8月末,アシェット・コレクションズ・ジャパンから「恋愛小説の世界 名作ブックコレクション」というシリーズがスタートしました。デ・アゴスティーニなどからも出ている,「週刊〇〇」的な分冊百科にはついつい注目してしまうのですが,本を箱に入れて雑誌として売るというのは,結構珍しいと思います(本の定期購読とどう違うのか....という気もしますが)。
その第1回配本,ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」が499円という特価で発売されたので,ついつい買ってしまいました。この小説をこれまで読んだことがなかったからという理由もありますが,やはり,ハードカバーの魅力というのに惹かれてしまいました。
取りあえず2週間に1回発売されるので,その間に読めるか試してから考えることにしました。その結果ですが...見事に読めなかったですね。平日の夜は疲れていて眠くなるし,土日も読書だけをしているわけにはいきません(他にも読むものもあるし)。それと私の場合,そもそも翻訳物が苦手というのもあります。今回の翻訳の文章はプレインな感じで分かりやすく,登場人物紹介のページも非常に充実していたのですが,どうも私の場合,登場人物が多いと,人間関係がすぐに分からなくなってしまいます。
ちなみに,光文社古典新訳文庫(某図書館から借りてみたのですが)の紙面と比較していました。アシェット版には,章ごとに(オリジナルにはない)小見出しのようなタイトルを付けて,分かりやすくしていることが分かりました。
その他,挿絵が入っているのも特徴です。
その上でですが,文章自体は光文社版の方がこなれた感じで読みやすいかなと感じました(私の個人の感想ですが)。紙質の方も光文社版の方が滑りが良く,それにつられて自然にするする読める...ような気がしました。
というわけで,定期購読は断念することにしました。第2回は「嵐が丘」ということで,心は動きましたが,価格が急上昇して約2000円に。各巻2週間のペースで読み終え続けることは難しそうだし,そもそもハードカバー全80冊を揃えた場合の置き場所の問題もあります。
今回の「高慢と偏見」も,いつの間にか光文社古典新訳文庫の方で読む形に置き換わってしまったので(せっかくなので読み進めようと思います),今後は,アシェット・コレクションズのラインナップを眺めつつ,(好みに応じて)同じタイトルを図書館で借りて読むというのもありかなと考えているところです。
改めて考えると,読み通すことよりは,インテリアとしてハードカバーの本を並べるという点にこのシリーズの主眼があるのかもしれないですね。電子書籍が少しずつ浸透する中,その反動の一種ともいえそうです。
PS.ラインナップの中に,「カラマーゾフの兄弟」が入っていました。
「これも恋愛小説?」という感じで,何でも入ってきそうです。長編小説には多少なりとも恋愛小説的な要素があるので,内容的には「世界の名作長編小説」といったところかもしれませんね。