そもそもこの展覧会に関心を持ったのは,キリシタン大名だったため,領地を没収され加賀藩に迎えられ,晩年にはマニラに追放されたという高山右近の人生に興味を持ったからです。戦国大名の「普通」の人生とは全く違う生き方です。当時の一般的な「出世」とは違った部分に人生の意味を見出していた点で,現代人に通じる感覚を持っていたのではないか?そんな気がします。
ただし,正直なところ,やや期待外れでした。第1展示室では,右近に関する展示物が並んでいましたが,美術品としてのインパクトはそれほどではありませんでした。第2展示室には当時の南蛮文化の影響を示す,南蛮屏風が数枚飾られており,当時の雰囲気に触れることができましたが,こちらの方は右近とのつながりがあまり感じられませんでした。
最後の第3展示室には,金沢に残されている右近ゆかりの品の展示がありました。個人的には,これがいちばん面白いと思いました。右近の娘が持っていた品であるとか,観音像とマリア像が合わさったような像とか,独特の雰囲気がありました。
今回は,オーソドックスに展示物+キャプションを並べるという形でしたが,「高山右近の人物を知りたい」というニーズからすると,もう一ひねり(例えば,年表とか当時の金沢市内の地図とか...)欲しいと思いました。というわけで,お隣の石川県歴史博物館向きの企画かなという気もしました。
「高山右近」を観た後は,同じチケットで石川県立美術館所蔵の常設展示もみてきました。美術品としては,やはりこちらの方が見ごたえあると思いました。常設展の方は,「見覚え」のある作品が多く,時々見に行くと,「我が家のコレクション」という感じに思えてきます。この辺が常設展の良さですね。
その後は美術館の裏の階段を下りて,本多町方面へ。町中にしてはかなり急流の用水が流れており,滝になっています。
21世紀美術館にも寄ってみました。こちらではたまたま無料ゾーンでやっていた,「金澤老舗百年展」というのをさっと見てきました。市内の老舗店舗に残っている「古いもの」を格好良く展示したもので,大変賑わっていました。
21美でなくても良いので,金沢市内のどこかで常設的に展示してあっても良いと思いました。
最後に高山右近にちなんで,カトリック金沢教会へ。
外から建物を眺めただけですが,今日行ってみたら,入口付近にあった別の建物が撤去されていたので,石川近代文学館からよく見えるようになりました。こうやってみるとなかなか立派な建物です。
建物の前に高山右近像がありますが,せっかくなので,このことは県立美術館の展示でも触れてあっても良いのでは,と思いました。
このところ平日は精神的に疲れ気味です。気分転換には,休日の午後にウォーキングを兼ねて市内の美術館めぐりをするというのがいちばんです(本日は雨天で寒かったのですが...)。