音楽評論家の皆川達夫さんが亡くなられました。3月まで,NHK第2ラジオ日曜朝の「音楽の泉」の司会をされていたので,少々驚きました。最後の最後までクラシック音楽の啓蒙に尽くし,「音楽の泉」を通じて味わい深い言葉を沢山聞かせてくれたことに心から敬意を表したいと思います。
私にとって皆川さんといえば,往年のNHK-FMの番組「バロック音楽の楽しみ」での司会も懐かしいですね。「皆川さん=バロック音楽の人」という印象があります。
というわけで,我が家の書棚を探したところ,皆川さんの1972年の著作「バロック音楽」(講談社現代新書)が出てきました(デザインは以前のデザインです)。
皆川さんが「ヴィヴァルディは嫌いです」と公言されていたこと覚えていたので,調べてみると下の写真のとおり「しっかり」書いていました(ただし,「バロック音楽の楽しみ」のテーマ曲はヴィヴァルディ(伝)作曲の「忠実な羊飼い」(この曲も懐かしい)でしたね。もう一人の司会だった服部幸三さんの選曲だったのでしょうか)。
ただし,結構厳しい内容でも,「何と申しましょうか...」といった,皆川さんの味のある語り口で聞くと憎めないですね。この本の文章の中にも,そういう片鱗が見えます。この本の最初の方に,幼少の頃のことが書かれているのですが,「観世流の謡曲をたしなんでいた」とあります。思い返してみれば,落ち着きのある,大らかな感じのある声は,謡に通じる部分がある気がしてきました。
最後に皆川さんに送りたい言葉は...「音楽の泉」での毎回の”締め”の言葉ですね。「花子とアン」で話題になる前からずっとこの言葉を使っていましたね。
皆川先生,ごきげんよう,さようなら