2022年4月24日日曜日

本日は石川県立美術館 企画展「師弟の共演:石川ゆかりの作家と巨匠たち」を観てきました。作家と作家の関係性が分かりやすく示されており,「なるほど」という感じで楽しむことができました。

 本日の午前中は,石川県立美術館で本日始まった企画展「師弟の共演:石川ゆかりの作家と巨匠たち」を観てきました。

美術だけでなく音楽でもそうですが,あるアーティストが単独でいきなり登場してくることは少なく,若い時に出会った師の影響を受けつつ,自身の作風を固めていくということが大半だと思います。今回の企画展では,展示作品に「1.師匠の作品」「2.あるアーティストがその影響を受けていた頃の作品」「3.その後の作品」という3つのラベルを付けて展示していました。

例えば,硲伊之助の場合,次のような感じになります。

  1. マティス「襟巻の女」(1936年;下の写真の絵です)
  2. 硲伊之助「室より(南仏のバルコン)」(1935年)
  3. 硲伊之助「アルバニアの花嫁」(1965年)

こういう切り口を示した展覧会は,これまであまり見たことがありません。石川県ゆかりの作家が中心でしたが,作家間の関係性が分かりやすく示されていたので,とても面白いアイデアだと思いました。こういう内容でしたので,これまで観たことのない,石川県立美術館の所蔵品以外も多数展示されていました。その点でもとても新鮮な内容になっていました。

そういう作品で印象的だったのは,やはり「師匠」の作品だったかもしれません。例えば,高光一也の師匠である中村研一の「弟妹集う」という重厚で豪華な作品が目を引きました。昭和前期の前期の応接間の雰囲気は「ザ・油絵」という感じでした。川端龍子の「夢」という作品の題材は中尊寺の「ミイラ」でした。不気味な題材ですが,全体の色調は明るく,その周りには蝶が飛んでおり,幻想的な美しさもありました。

というわけで,ある作品を単独で観るよりも,より面白く楽しめるような展覧会になっていました。これをさらに発展させ,美術と文学・音楽などとジャンルをまたいだ関係性に注目しても面白い気がしました。例えば,クラシック音楽と美術をコラボさせたレクチャー付きの展覧会や演奏会があれば観てみたいと思います。