まず,徳田秋聲記念館でやっていた「秋聲の描く風土,金沢」へ。チラシの雰囲気が魅力的だったのと,会期中イベントとして本日は学芸員の方による展示解説が入るということで,見に行くことにしました。
今回の展示は,「金沢三文豪」と言われながらも,金沢について辛口のことばかり書いていた秋聲が,金沢市内のいくつかのポイントをどう文章で描いていたかに焦点を当てたものです。こういう「文章」についての展示の場合,読むのがちょっと面倒だったりするのですが,学芸員の方が,とても丁寧に説明していただいたので,「なるほど」という感じで興味を持って秋聲の「金沢への複雑なこだわり」に触れることができました。
金沢について,「暗い」とか「貧弱」とかいろいろと辛口なことを書いているけれども,それは愛着の表れといえそうです。記念館には,旅行ガイドなどのために,秋聲が金沢について書いている文章を紹介して欲しいという依頼があるそうですが,手放しで誉めている文章がなく,どれもどこか使えない部分がある,とおっしゃられていたのが印象的でした。
紹介されていた文章で「いいな」と思ったのが,「屋敷町(記念館付近だと思います)」についてのものです。
金沢の色とか情調とかをよく味わう事の出来るのは秋の末から冬にかけてである。...金沢には瓦屋根が少なく大抵板葺きで,其の上に石を載せてあるのだが,其の屋根に霰が降る。其の音が冬が来たという事を知らせるのである。 (随筆「加賀」(明治44年2月)
これをきっかけに,秋聲の作品を何か読んでみたい...といつも思うのですが,なかなかハードルが高いですね。今回のガイドペーパーには,秋聲が書いた金沢についての文章が沢山掲載されていたので,こういう「抜き書き」+解説を文庫本サイズにしてもらえると,秋聲入門になる気がしました。
その他,秋聲関連ですが,「金沢カフェ&カルチャー まちの踊り場」という場所ができたとのことでした。
http://www.odoriba.net/about.php
今回の展示中の秋聲の手紙の中にも出て来た正田さん(秋聲の異母兄)の家を改装した多目的なスペースということで,是非,何かイベントがあれば行ってみたいと思います。
記念館を出て,浅野川大橋から見る天神橋へ。この風景が好きです。秋聲も好きだったかも?
その後,香林坊まで移動し,石川近代文学館の「作家と酒と食 ほろ酔い文学館」へ。こちらもポスターの雰囲気と展覧会のタイトルに惹かれました。
せっかくのレンガの建物の前に車が停まっているのは,観光用の写真を撮るには邪魔かな |
帰宅途中,ついに雨が降って来たので,帰宅後は風呂に入って,日本酒の熱燗を飲みました。やはり,暗い曇り空が多く,エビ,カニ,カキなどの海産物が豊富な冬の金沢には,日本酒がいちばん合うのではないかと思います。
ちなみに,今晩の組み合わせは,先週能登で買ってきた「いしる干しの珍味+萬歳楽」でした。