この前の日曜日は好天に恵まれたので,自転車で石川県立音楽堂まで出かけて来たのですが,その途中,泉鏡花記念館にふらっと立ち寄って展示を見てきました。行われていたのは「鏡花本装丁の美」という展示でした。
泉鏡花の初版本については,装丁に関しても注目を集めています。今回の展示では,鏡花の作品の挿絵を描いた鏑木清方(1878-1972),鰭崎英朋(1880-1968),小村雪岱(1887-1940)の3人に焦点を当て,それぞれの画家の表現を通じて,鏡花作品に触れてもらおう,という趣向になっています。
こういう文学館の展示については,文字情報ばかりだと辛いので,今回のようにビジュアルにアピールする展示が中心だとありがたいと思います。鏡花作品の場合,作品自体ビジュアルな感じがするので,特に挿絵画家の影響力は大きいのではないかと思います。
それぞれの作品をざっと見た感じだと,やはり生年順に絵の雰囲気がレトロな感じがします(ただし,没年は若い順に早く亡くなっているようです)。個人的には,小村雪岱の挿絵の,ちょっと幾何学的な雰囲気が気に入りました。
昨年秋に3文学館のスタンプラリーに参加した時,3文豪の著作をデザインした小さなメモ帳をもらったのですが,その中の鏡花作品が『斧琴菊 』というものでした(次の写真のもので,今回の展示のポスターのメインビジュアルになっているものです。)。その装丁が雪岱によるものです。こうやって見ると,やはりデザイン的なデザインだなぁと感じます。
ちなみにこのメモ帳ですが,ちょっと小さすぎるので,なかなか使えないですね。
鏡花記念館主催のシンポジウムに参加した時,鰭崎英朋の描いた挿画の絵葉書をもらったことがあります。次のようなもので,『続風流線』という作品の口絵なのですが,これも不思議な雰囲気があります。
泉鏡花の作品については,演劇やオペラで上演されたものを何本か見ていますが,一度奮起して,原作を読んでみたいものだと思っています。
ちなみに記念館の入口に鏑木清方の作品のポスターが飾ってありました。
これは,鎌倉の鶴岡八幡宮の近くにある,鏑木清方の博物館のポスターですね。いかにも日本画という感じですね。
さて,鏡花記念館から浅野川大橋に向かう途中の橋場町交差点に,シェア型複合ホテル「HATCHI」というのがオープンしており,目を引いていました。前は仏壇店だったのですが,ちょっと気になります。
ホテルだけではなく,店やカフェもやっているようでした。今後,一度入ってみようかなと思います。
この橋場町付近ですが,最近は観光客の人通りがものすごく多いせいか,八百万本舗とか,面白そうな店が増えている感じです。
その隣にある,「禁煙室」という名前の喫茶店も昔からありますね。
写真を撮ろうとしたら, レトロなバスが店の前を通過。位置関係がバラバラですが,鏡花記念館前の通りです。
久保市乙剣宮もすぐ傍です。
鏡花記念館のすぐ近くの朗読小屋「浅野川倶楽部」の前には,市内の文学館のポスターがずらっと並んでいます。
浅野川もすぐ傍なので,鏡花記念館から秋声記念館まで,浅野川沿いをのんびり散歩して往復するのも,結構良い観光コースだと思います。
この日は晴れていたせいか,結構大勢の人が浅野川河川敷でのんびりしていました。実は,こういう適度な大きさの「川らしい川」というのがいちばん貴重なのかもしれませんね。