2013年6月2日日曜日

金沢都ホテル地下の旧ロキシーで映画「野生の証明」を観てきました。その後,百万石行列の利家(松村雄基)も何とか見ることができました。

本日は金沢市祭の金沢百万石まつりのメインイベント,百万石行列が午後から市内で行われました。晴れ過ぎなかったので,最高の見物日和だったと思います。行列にはロンドン五輪で金メダルを取った女子柔道の松本薫選手など,石川県関係のオリンピック出場選手が参加することもあり,例年通り金沢市内のメインストリートは大勢の人でにぎわっていました。


ただし,私の方は取りあえず行列見物はせず,金沢都ホテルの地下にかつてあった映画館,ロキシーが2日限定で復活するということで,映画を観てきました。上映されたのは,金沢でロケを行った「野生の証明」でした。


↓このイベントです。
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/OD20130601501.htm

ロキシーは香林坊の映画街から離れたところにあったのですが,20年ほど前ぐらいまでは,年に数回はこの映画館で洋画を観ていました。何を観たかまでははっきり覚えていませんが,ケヴィン・コスナーの「ダンス・ウィズ・ウルブス」とかをこの館で見たような気がします。

久しぶりに行ってみて懐かしくなりました。現在は都ホテルのセミナーホールとして使われているようで,結構きれいで,椅子も座り心地が良かったですね。スクリーンはこういう感じでした。

さて映画の方ですが,「野生の証明」は,金沢でロケが行われ,しかも,百万石パレードのシーンが出てくるということで今回選ばれたようです。有名な作品なのですが,実は今回見るのが初めてでした。大変楽しめました。

舞台は東北地方の山奥の村です。自衛隊の中の「特殊工作部隊」という架空の組織にかつて属していた高倉健。家族や集落の人たち全てを気が狂った父親に殺害されてしまった薬師丸ひろ子(これがデビュー作だったと思います)が主な登場人物です。狂った父親が幼い薬師丸ひろ子まで斧で殺害しようとしたところを健さんが救うのですが,その時に父親は健さんに殺害されてしまいます。その場面を見てショックを受けた薬師丸ひろ子は記憶喪失になります。その後,特殊部隊を抜けた健さんは保険の外交員になり,薬師丸ひろ子の育ての親として暮らし始めます。

健さんはいつもどおり「暗い過去を持った寡黙で強い男」という役柄です。2人は東北地方の中都市でつつましく,それなりに幸福に暮らしているのですが,中野亮子演じる,地方紙の女性記者が健さんと一緒に土地の有力者と暴力団との関わりについて,保険金の絡む不審死事件をきっかけに暴いたところから急転していきます。

健さんは,地元の有力者からも,警察からも,そして「特殊部隊」という組織自体を隠さないといけないので,自衛隊からも追われることになります。一言でいうと,権力や暴力に立ち向かう「ダイ・ハード」的なタフな男の話なのですが,ここに「お父さん!」と呼びかける薬師丸ひろ子が加わることで,ちょっとウェットな感じになります。

最後の方は,これでもかこれでもかと健さんは追い掛け回されるのですが,ほとんど一人で立ち向かい,生き残っていきます。途中,夏木勲演じる刑事と「男の友情」が芽生えたり,特殊部隊の松方弘樹との一騎打ちが出てきたり...目が離せません。

最終的には,健さんに思いを寄せていた記者(中野良子)も,友情が芽生えた刑事(夏木勲)も,そして,悪夢のような記憶をよみがえらせたにも関わらず最後に「お父さん」と呼んでくれた薬師丸ひろ子も死んでしまいます。

最後の方は戦車にまで追いかけられ(冷静に考えるとちょっと大げさすぎ?),それに健さんが立ち向かって言って終わるのですが,強い権力に対する怒りが,寡黙かつ強烈に爆発するような感じで描かれており,非常に迫力がありました。

ちょっと荒唐無稽なところもありますが,何よりもキャストが素晴らしく,大物同士の演技のぶつかり合いをしっかり楽しめます。東映映画ということで,特に暴力団のメンバーの迫力が印象的でした。特にナンバー2役だった成田三樹夫のニヒルさが最高でした。

金沢のことを書くのをすっかり忘れていましたが,見る人が見れば「金沢だ」と分かる部分がいくつかありました。東北地方の中都市という設定で,名鉄丸越百貨店から三国連太郎が百万石パレードを見下ろすようなシーンがありました。その他の山奥のシーンももしかしたら石川県内だったのかもしれません。

この映画が作られたのは,私が中学生だった頃なのですが,久しぶりに昭和時代の映画館で昭和時代の映画を楽しむことができ,大満足でした。

以下,ロキシー付近を写真で紹介しましょう。

ポスターです。これは見覚えがあります。

当時の新聞広告。現在は映画の広告は新聞では見かけなくなりましたね。

映画のロケ地についての説明です。横安江町商店街も使っていたとは驚きです。


この企画では,「男はつらいよ」で唯一金沢が出てくる「柴又慕情」も上映されました。吉永小百合がマドンナ役です。これはDVDで観たことがあります。赤い字が「昭和」という感じです。

ロキシーの外観です。この雰囲気も懐かしいですね。

都ホテル地下街の入口です。ちょっと場末な雰囲気がかえって魅力的です。

その後,地上に出ました。百万石パレードは行ってしまった後でした。

しかし,行列の後を自転車で追ってみたところ,金沢市役所前ではまだパレードは終わっていませんでした。利家を何とか見ることができました。

明日は金沢城にミッキーマウスが現れるようですが,さて,どういうことになるでしょうか?