2022年3月13日日曜日

本日は,3つの選挙の投票後,金沢市立中村記念美術館で「お茶とお香の小さな道具の世界」,室生犀星記念館で「旅する犀星:大陸編」を観てきました。その後,東急スクエアで期間限定のヴィンテージショップへ。

本日の金沢は,石川県知事選挙,金沢市長選挙,金沢市会議員補欠選挙という3選挙の投票日。3つが重なるのも初めてですが,28年ぶりに知事が変わり,金沢市長も変わるということの方が大きなニュースでしょうか。午前中に投票を済ませた後は,本日も自転車を乗るには丁度良い気温だったので,金沢市内をふらっと一回りしてきました。

まず,金沢市立中村記念美術館に行って,「お茶とお香の小さな道具の世界」という展示を見てきました。特にお茶にもお香の世界には詳しくないのですが,小さなものが端正に並んだ感じのポスターが「いい感じ」だったので見に行くことにしました。


展示室には,タイトルどおり,茶器,棗(なつめ),香炉,香合といった小さな道具が沢山並んでいました。個人的には,抹茶を入れる茶器である棗が好きです。緻密にぎゅっと引き締まった,丸っこい形を見ると何故かうれしくなります。展示室の入ってすぐのところに,まず野々村仁清作の「色絵菊桐文茶器」というのが展示されていましたが,その他にも松田権六,大場松魚,寺井直次といった大家の作品が並んでおり壮観でした。

香関係の道具は,さらに小さいものばかりでした。香箱ガニでおなじみの「香箱」などを見ていると,小型の家具といった感じで,雛人形の世界,さらにはシルバニアファミリーの人形の世界(現在でも売っているのでしょうか?)などを彷彿とさせる感じがあると思いました。

チラシの裏の写真です

わが家にある「棗」風のお茶の葉入れと一緒に撮影してみました。

というわけで,茶や香の世界の「小さな豊かさ」を実感できる展示でした。

せっかくなので,お土産に新発売の缶バッチを購入。時節柄,「密」という文字の書かれたものも面白かったのですが...今回展示されていた金沢市指定文化財の青木木米作の「扇形梅の絵香合」がデザインされたものの方が記念になるなかとこちらを購入しました。

よくよく見ると入場券のデザインと同じでした。

美術館前には梅が咲いていました。

その後は,本多町→竪町→新竪町→桜橋→犀川大橋...というルートで,しばらく休館していた室生犀星記念館まで行くことにしました。

旧石川県立図書館のすぐ裏が中村記念美術館です。

本多町を通るのは久しぶりでしたが,繁華街のすぐそばなのに,とても閑静な感じがあるのが良いですね(道も間違いやすいのですが)。

里見町付近の町並み

桜橋から上流の山を眺めてみました

W坂です。90度左回転させると文字通り「W]になりました。

犀川大橋

室生犀星記念館では,「旅する犀星:大陸編」という企画展を行っていました。

犀星が1937(昭和12)年に行った,当時の満州への旅行にテーマを絞ったもので,この旅行の結果生まれた,いくつかの作品が紹介されていました。このポスターになっている「わんぱあ,わんぱあ」というのは「哈爾濱(ハルピン)詩集」の中の「鼈」に出てくることばです。ちなみに,この「鼈」という字ですが,「すっぽん」と読みます。初めて見かけましたが,動物好きな犀星ならではの詩かもしれません。

犀星は本来,旅行嫌いなのですが,「何等かの意味に於て日本を新しく考え,そして国のためになるような小説を書きたい」という願いで満州に赴きます。ただし,結果的には,「大それた小説などは書けずに相渝(かわ)らず私らしい小説を書いて了った。作家のたましいというものはどういう処にいても,猫の目のいろのように変わるものではないのである」ということのようです。こう書けるのが良いですね(以上は,企画展ガイドペーパーに書かれていた「文学は文学の戦場に」からの引用)。

常設展示の方では,有名作家による袱紗(ふくさ)の展示が面白かったですね。谷崎潤一郎の「我といふ人の心は ただひとり我より外に知る人ハなし」という言葉は,その通りだなと実感したのでメモしておきました。

その後は,東急スクエアへ。シネモンドの隣にいくつかの古書店などが合同で期間限定のヴィンテージ・ショップを出しているということで眺めてきました。シネモンドの隣というのがとても良いですね。本日は何も買わなかったのですが,また来てみたいと思います。

ちなみにシネモンドでは,イランのアッバス・キラロスタミ監督特集を行っていました。この監督の作品は,何本か見たことがあるのですが,やはり映画館で観たいですね。というわけで,時間ができたら観たい...という気分になってきました。

最後に,いちばん下まで降りて,うつのみやで1冊本を購入。最近,ショパンのピアノ曲ばかりを聞き続けてるので,そのガイドとするために,ピアニストのイリーナ・メジューエワさんが書いた「ショパンの名曲(講談社現代新書)」を購入。昨年出た本ですが,曲を聴くのがますます楽しみになりそうです。