2018年8月31日金曜日

本日は夏休み。雨の合間に思い立って,1984年公開の「ストリート・オブ・ファイアー」をシネモンドで観てきました。気持ちよいぐらいのロックンロール西部劇

1984年に公開された映画「ストリート・オブ・ファイアー」をシネモンドで観てきました。実は,本日は夏休み。久しぶりに映画でも観にいこうと思い立ち,考えずに楽しめる作品+懐かしさ,という観点からこの作品を選びました。
ただし,「懐かしい」といっても,実は,この作品は映画館で観たことはなく,テレビで何となく観た記憶があるだけです。今回は,初めて観るような感覚で楽しもうと思って観てきました。

さて,この作品ですが,西部劇風の設定を,そのまんま現代(少しレトロな感じもありましたが)に移し,背後には,ロックンロール音楽を流し続けるという明確なコンセプトで作られています。キャラクター設定やストーリー展開もベタでしたので,パロディ映画のような雰囲気もあります。しかし,そのコンセプトが見事なまでに徹底しているので,どこをとっても納得でした。

それと1980年代中頃の「元気のある雰囲気」を思い出します。1984年はロサンゼルスオリンピックの年で,日本ではバブル景気が始まろうとしている頃でしょうか。全体の雰囲気からは,同時期の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と似た気分もありますね(両者ともユニバーサルの作品ですね)。

ドラマの舞台は,警察も手を出せないような無政府状態になっている,時代も国も不明の町。そこで活躍する女性ロック歌手がコンサートの途中に大胆な手口で誘拐されてしまいます。ダイアン・レイン演じる,この女性ロック歌手を,マイケル・パレ演じる,滅法強いヒーロー,トムの力で取り戻すというのが基本的なストーリーです。刑務所から出てきて,フラッとこの街に戻る冒頭の雰囲気からして西部劇そのものです。

もちろん単純に決着が付くわけではなく,誘拐犯であり街を牛耳る悪の首謀者,レイベンとの見応え十分の争いが続きます。最後は,1対1の素手でのケンカというのも,「ありがち」な展開です。レイベンは,ウィリアム・デフォーが演じていましたが,この人は風貌からして,悪の親玉にぴったりですね。

ダイアン・レインの救助作業自体は,トムの計画どおり進むので,比較的あっさり,「お見事!」という感じで終わるのですが,その後,トムの撃つ強力な銃の威力で,相手方のオートバイが次々に炎上したり(これがタイトルの由来か?),警察に追い回されたり,次から次へと災難が続きます。トムの助太刀をするマッコイという兵隊上がりの女性との友情が出てきたり,トムは警察にも一目置かれるようになったり,この辺も「あるある」という感じです。

こういうベタな作品なのですが,映画全体としては大変魅力的で,観ているうちに作品のペースにしっかりと巻き込まれてしまいます。これはやはり,全編を通じて背後に流れているロックン・ローンの音楽のノリの良さと,ダイアン・レインをはじめとした役者のはまり具合の力だと思います。音楽の方は,本当に最初から最後まで,ライ・クーダによる音楽が鳴りっぱなしです。

ダイアン・レインは,映画「スター・ウォーズ」で言うところの「レイア姫」的なドラマの中心になっていると同時に,しっかりプロの歌手として生きていこうという,自立した女性の持つ格好良さも持っています。相手役のマイケル・パレの方は,本格的2枚目というよりは,ちょっと屈折した不器用な雰囲気(素直に好きとか嫌いとか言えない感じ)と圧倒的な強さとが共存しており,不思議なリアリティを持っていました。

というわけで,ウォルター・ヒル監督の手で,作品のコンセプトが徹底的に貫かれた,見事なまでに爽快さのある作品になっています。画面の方も美しくリマスターされていたこともあり,全く古びたところがなかったのも驚きでした(若い人が観たら,どう感じるかわかりませんが...)。

アクションと音楽重視の作品については,家のテレビで観るよりは,映画館でみる方が絶対に楽しめると観る前から期待していたのですが,そのとおりでした。シンプルな構成だけに,侮れない普遍性を持った,快作ではないかと思いました。

映画を観終わった後,石川近代文学館方面に行ってみると,華やかにオクトーバーフェストをやっていました。予想外(?)に盛り上がっている感じでした。