2018年8月18日土曜日

石川県立美術館で,中山道広重美術館の前田詩織さんによって行われた「生誕220年広重展」関連の講演を聞いてきました。広重作品の見方をさらに深めてくれるような分かりやすいお話。その後は昨日に続いて,空の雲鑑賞

本日も昨日に続いて,さわやかで過ごしやすい1日でした。なにより湿度が低いのが良いですね。というわけで,午後から自転車で石川県立美術館に出かけ,中山道広重美術館の学芸員の前田詩織さんによる,「生誕220年広重展」関連の講演を聞いてきました。
前田さんは,この展覧会の展示キャプションや図録を執筆された方で,本日のお話では,浮世絵についての基本的な情報から,広重の「東海道五拾三次之内」の個々の作品の特徴・魅力まで,スライドを交えて説明されました。7月下旬にも,この展覧会関連で名古屋市博物館の神谷浩さんの講演会を聞いているので,今回のお話を聞いて,さらに広重作品の人気の秘密がよく理解できた気がします。

印象に残ったのは次のような点です。

「浮世絵」の3つの特徴:(1)同じ図像を同時に多くの人が見ることができた点でメディアとしての特性があったこと,(2)安価で販売されていたので,幅広い層が目にすることのできる娯楽だったこと,(3)当時の町人の「見たい・知りたい」と思う事物が描かれた商品だったこと。
# メディアとしての意味があったということで,近世史研究の上でも重要な資料なのかもしれませんね。

「東海道」が流行した背景:町人の識字率が向上し,知的欲求が高まった。さらに金銭的余裕が出てきたことで,旅行ブームが起きた。さらに「東海道中膝栗毛」がベストセラーとなり,それが芝居になり,浮世絵になり...と一種のメディアミックス化が起こった。さらに「東海道を歩く男2人」ならヤジキタと思われるぐらいに人気になった。
# 現代のメディアと基本的に同じだなぁという感じですね。

「東海道五拾三次之内」での広重の特徴:(1)大判横型,(2)1枚に1つの宿場を描く,(3)街道を正面から描く,(4)奥行きを強調。

こういったことをベースに,個々の作品について,スライドを使って見所の解説がありました。さらに詳しく書きたいところですが...キリがないので省略。その中で,特に印象に残ったのは,「本物をより本物らしく」という,まとめの言葉です。「広重の作品は,リアルでなくリアリティを表現しているのが魅力」と前田さんは語って,締めてくれました。このことは,美術作品だけでなく,俳優の演技などにも通じるのではないかと思いました。

さて,講演会の後は,本日もフラフラと市内散策。昨日以上に,空の雲が面白かったので,あれこれ撮影してみました。
県立美術館の上の雲も秋のような感じ

飛行機雲のような雲が沢山残り,交差していました。
これは21世紀美術館付近で撮影

タレルの部屋からも高い空が見えました

21美の近くの建物の屋上にも作品(?)らしきものが出来ていました。
金沢城の石垣~しいのき迎賓館付近で撮影

ついに飛行機が動いている飛行機雲に遭遇
というわけで,とても快適な日々が続いていますが,もう秋になってしまうのは,さすがに少々早過ぎますね。