴったりで,藤山さんの滑らかな声ともども,「夢見ごこち」にさせてくれます。

1曲だけ美空ひばりの歌う「我が家の灯」という曲が入っていいたのですが,この曲での美空さんの歌もさすがです。ちょっとカントリーのような感じの曲ですが,所々で出てくる,裏声の使い方が素晴らしいですね。

「愛国の花」は,戦時中の曲ですが,確か,井上ひさしさんの戯曲の中で使われていた記憶があります。歌詞ともども,これもまた時代の空気が伝わってくる曲です。

書いているとキリがないのですが,先日「エール」でも出てきた出世作の「船頭可愛や」。この民謡路線も古関さんの得意分野の一つです。NHKラジオ「ひるのいこい」のテーマ曲に通じる世界です。それと,朝ドラでの印象同様,音丸さんの歌が実に良いですねぇ。今聞くと,非常に新鮮に感じます。

2枚目の「青レーベル」の方は,行進曲,応援曲,軍歌,テーマ曲など,歌謡曲以外が中心です。「栄冠は君に輝く」「六甲おろし」「紺碧の空」を始め,時代を超えて,「みんなで歌われている曲」が多いのに驚かされます。クラシック音楽的な作品としては,やはり,「オリンピック・マーチ」が良いですね。親しみやすさと同時に格調の高さのようなものを感じます。来年,東京五輪・パラリンピックが行われるのならば,この曲をそのまま使ってもらっても良いと思うぐらいです。

応援曲の中では,巨人,阪神以外にも「ドラゴンズの歌」まで古関さんが作っていたんですね。早稲田に加え,慶應の応援曲も作っているし...頼まれれば何でも対応する,「人の良さ」を感じます。プロ野球の応援曲では「六甲おろし」が有名ですが,巨人軍の応援曲「闘魂こめて」も今もしっかり歌われているし,守屋浩をはじめとした,3人の歌手が次々出てくるのも豪華です。

古関さんは,軍歌も沢山作っており,そのことは,一種「負の側面」ともいえるのですが(これに対応するのが,戦後の「長崎の鐘」ということになります),あの時代の中で生きていくには,仕方がなかったのだと思います。それでも,力を持った,魅力的な歌になってしまうのは古関さんの才能でしょうか。「勝って来るぞと勇ましく」で始まる「露営の歌」など,時代のイメージそのもののような曲だと思います。

最後は「別れのワルツ」。これは「蛍の光」を古関さんがワルツにアレンジしたものですが,これもまた定番中の定番,昭和の時代の「閉店のBGM」。ちなみに演奏は「ユージン・コスマン楽団」という名義になっています。「こせき・ゆーじ→コセキ・ユージ→ユージ・コセキ...」と変化させて付けたネーミング。このセンスも最高です。

このCDに収録されている曲ですが,大半が古関さん自身の編曲。オーケストレーションも古関さんが行っているということだと思います。これもまた,クラシック音楽の作曲家を目指していた古関さんならではだと思います。

というわけで,このCDは,「朝ドラの友」として折に触れて聞いていきたいと思います。

PS. 唯一の心残りは「百万石音頭」。石川県の民謡のように親しまれている曲ですが,これも古関裕而さん作曲。調べてみると歌は伊藤久男。石川県民としては,この曲の音源も入っていた欲しかったところです。