本日の午前中は,予想に反して快晴だったので,まずこれだけで気分転換になりました。
県立美術館から歴史博物館方面を見たところ |
さて現在の展示ですが,前田育徳会尊経閣文庫展示室では「天神信仰と文房具」,その他の展示室では「石川の工芸:女性作家のきらめき」「九谷の美」「近代現代絵画優品展」「人体彫刻考える2:奏でる」といった色々な展示を行っていました。
優品展では,冬から春に移行しつつある今の季節に相応しい絵画が展示されていました。各作品の色合いには,どこか共通する優しい暖かさがあるのが特徴で,じっと見入ることで,ストレスの解消になりました。今回は,タイトルを読む前に絵を観て,どういうタイトルだろう,いつの時代の作品だろうと考えながら観たのですが,そうやって観ると,作品と対話するような感じになり,飽きずに観ることができました。
必然的に具体的な風景を描いた作品が多かったのですが,その中では,森本仁平「早春の岸辺」という作品の透き通った静謐感が特に気に入りました。次のような作品です。
http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/about/old/siryo/11exhibi/06/list_3room.html
尊経閣文庫の「天神特集」も面白かったですね。加賀藩3代藩主利常以降,「前田家の祖先は菅原道真」ということになっており,加賀藩では伝統的に天神画像を収集していたようです。掛け軸に描かれている絵には,「怒った表情の道真,梅が描かれている,杓を持っている,丸めた縄の上に座っている」といったパターンと中国風の作風のものとの2種類とがありました。理不尽な理由で太宰府に流されたこと怒りや不憫さなどを表現しているようですが,不機嫌そうな表情の絵ばかりある,というのもなかなか面白いものです。
人体彫刻については,「奏でる」をテーマに,楽器を持った彫刻ばかりを集めていたのが面白かったですね。会場の入口に展示の趣旨として,「彫刻というのは「重み」を表現するものだが,音楽には形はなく,人間の中に直接入って行く。芸術は音楽のようなものを求めている」といったことが書かれていました。この言葉はとても面白いと思いました。その分,音楽は跡形もなく消え去ってしまうのですが,軽やかな浮遊感が音楽という芸術の大きな魅力の一つだと思います。そして,楽器を持った彫刻群ですが,ただ楽器を持っているというだけで,どこか浮遊感が出てくると思いました。彫刻と音楽の対比というのはとても面白いと感じました。
といった感じで,じっくりと楽しんできました。
その後,天気が良かったので,金沢21世紀美術館まで行ってみました。いつも混んでいる印象のある21美ですが,土曜日でも午前中ならば,駐車場にも大体余裕がありますね。
ただし,県立美術館の方で結構歩き疲れたこともあり,ちらの方は館内各所を通り抜けるだけにしておきました。実際,美術館めぐりは,ウォーキングと同様な運動になると思います。
この新オブジェもすっかりおなじみになりました。晴れると風景画はっきり写って特に面白いですね |
入口付近は相変わらず盛況でした |
「雲を測る男」も大変気持ち良さそうでした。 |