2017年5月15日月曜日

#ひよっこ 今週の歌は「椰子の実」。この曲も耳に染みます。というわけで「ひよっこ 歌のアルバム」に期待しています。

NHKの朝ドラ「ひよっこ」は,先週あたりから「乙女寮」の中で合唱をするシーンがよく出てきます。この選曲がなかなか素晴らしいですね。

最初に出て来たロシア民謡の「トロイカ」,次に出て来た「恋はやさし野辺のばらよ」。両方ともに,ただ歌うだけでなく,セリフと映像と見事にマッチしていました。

「トロイカ」の方は,ソリを引く馬がだんだん疲れて来るようにテンポが遅くなるのですが,3番の歌詞では最後の力を振り絞るように最初のテンポに戻ります。その時の合唱の先生の「あの森越せば?」の問いかけに対し...食いしん坊の澄子がすかさず「楽しい宴だっぺ」と元気に反応。この辺りのやり取りの面白さに「なるほど,そういう解釈だったのか」と感心しました。

「恋はやさし野辺のばらよ」の方は,ラジオ工場で働く「乙女」たちの日常の映像と重なり,共同生活の楽しさと同時にどこか切ない気分が,まったくセリフで説明することなくしっかり伝わってきました。乙女たちが,指揮者の方をしっかりと見て「恋はやさし...」と歌う映像は「絵になるなぁ」と,こちらも感心しました

そして,本日登場したのは「椰子の実」でした。島崎藤村作詩(作詞ではないですね),大中寅二作曲による日本の歌曲の名曲ですが,ふるさとを思う「乙女」たちの心情とこれもまたピッタリとシンクロ。故郷の家族からすっかり見放されている澄子の「涙」へとつながっていました。

この「椰子の実」という曲ですが,個人的にも大好きな曲です。私が中学生の頃,NHKの中西竜アナウンサーのナレーションによる「にっぽんのメロディ」というラジオ番組を父親がラジカセで録音してよく聞いていました。その中に東海林太郎が歌ったこの曲がありました。これが不思議と今でも耳に残っています。

この曲は3番の歌詞の最後の部分だけ,別のメロディになり「思いやる八重の汐々 いずれの日にか故国(くに)に帰らん」と終わるのですが,この部分が特に心に染みます。書いているうちに東海林太郎の歌を聞いてみたくなってきました。

この3曲は,「ひよっこ」の中で歌われている時点で,すでにナツメロのような曲だと思いますが,21世紀の今聞くとかえって新鮮に感じられる気もします。桑田佳祐によるテーマ曲「若い広場」という曲も,客観的に聞くと「ナツメロのパロディ」ですが,聞いている視聴者の多くは,ストレートに「いいなぁ」と思っている気がします。もしかしたら,歌っている桑田さん自身も,パロディとしてではなく,本気で楽しんで歌っているようにも思えます。

というようなわけで,この番組に出てくる音楽については,色々な時間軸での重層構造が感じられ,最終的には,どの世代の人も「良いものは良い」と思って楽しめるような曲が次々出てきているように思えます。あまり合唱ばかりしていても,ドラマが進まないのですが,「次は何の曲が出てくるだろうか?」と楽しみにしています。

ちなみに,先週末は,有村架純さんと宮本信子さんが「あまちゃん」以来の再会をしていましたが,今回の「ひよっこ」についても,予想外に音楽の比重が高いのでサントラ盤的に「ひよっこ 歌のアルバム」を作れるかもしれませんね(この際,和久井映見さんの鼻歌も入れてもらっても良いかも。)。密かに期待しています。