タワーレコードのフリーマガジン intoxicate をパラパラと見ていたところ,「冨田勲新制作「イーハトーヴ」交響曲世界初演」という記事がありました。その副標題が「パペピプ親父と初音ミク,賢治の理想郷で再会なるか!?」というものでした。
この「パペピプ親父」という言葉ですが,記事中の言葉をまとめると「冨田勲のシンセサイザー曲に良く出てくる,ヴォーカロイド的なクセのある音」ということになります。この「イーハトーヴ交響曲」は,冨田さんが40年以上前に作った交響詩「銀河鉄道の夜」をベースとして作っている部分があるそうですが,その曲にも「パペピプ親父」が出てきます。
この「イーハトーヴ」交響曲ですが,今回はゲスト(?)ヴォーカルとして,初音ミクがキャスティングされているとのことです。それで,「記事の見出しに「再会」という言葉が使われていることになります。
初音ミクについてはよく知りませんが,「パペピプ親父」という言葉は面白いですね。冨田さんのシンセサイザーの曲には,人間が歌っているような声が,ふっと入ってきたりします。男の声のようなので,確かにパペピプ親父という感じです。
このパペピプ親父ですが この記事によると,手塚治虫のマンガの創作の方法論から学んだと書いてあります。手塚治虫のマンガにも,ストーリーと関係なく「ヒョウタンツギ」というキャラクターが出てきますが,パペピプ親父の使い方もこれと似ています。
というようなわけで,冨田さんがアレンジした曲を久しぶりに聞きたくなってきました。我が家には中古CDで買った「宇宙幻想」というCDがあるので聞いてみたのですが,「スターウォーズ」の最後の方に,このマンガ的な表現が出てきました。オネゲルの「パシフィック231」などは,もしかしたら「銀河鉄道の夜」の雰囲気と通じるものがあるのかもしれません。アルバム中では,ホラ・スタッカートが軽快で楽しくて好きなのですが,今回新たな耳で聞きなおしてみると,どの声部もヴォーカロイドのように聞こえてきます。そこが面白いところです。
冨田さんの作品は,シンセサイザーによる音楽の日本の最初期のものだと思いますが,それ以降の作品はこれを越えていないのではないか?という気さえしてきます(他のシンセサイザー曲をよく聞いていないので推測ですが)。そういう意味では,冨田さんの作品は,「クラシック」と読んでも良いのではないかと思います。