2016年1月10日日曜日

キネマ旬報1位になった映画「恋人たち」をシネモンドで観てきました。目をそむけたくなるようなリアルで緊張感の映像。しかし強く引き込まれました。

実は昨日,この一年間気にかかっていたことが無事終わり,「ほっと一息」という気分になっています。正月休み中も気にかけていたので,「この3連休が本当の正月3が日」といったところです。

本日はまず,町内の左義長に出かけてきました。毎年,「成人の日?日曜日?」で迷うのですが,近所の神社に偵察に行ってみると,しっかりやっていました。


今日はとても良い天気でしたが,たき火に当たるというのは,何ともいえぬ安心感がありますね。

神社にあった榊です。「木」に「神」ということで,神社の境内にある木ということでしょうか。自宅の神棚用に,一枝頂いてきました。

その後,久しぶりに映画を観に行くことにしました。映画の割引券があったので,色々候補はあったのですが,最近,「2015年キネマ旬報1位は「恋人たち」に」というニュースがあったのを思い出し,「どんな作品だろう?」という興味からシネモンドでうまい具合に上映していたこの作品を観に行くことにしました(しばらく前までは,「Foujitaフジタ」にしようと思っていたのですが...)。


http://www.kinejun.com/kinejun/best10/tabid/64/Default.aspx

「恋人たち」というタイトルからすると,往年のヨーロッパ映画,ルイ・マル監督の同名の作品を思い出しますが(ただし,観たことはありません。ブラームスの弦楽六重奏曲を挿入曲で使っていたことで有名ですね),そのタイトルのイメージとは全く違う,リアルな映像とセリフの連続でした。


正直なところ,「見たくないなぁ」という映像が結構あったり,緊迫感に溢れたリアル過ぎるような辛いセリフが続いたり,結構疲れる作品だったのですが,それだからこそ,強く引き付けられ,間然とする間がありませんでした。

ストーリーの核は,次の3人の「恋人たち」です。

A:奥さんを通り魔殺人で亡くした男性
B:退屈な日常の中で暮らしつつ,新たに現れた夫以外の男性に引かれる平凡な主婦
C:同性愛のエリート弁護士

それぞれを演じていたのは,今回が映画初出演となる無名の俳優3人でした。敢えて無名の俳優を使うことで,リアリティが増していたのですが,その演技が凄まじく,橋口亮輔監督から,相当厳しい演技指導があったのではないかと思います。

核となっているのは,篠原篤の演じるAですが,その弁護士が池田良の演じるCであったり,Aの先輩が成嶋瞳子の演じるBの旦那さんだったり,社会の縮図を示すように,段々とつながりが分かってきます。Bの浮気相手の光石研の愛人の安藤玉恵が,怪しげな「水」を売る相手が,Aの務める会社の後輩だったり,大変面白い設定でした。

こういった人間関係について,セリフで説明する部分は一切ないので,はじめのうちは,ストーリー展開が断片的で「何?何?何?」という感じなので,戸惑います。ただし,生活感あふれるBの家の状況,精神的に落ち込むAのアパートなど,容赦のないリアルで迫力のある映像が続き,どんどん画面に引き込まれていきます。

特に妻を殺害された後,裁判を通じて復讐しようとするAの姿に迫力があります。裁判しようにも,お金がなくて弁護士に相手にされないような状況を見ながら,だんだんと「何とかならないのか」という気分になり,Aと自分とを同一視してしまいたくなります。

Cの弁護士は,絵に描いたような「どうみても嫌な奴」だったり,安藤さんと光石さんのコンビが最後の部分で,「皇室の親戚」を偽って詐欺をしてニュースに出てきたリ,ユーモラスな部分も所々で出てきました。このバランス感覚も巧いと思いました。

Bの夫役がリリー・フランキー,姑役が木野花さんだったり,主要登場人物をつなぐ脇役の演技も充実していました。

*************** 以下,ネタバレです。 *************************

ドラマの展開としては,3人とも,鬱屈した日常生活から,スパッと脱却できるわけではないのですが,それぞれに,ほのかに前向きな気分が出てきます。Aの務める会社は,東京の河川(隅田川?)の橋脚の老朽化を船に乗ってコツコツとチェックするような仕事をしているのですが,最後の場面では,その川を走るボートからふっと上を見上げると青空が広がっている,という感じで終わります。

結局,会社の同僚であるとか,身近な家族とのつながりの改善が人が生きていく力になるということになります。さんざん辛い映像が続いていたので,最後に出てくる,ちょっとした暖かさが心に染みました。

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かなり強烈な作品ということで,あまり何回も見たい作品ではなかったのですが,すごい力を持った作品だと思いました。



映画が終わった後は,本当はターバン・カレーにしたかったのですが...列が出来ていたので,ミスター・ドーナツへ。クリーム・ブリュレという新製品があったので,それを食べてみました。クリームパンにキャラメルを塗って,表面を焼く...という作り方でしょうか。


その後,21世紀美術館のタレルの部屋で一休みして帰宅。パノラマ機能で撮影してみたのですが,明暗の差が大きかったせいか,不思議な写真になっていました。