2017年5月27日土曜日

映画「四月は君の嘘」をレンタルDVDで鑑賞。ヴァイオリンとピアノの二重奏が巧く使われていましたが...私にはやや眩しすぎる青春映画でした。

6月10日に石川県立音楽堂で,「四月は君の嘘」クラシックコンサート2017という演奏会が行われます。次がチラシです。
「若いアーティストによるクラシック音楽が出てくる作品」という情報しか知らなかったので,これを機会にどういう映画なのかDVDを借りて来て観てみました(たまたまレンタルビデオ店に行ったところ,新作コーナーにこの作品が並んでいるのを見かけたからなのですが)。

登場人物の中心は高校生の男女4人です。このうち山崎賢人が演じるのが,主役の「元神童=過去のアイドル」的なピアニスト・有馬公生です。この公生の再生がドラマのメインのストーリーです。公生は,ピアノ教師だった母による幼少期からの厳しい教育とその死の後遺症で,ピアノを弾いているうちにその音が聞こえなくなるという,ピアニストとしては致命的な問題点を抱えているという設定でした。

相手の「天真爛漫な女子高生ヴァイオリニスト」役が広瀬すず演じる宮園かをりです。この2人による二重奏がドラマのいちばんの見所ということになります。その二重奏がどういう形で出てくるか?これは観てからのお楽しみですね。

この2人に公生の幼なじみの男女が絡みます。演じているのが石井杏奈と中川大志です。こちらの2人の演技は主役の2人以上に良いなぁと思いました。中川大志の方は,よくよく見ると「『真田丸』の豊臣秀頼役ではないか!」と気づいたのですが,高校生役でも全く違和感はないと思います。そして,タイトルに出てくる「嘘」という言葉。誰のどういう嘘なのか?というあたりがポイントになります。

ドラマの展開は,ヴァイオリンのコンクールが中心になっていましたので,恩田陸さんの小説『蜜蜂と遠雷』に通じる部分もありました。パガニーニのカプリース第24番,サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」などが出てきました。そして,もう一つポイントになる曲がクライスラーの「愛の悲しみ」。この曲は本来は,ヴァイオリンとピアノの二重奏ですが,この映画ではラフマニノフ編曲版が,公生と母との思い出の曲として出てきました。この曲の使い方が巧いなぁと思いました。

クラシック音楽を扱った作品としては,「のだめカンタービレ」ほどマニアックでもコメディタッチでもなく,後半の方は特に,かなりベタな「難病モノ青春映画」的なタッチになっていきます。これをクラシック音楽の名曲の数々がきっちりと盛り上げてくれます。
というわけで,登場人物の「親の世代」以上である私としては,「画面が眩し過ぎる」感が無きにしも非ずでした。若い人向けの作品だと思うのですが,その音楽の方は,ラフマニノフやイザイによる編曲版を使っているなど,ヒネリが効いていて面白いなと思いました。

この作品はもともとは「月刊少年マガジン」に連載されていたマンガで,2014年からアニメーション化もされています。この映画で使われていた曲以外にもかなり色々な曲を使っていたようです。今回の演奏会では,その辺の作品も演奏されるようです。チラシに書かれていた演奏予定曲は次のとおりです。ショパンの曲を中心に,多彩な内容になっているので,純粋なクラシック音楽の演奏会としても楽しめそうですね。

  • パガニーニ:カプリース~第24番
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」~第1楽章
  • クライスラー(ラフマニノフ編曲):愛の悲しみ
  • ショパン:木枯らしのエチュード
  • ショパン:英雄ポロネーズ
  • クライスラー:愛の悲しみ
  • サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
  • ショパン(イザイ編曲):バラード第1番 他

ちなみに主役のヴァイオリニストの演奏は,北陸新人登竜門コンサートでオーケストラ・アンサンブル金沢と共演したこともある,福井県出身の篠原悠那さんが担当されてました(もしかしたらコンクールのコンテスタントの一人として映像に登場していたかも?)。最後に名前がクレジットされていました。OEKファンとしては,ここも注目ポイントだと思います。