2014年1月24日金曜日

本日はシネモンドで映画「ハンナ・アーレント」を見た後,グリル・オーツカで懐かしのハントンライス。さらにオヨヨ書林→21世紀美術館。金沢市内の”好きな場所”を巡ってきました。。

本日は代休で1日休みでした。それに合わせるかのように,今日の金沢の天気は,昨日までとは一転して快晴になりました。せっかくなので自転車で金沢市中心部に出かけ,のんびりと過ごしてきました。スタートは石川門。


まず出かけたのが,香林坊109のシネモンド。映画「ハンナ・アーレント」を観てきました。


この映画は,ハイデガーの弟子のユダヤ人哲学者,ハンナ・アーレントの人生の一断面を描いた作品です。1960年,彼女はイスラエルで行われたナチス戦犯のアイヒマンの裁判を傍聴することになり,それをレポートした記事を雑誌に掲載します。それが反響を呼び,ユダヤ人側から「ナチスを正統化する裏切り者」として強く批判を受けることになります。それに対して,最後の場面で,「自分が伝えたかったことはこれだ」という感じで力強い講義を行います(彼女はアメリカの大学の教員でした)。

話題の映画ということで今回観てきたのですが,平日の午前中にも関わらず,かなり沢山のお客さんが入っていたのにまず驚きました。非常に地味な題材だったのですが,人間の存在とは切り離せない「悪」の意味について,ストレートに問いかけるような内容で,色々と考えさせられました。

ナチスの強制収容所での大虐殺について,アイヒマンの責任を問う裁判の様子を見て,アーレントは,「アイヒマンは組織に忠実なだけの平凡な一般人である。ただし,考えることをせず,モラルがなくなっていた」と考えます。このことを「凡庸な悪」という言葉で表現していました。ナチスの「悪」は,善悪の判断をさせず,モラルを無くしてしまった点にあると言えます。

この「凡庸な悪」というのは,現代社会にも溢れていると思います。どんな困難な状況になっても思考を停止させない。そういったことをこの映画では伝えようとしていたのだと思います。見ごたえのある作品でした。

109のシネモンドに入るのは久しぶりだったのですが,やはり,街中の映画館は良いですねぇ。郊外の大型ショッピングセンター内のシネマコンプレックスとは違い,街中にあると,そのままフラフラと裏通りなどに行きたくなります。

というわけで,こちらも久しぶりに,グリル・オーツカに行ってきました。25年ぶりぐらいの気がします(平成になって初めてかも?)。


最近,この店は金沢の観光ガイドなどに載るほど有名になっていますが,私が学生だった頃は普通の店で,コンパ(懐かしい響き)の前(飲む前に行ってましたね。どういうわけか)などに,よく行っていました。

店の中に入ってみると...昭和の時代の気分そのままでした。中は記憶に残っていたよりも広く,ここにもまた大勢の人が入っていました。注文したのは,定番のハントンライスです。柔らかい卵とカリっとしたフライの取り合わせはそのままでした。

続いて,もうすぐ取り壊されるラブロに行ってみました。

大和だった時代からのパネル展示などを見た後,3階の古書店を眺めてきました。このフロアは,いかにも閉店間近という雑然とした雰囲気でしたが,それがまた不思議な面白さになっていました。

その後,タテマチ通りのオヨヨ書林に行き100円の本を買った後,21世紀美術館に行ってきました。街中に来ると,オヨヨ書林にも行きたくなりますね。

21世紀美術館ではボーダーライン コレクション展 IIの中の映像作品をじっくりと見よう...と思ったのですが,その前に「明和電機ナンセンスマシーンズ展」を観てきました(こんな展覧会をやっているとは,来るまでは知りませんでした)。

「オリジナルの変な楽器」を使って芸をする明和電機には以前から興味があったのですが,今回はその「楽器」がズラリと展示されていました。

さすがに実演してもらわないと面白くはないのですが,一部の楽器は音を出すことができ,写真撮影もOKでした。オタマトーン(各種。こんなに種類があるとは知りませんでした)などグッズの販売も行っており,欲しくなったのですが...我慢しておきました。

ボーダーライン コレクション展 IIでは,ジュン・グエン=ハツシバの映像作品3本を観てきました。海中で人間が作業しているような映像,イーゼルを乗せた船を走らせながら船の中で大勢の人々が風景の絵を描いている映像など,正直なところストーリーはよく分かりませんでしたが,大変美しい映像でした。何かのボーダーラインを越えようとしているのでしょうか?

今回の展覧会では,シリン・ネシャットの「歓喜」というモノクロの映像作品が素晴らしいと思います。対面に配置されたスクリーンに交互に動きのある映像が投影されます。イスラム風のムードと不思議な緊張感を漂わせた,魅力的な作品だと思います。

次のとおり音声による解説があることに今頃気づいたので,今から聞いてみようと思います。
http://marubiontheradio.com/guide/

それにしても今日は良い天気でした。

「タレルの部屋」は文字通り「ブルースカイ」でした。

「雲を測る男」もいつも以上に輝いていました。