2016年12月24日土曜日

石川県立美術館で行われている東京国立近代美術工芸館名品展:近代工芸案内を観てきました。作品は既に本多の森になじんでいる感じでした。

金沢市への移転が決まった東京国立近代美術工芸館(全部ではないのですが)の名品を集めた「東京国立近代美術工芸館名品展:近代工芸案内」という展覧会が石川県立美術館で行わているので,観てきました。

作品数は46点で,一つの展示室だけだったのですが,これぐらいの方が1つずつじっくりと見ることができて良いですね。もともと石川県立美術館には,石川県関係者の工芸作品を多数所蔵し,展示していることもあり,まったく違和感なく,既に本多の森の空気にしっかりとなじんでいました。

そもそも工芸の人間国宝には石川県出身者が多く,今回の展示にも松田権六,氷見晃堂,大場松魚,徳田八十吉...といった石川県立美術館で所蔵しているような作家の作品が並んでいました。また,「近代美術工芸」ということで,意外に金沢21世紀美術館の展示に通じると思いました。21美でも,結構,工芸作品の展示を行っているので(現在も「工芸とデザインの境目」という面白い切り口の展覧会を行っていますね),将来的に,県立美術館,21美と国立美術館のコラボ企画というのも考えられるかもしれません。

工芸作品については,どれが良いのか悪いのか,よく分からないところもあるのですが,最近,見るのが好きになってきました。それぞれの作品ごとに安定した世界があり,それぞれに違った質感とデザインを持っているのが面白いですね。基本的に抽象的なデザインが多く,古い作品でも古さを感じないことがあります。

作品の質感としては,カチッとした剛性感のあるものが好きです。この質感は,やはり実際に3次元のモノを見てみないとしっかり感じられないものだと思います。名品と呼ばれるものは,大体無駄が無く,リアルさがあると思います。あまり作品数が多いと疲れてしまうので,今回ぐらいの作品数が丁度良いですね。

国立美術館とはいえ,金沢市に立地するということで,こういう美術館を支えていくには,工芸作品についての理解であるとか教養のようなものが,今以上に必要になってくると思います。逆に考えると,Web上であるとかモニター上でのアートが多い現代であるからこそ,3次元のモノがアピールする部分もあると思います。

いずれにしても,本多の森に新しい美術館が加わることは,大変楽しみなことです。