2024年7月26日金曜日

パリ・オリンピック開幕間近ということでフランスにちなんだCDを聴いています。バッハ「フランス組曲集」(コルネリア・ヘルマン)&「シル・ヴ・プレ(御喜美江)」

 パリ・オリンピック開幕間近ということでフランスにちなんだCDを聴いています。一つはバッハのフランス組曲集(ピアノ:コルネリア・ヘルマン)。もう一つは「シル・ヴ・プレ」(アコーディオン:御喜美江)というアルバムです。

バッハはクラヴィーアのための組曲を3セット書いています。パルティータ,イギリス組曲,そしてフランス組曲。各曲ともアルマンド,クーラント,サラバンド,ジーグといったヨーロッパ各国起源の舞曲を組み合わせた組曲で,フランス組曲だからといってフランス的というわけでもないのですが(タイトルがフランス語で書かれており,フランス起源の舞曲が多いということのようです),全体的にどこか優雅で洗練された味わいがあります。演奏時間も他の2セットよりは短めなので,何となく手に取って聞きたくなる曲集です。

最近よく聞いているのは,コルネリア・ヘルマンというピアニストのCDです。


2022年の楽都音楽祭でオーケストラ・アンサンブル金沢と共演したシューマンのピアノ協奏曲が素晴らしかったので,その時に購入した録音です。全曲ではなく1番,2番,5番,6番のみが入っています。淡々としているけれども暖かみがあり,ウエットな感じはしないけれども豊かな情感が漂っている。そんな演奏です。定型的な組曲だけれどもどこか非日常的な感じがあり,音が流れている間だけは,部屋の中が豊かな時間に変わる気がします。特に有名な第5番が好きです。最初の「アルマンド」は舞曲とは名ばかりなのですが,優雅に流れて行くメロディラインが本当に魅力的です。

もう一つの「シル・ヴ・プレ」はタイトル自体フランス語。”S'il vous plait "ということで英語の ”Please" に当たるフレーズです。日本語の「お願いします」「どうぞ」といった言葉とぴったり対応するのか知らないのですが,初心者(私)でも確実に聞き取れるフランス語の代表だと思います。その語感がまずフランス語的ですが,このアルバムの主役であるアコーディオンという楽器もフランス,というか「パリの街角」といった連想をされてくれます。日常的に聞く機会の少ない楽器になってしまったこともあり,御喜美江さんの演奏にもどこか懐かしさが漂います。


収録されているのは,御喜さんの得意とするアンコール・ピース的な曲ばかり。こちらも2015年の春の連休中の音楽祭の時に買ったものです。まだ「ラ・フォル・ジュルネ金沢」だった頃に御喜さんの素晴らしい演奏を聴いて購入。その後,サインもいただきました(岩城宏之さんとの思い出を語っていたことを思い出します)。

ヴィルトーゾ・アンコール集という日本語のサブタイトルどおり,超絶技巧の曲も含まれているのですが,その演奏には安心感と自在感があり,リラックスした楽しむことができます。何より常に軽やかさと透明感のあるアコーディオンの音が魅力的です。例えばシューベルトの「楽興の時」第3番も収録されているのですが,その押しつけがましくない哀愁はこの楽器にぴったりです。


「指先もどかし」という,ちょっと変なタイトルの曲も入っています。原題は「Dizzy Fingers」。このタイトルには聞き覚えがあります。大昔,私の妹が電子オルガンを習っていた頃に演奏していた曲なのですが...巧すぎて全然「指先もどかし」という感じではないですね(テンポ感も違い過ぎて同じ曲とは思えない...)。ちなみにこの曲ですが,海外ではスタンダードナンバーのような感じで,原題で検索すると色々な楽器による動画などがヒットします。

今回のパリ五輪はヨーロッパでの開催ということで,リアルタイムに楽しむのは難しい場合も多そうです。好きなCDを聞きながら(+暑さをしのぎながら),何となくフランス的な雰囲気を味わいつつ過ごしてみようかなと思っています。