2024年11月3日日曜日

昨晩NHK BS「伝説のコンサート」で放送していたチューリップのライブ...途中から何となく観てしまいました。変わっているようでずっと変わっていないのが良いですね。余談ですが「心の旅」はビートルズの「ハロー・グッドバイ」と結構似ているかもと思いました。

昨晩何となくNHKのBSを観ていると,かなり若い頃の財津和夫さんが歌っていました。「伝説のコンサート」という番組で,今回は次のとおり1980年代のチューリップのライブを取り上げていました。

https://www.nhk.jp/p/ts/KZ1WX2427V/episode/te/R37JQP8R2N/

私自身,チューリップをはじめ日本のポップス系のコンサートには全く行ったことはないのですが「この雰囲気」が懐かしく,その後最後まで観てしまいました。デビューして50年にもなるグループですが,変わっているようで基本的なスタンスがず~っと変わらないのが良いなぁと思います。

最後じっくりと聴かせる壮大な曲が終わった後,アンコールでいちばんのヒット曲「心の旅」が歌われましたが,この曲を聴いていると1970年代前半は,ビートルズの影響を受けた曲が多いのだなと改めて思いました。特にこの曲はビートルズの「ハロー・グッドバイ」と次の点で似ていると思います。

我が家にある「ハロー・グッドバイ」はこのベスト盤に収録されているものです

  1. どちらもイントロなしで始まる(こういう曲は少なくはないですが...)
  2. 「心の旅」は冒頭がサビだと思いますが,「ダンダンダンダン,ダンダンダンダン」という、強く歯切れ良いリズムのパターンが一貫しているのは共通
  3. 特に「心の旅」の最初の方の「あーだから今夜だけは、君を抱いていたい」の後に出てくる「上向フレーズ」については、「ハロー・グッドバイ」の中でも同様のフレーズが何回も出てきますね。この「ドレミファソラシド」的なフレーズはどちらも曲の「肝」になっていると思います。
この「心の旅」ですが、実はかなり長い間(チューリップは以前、あまりテレビに出ていなかったので)、財津和夫さんが全部ボーカルを歌っているのかと思っていたのですが、サビの後の少し甘い感じになる部分は別の人(姫野達也さん)が歌っているということにある時期に気づきました。この姫野さんが歌っている部分は結構長いのですが、聴くたびに良いなぁ思います。特に2番の詞の「愛に終りがあって心の旅がはじまる」という部分は沁みますね。

アンコールの最後は、多分これもお約束の曲、デビュー曲の「魔法の黄色い靴」。この曲もビートルズの雰囲気が漂っています。そもそも「黄色い」と聴いただけで「イエローサブマリン」を連想してしまいます。

チューリップが再度ライブを行うことは今後はないのかもしれませんが、自分と同時代を生きてきたアーティストが息長く活動をしているのを見ていると、大きな励みになりますね。

2024年9月1日日曜日

石川県立音楽堂 #音楽堂マルシェ オープン。カフェコンチェルトもリニューアル。タンノイのスピーカーから流れる音楽とともにリッチな時間を過ごせそう。

台風10号の方はスピードが遅すぎて金沢では,今のところほとんど影響なし。 そんな中,石川県立音楽堂に能登半島地震復興支援と音楽堂の有効活用を意図した「音楽堂マルシェ」がオープンし,音楽堂2階(ホール入口前)のカフェコンチェルトもリニューアルオープンしたので,出かけてきました。



まずはオープニングセレモニー。音楽堂の表館長から「がんばろー」の挨拶,そして出店者のジビエふじ子さんから感謝と期待の言葉がありました(実は,今年の連休のガル祭の時に出店していた「狩女の会」の店でふじ子さんの本を買ったことがあります。本当にエネルギッシュに活動されていますね)。

その後,カフェコンチェルトへ。この前の「OEKありがとうコンサート」の時から,「何かある」と気になっていたのですが,新しくオーディオ装置が設置され,音盤(CDやLPレコード)を聞きながら,コーヒーや軽食を楽しめるようになりました。



店の方は,このところOEKのコンサートの時にいつも出店している「金澤ちとせ珈琲」さんです。コンサートの時と違うのは,紙コップではなく,コーヒーカップで出てくる点です。オープン記念ということで,コーヒーを飲みながら高級オーディオを楽しんできました。

宣伝用の「うちわ」を配布していました。
奥に見えるのがタンノイのスピーカー

その後、セッティングを担当したオーディオファミリーさんによる説明がありました。

  • 今回40年ぐらい前のタンノイのスピーカーを設置
  • このスピーカーは部屋のコーナーに置くタイプだが,カフェコンチェルトは天井の高さの差が大きいため,2つをまとめて設置し,2つのスピーカーの前で音が完結するようにした。
  • 音の厚みと余裕のある音楽表現を楽しめる
  • スピーカーはタンノイ製,LPレコードプレーヤーはDENON製,CDプレーヤーはマランツ製,アンプはマッキントッシュ

    # 私自身高級オーディオの世界には縁はないのですが,名前ぐらいは聞いたことのあるメーカーばかりです)
ということで,これからこの場所を喫茶スペースとしてだけでなく,音盤を活用した軽めのイベントスペースとして使っていったも良いのではと思いました。音盤を使ったイベントでは,金沢蓄音器館が活発に活動を行っているので参考になるのではと思います。また金沢工業大学ではLPレコード(クラシック以外ですが)の大コレクションがあるので,それらを使ってイベントをしても面白いと思います。

コーヒーの値段はやや高めですが,音楽とセットでゆったりとした時間を楽しめるスペースとして定着していって欲しいですね。

ちなみにこの日流れていたのは、岩城宏之指揮OEKによるクラシック音楽の小品集の「カンタービレ」。その後、ゲオルク・ショルティ指揮シカゴ交響楽団によるマーラーの交響曲第3番になっていました。流すディスクの選定を誰が行うのかも少々気になりますね。


PS. せっかくなのでマルシェの方でも買い物。実は2週連続なのですが、輪島朝市の店で赤魚の干物を夕食用に買ってみました。

こちらは和倉のキャラクターですが、九谷焼とコラボでしょうか?

音楽堂のまわりには、マルシェのフラッグが出ていました。





2024年8月15日木曜日

映画「東京カウボーイ」(2024年8月10日,シネモンド)の感想と井浦新さんの舞台挨拶の内容などをまとめてみました。

今年の夏休みは8月10~18日の9連休。その初日,金沢の東急スクエアにあるシネモンドで「東京カウボーイ」を観てきました。



主演の井浦新さんの舞台挨拶&サイン会が行われるということで観に行くことにしたのですが,とても気持ち良く楽しめる作品でした。

作品のデータは次のとおりです。

  • 東京カウボーイ Tokyo Cowboy
  • 監督:マーク・マリオット(2023年・アメリカ映画)
  • 脚本:デイヴ・ボイル,藤谷文子
  • 出演:井浦新,ゴヤ・ロブレス,藤谷文子,ロビン・ワイガード,國村隼 他

アメリカ映画なのですが,監督のマーク・マリオットさんは,山田洋次監督の下で「寅さん映画」の現場経験もお持ちということで,映画のテーマやキャラクターの設定などに,山田洋次監督の影響があるような気がしました。そこが面白いなと思いました。

物語は米国モンタナ州にある経営不振の牧場が舞台。その立て直しのために渡米した主人公の商社マン,ヒデキ(井浦さんの役)の奮闘と変貌の物語というのが作品の大まかな内容です。日米の文化の違いを乗り越えて,変わっていく井浦さん(スーツ姿からカウボーイの服装へ)の演技が見ものでした。人間味のある濃密なコミュニティの中で,自然や動物と一緒に生きる生き方に馴染んで行ってしまう展開は,上述のとおり山田洋次さんの作品に通じるものがあると思いました(山田監督の場合,モンタナ州ではなく北海道になりそう)。

井浦さん演じるヒデキの表情がリラックスした表情に変わっていくのを観ていると,お客さんの方もまた「モンタナ...良さそう」という気分になったのではと思います。現実には「アメリカ=大らか」という単純なものではなく,モンタナでの生活はどうみても不便そうでしたが,日本社会そのものや日本での働き方に定着してしまっている「息苦しさ」に苦しんでいる人は「別の働き方」への共感を持つのではと思いました。

ヒデキに同行するばずだった和牛の専門家が渡米後早々,骨折して入院してしまい,全く役に立たず「ただアメリカ滞在を楽しんでいるだけ」という感じになっている感じも面白かったですね。この役を演じていた國村隼さんのコミカルなキャラクターも山田洋次監督作品に出てきそうだなと思いました。

ヒデキが現地の人たちと打ち解けるきっかけとなったのが,バタンガという「一見飲みやすいけれども強いお酒」。これで気持ち良く酔い,吹っ切れてしまい,ヒデキも開き直った感じになります。ラテン系のお酒のようですが,一度飲んでみたい気がしました。

映画終了後は,井浦新さんの舞台挨拶があり,その後,質疑応答の時間がありました。時間間をオーバーして,とても丁寧に受け答えをする井浦さんの姿勢が素晴らしいと思いました。次のようなことを語っていました。

  • 監督のマーク・マリオットについて:長編映画を作るのはこの作品が初めて。ドキュメンタリー映画を作ってきた人だが,その要素が今回の作品にも入っている(井浦さんの役は,最初馬に乗れず,アメリカで乗れるようになる役柄。事前に乗馬の練習はしないで欲しいと言われ,その過程そのものを撮影していた)。監督からはナチュラルな演技を求められ,だんだんと演技はそぎ落とされていった感じ。
  • アメリカの映画では,通常ラッキーで主役になる人はいない。皆,しっかり演技の勉強をしてきた人ばかり。その一方,井浦さんはたまたま役者になり,今回も監督から直接オファーを受けた点で例外的(河瀬直美監督の映画「朝が来る」を観て,井浦さんにオファーすることにしたとのこと)。
  • モンタナの星空は素晴らしかった。人工物のない場所で180度の夜空を観られた。チラシには「Big Sky Country」というモンタナ州のキャッチフレーズが書かれていましたが,そのとおりという感じですね。

  • 質問:井浦さんは多方面で活動されているがそのエネルギーの秘密は? 回答:何事も好きでやっている。それは「好き」と言えるものが無かった10代の頃からのコンプレックスの反動かもしれない。最近は「普通の幸せを味わえることを大切にしたい」と思えるようになってきた。その一方「好き」が多いと,追い詰められることもあるので,少しずつ削っている。役者については,もともと好きだったわけではなく,途中から好きになった。好きというだけで続けられるものである。
  • 質問:ファッションについて 回答:ファッションには関心があるが,映画の中でのファッションには特に注意が必要。プロに任せている。
  • 質問:今回の映画で変わったことは? 回答:これまで「殺す役」「苦しむ役」などが多かった。今回の役で久しぶりにデトックスした感じ

その後は撮影タイムになりました。写真は是非SNSでPRをとのことでしたので,掲載してみたいと思います。次のような雰囲気でした。




シネモンドのXには,ステージ側から撮影した写真が掲載されていました。

そして別室に移動後,パンフレットにサインを頂きました(長蛇の列)。大変良い思い出になりました。ちなみにこのパンフレットですが,シナリオが全部掲載されていました。


PS.映画館の外に出ると,香林坊付近は歩行者天国になっていました。こちらも夏の気分。夏休み初日はなかなか充実した一日になりました。


PS2.シネモンドの今後の上映予定ですが,1990年代に輪島で撮影を行った,是枝裕和監督初の長編映画「幻の光」が8月17日から上演されます。こちらも注目です。



2024年7月26日金曜日

パリ・オリンピック開幕間近ということでフランスにちなんだCDを聴いています。バッハ「フランス組曲集」(コルネリア・ヘルマン)&「シル・ヴ・プレ(御喜美江)」

 パリ・オリンピック開幕間近ということでフランスにちなんだCDを聴いています。一つはバッハのフランス組曲集(ピアノ:コルネリア・ヘルマン)。もう一つは「シル・ヴ・プレ」(アコーディオン:御喜美江)というアルバムです。

バッハはクラヴィーアのための組曲を3セット書いています。パルティータ,イギリス組曲,そしてフランス組曲。各曲ともアルマンド,クーラント,サラバンド,ジーグといったヨーロッパ各国起源の舞曲を組み合わせた組曲で,フランス組曲だからといってフランス的というわけでもないのですが(タイトルがフランス語で書かれており,フランス起源の舞曲が多いということのようです),全体的にどこか優雅で洗練された味わいがあります。演奏時間も他の2セットよりは短めなので,何となく手に取って聞きたくなる曲集です。

最近よく聞いているのは,コルネリア・ヘルマンというピアニストのCDです。


2022年の楽都音楽祭でオーケストラ・アンサンブル金沢と共演したシューマンのピアノ協奏曲が素晴らしかったので,その時に購入した録音です。全曲ではなく1番,2番,5番,6番のみが入っています。淡々としているけれども暖かみがあり,ウエットな感じはしないけれども豊かな情感が漂っている。そんな演奏です。定型的な組曲だけれどもどこか非日常的な感じがあり,音が流れている間だけは,部屋の中が豊かな時間に変わる気がします。特に有名な第5番が好きです。最初の「アルマンド」は舞曲とは名ばかりなのですが,優雅に流れて行くメロディラインが本当に魅力的です。

もう一つの「シル・ヴ・プレ」はタイトル自体フランス語。”S'il vous plait "ということで英語の ”Please" に当たるフレーズです。日本語の「お願いします」「どうぞ」といった言葉とぴったり対応するのか知らないのですが,初心者(私)でも確実に聞き取れるフランス語の代表だと思います。その語感がまずフランス語的ですが,このアルバムの主役であるアコーディオンという楽器もフランス,というか「パリの街角」といった連想をされてくれます。日常的に聞く機会の少ない楽器になってしまったこともあり,御喜美江さんの演奏にもどこか懐かしさが漂います。


収録されているのは,御喜さんの得意とするアンコール・ピース的な曲ばかり。こちらも2015年の春の連休中の音楽祭の時に買ったものです。まだ「ラ・フォル・ジュルネ金沢」だった頃に御喜さんの素晴らしい演奏を聴いて購入。その後,サインもいただきました(岩城宏之さんとの思い出を語っていたことを思い出します)。

ヴィルトーゾ・アンコール集という日本語のサブタイトルどおり,超絶技巧の曲も含まれているのですが,その演奏には安心感と自在感があり,リラックスした楽しむことができます。何より常に軽やかさと透明感のあるアコーディオンの音が魅力的です。例えばシューベルトの「楽興の時」第3番も収録されているのですが,その押しつけがましくない哀愁はこの楽器にぴったりです。


「指先もどかし」という,ちょっと変なタイトルの曲も入っています。原題は「Dizzy Fingers」。このタイトルには聞き覚えがあります。大昔,私の妹が電子オルガンを習っていた頃に演奏していた曲なのですが...巧すぎて全然「指先もどかし」という感じではないですね(テンポ感も違い過ぎて同じ曲とは思えない...)。ちなみにこの曲ですが,海外ではスタンダードナンバーのような感じで,原題で検索すると色々な楽器による動画などがヒットします。

今回のパリ五輪はヨーロッパでの開催ということで,リアルタイムに楽しむのは難しい場合も多そうです。好きなCDを聞きながら(+暑さをしのぎながら),何となくフランス的な雰囲気を味わいつつ過ごしてみようかなと思っています。

2024年6月8日土曜日

この週末は金沢駅もてなしドーム地下で行っている中古音盤市へ。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集,ポリーニ追悼...色々買ってしまました。

金沢駅もてなしドーム地下での「中古音盤市」の割引券付きハガキが送られてきたので,昨晩(金曜の夜)出掛けてきたのですが...週末の気の緩み(?)もあり,結構買ってしまいました。

例によって「運だめし」の積もりで買ったものもあったのですが,パッと聴いたところ,どれも良い感じです。今回は次のようなディスクを買いました。


1.ハンガリー弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集
アルバン・ベルク・カルテットの全集は持っているのですが,きっちりしすぎていて「結構疲れるかな」という所もあります。それではと別のセットが欲しくなり衝動的に選んだものです(3000円以下と思ったのですが,税込みで3000円を少し超えました)。パッケージがきれいだったのでもっと新しい録音かなと思ったのですが...モノーラル録音でした。ただし、録音は悪くはなく、緊密さと手触りの暖かさが両立している感じです。ここ数年「金澤弦楽四重奏団」による全曲シリーズをライブで聴いているので,それに合せてじわじわと聴いていきたいと思います。

2.クララ・ハスキルのピアノによるシューマンのピアノ協奏曲など

これはまず、500円以下という値段に引かれて買ってみました。シューマンのピアノ協奏曲のディスクは数枚持っていますが,この曲は「クララのための曲、そしてクララが初演した曲」ということで「クララの演奏で聴きたい」と連想してしまいました。こちらもモノラル録音で,ちょっと人工ステレオ的な感じの音ですが,クララハスキルのピアノの気品の高さのようなものが漂っています。その他,「子供の情景」「森の情景」なども入っています。

3.マウリツィオ・ポリーニとイタリア弦楽四重奏団によるブラームスのピアノ五重奏曲
このディスクについては,ずっと「持っていたつもり」だってのですが,先日ポリーニが亡くなった時に調べていると,実は持っていないことが判明。ポリーニによる室内楽録音は,非常に珍しく,1980年代に最初に聴いた時(友人の家で聴いたはず)から,心引かれるものがありました。45分以下の収録時間ですが,1曲で十分といったカロリーの高さのある演奏です。

4.C.P.Eバッハのヴィオラ・ダ・ガンバのディスク
これは運試しで買ったもの。1年ほど前に行われたC.P.E.バッハ特集のオーケストラ・アンサンブル金沢の定期公演以来,「C.P.E.バッハ」の名前が頭の中の「買い物リスト」に追加されました。以前、シンフォニアを買ったことがあるので,今回は室内楽に。一聴した感じゆったりとした中低音の魅力を楽しめそうですが...C.P.E.バッハならではの意外性もありそう。チェンバロ奏者のクリスティアーヌ・ジャコテの名前にも反応。フォルテピアノを演奏している曲もあったりするのも注目です。

5.ゼレンカの6つの室内ソナタ集のVol.1
こちらもゼレンカという作曲者名に反応したものです。以前,実演で聞いて良いなと思ったのですが...同じ曲かどうかはよく分かりません。編成が結構変わっており,オーボエ2本,ファゴット,ヴァイオリン,コントラバス,チェンバロ奏者がジャケットに写っています。知らない人たちばかりですが...ダラス交響楽団のメンバーなどのようです。コントラバスやファゴットが入っているので,音に独特のどっしり感があり,気分が落ち着きます。読書しながら聞くのに良い感じかもしれません。

6.イザベラ・ファウストの2枚組録音

実演では聞いたことはありませんが,現代を代表するヴァイオリニストの一人がイザベラ・ファウストだと思います。1枚もディスクを持っていなかったことに加え,ジャケットの写真と「目があってしまった」ので購入。ベートーヴェンの協奏曲,シューベルトのソナタ,バルトークのソナタ1番,マルティヌーの協奏曲第2番が収録されています。ベートーヴェンだけまず聴いてみたのですが,ビエロフラーベク指揮プラハ交響楽団ともども,虚飾を排した美しさのある正統的な演奏という感じ。そのうちに実演を聴く機会があることを期待しています。

どれも「聞き飽きない」感じのディスクなので,梅雨の期間など,家の中で過ごす時にはじっくりと(作業しながらということもありますが)聴いてみたいと思います。

この音盤市ではLPジャケットを展示するのも恒例。今回も色々飾られていました。
テーマは「遊び心」た

ビートルズのLPジャケットには惹かれるものがあります。
「サージェント・ペパーズ...」の方は特に凝った遊びという感じですね。

懐かしの映画「クレイマー・クレイマー」。
ヴィヴァルディのマンドリン協奏曲が人気になりましたね。



2024年3月30日土曜日

マウリツィオ・ポリーニをしのんで,モーツァルト,ベートーヴェン,ショパンのCDを聴いています。

 ピアニストのマウリツィオ・ポリーニが先日亡くなりました。ポリーニの実演に接したことはなかったのですが(非常に残念),私がクラシック音楽を聴き始めた1970年代後半以降ずっと聴いていたピアニストだったので,大きな喪失感を感じています。

ただし...正確には21世紀になってからはあまり熱心に聴いてはおらず,1970年代~1980年代にかけてドイツグラモフォンから新譜が定期的に出ていた時代が私にとってのポリーニの演奏のイメージです。クラシック音楽のメディアがLPからCDに移行して,全盛期を迎え,それが衰退していったのとポリーニの音楽人生は重なる気もします。

ポリーニのピアノ演奏を聴くと,いつもその回りだけ空気が澄んでいるような潔癖さを感じ,身を正して聴かないといけないかなと思ってしまいます。「冷たい」と呼ばれることもありましたが,その裏には芸術作品としての各曲に対する強い敬意と熱さが感じられました。新譜のほとんどがドイツ・グラモフォンから発売されていたこともあり,「ピアニスト中のピアニスト」といった別格のステータスを持ったアーティストだったと思います。

ポリーニの残した,奇をてらった部分のない,ゆがみなく,強く美しい音楽の数々は不滅の輝きを持ち続けると思います。というわけで我が家にも1970年代から1990年代に掛けて録音されたCDがかなりあります。その中で特に印象に残っているものを3つ紹介しましょう。

1つ目モーツァルトのピアノ協奏曲第23番と第19番の1976年の録音。カール・ベーム指揮ウィーン・フィルとの共演です。まず,ウィーンフィルが演奏したモーツァルトのピアノ協奏曲...というのは以外に多くない気がします。23番の序奏部分から品格の高さのある美しい音が聞こえて来て,すがすがしい気分になります。そこにポリーニのけれん味のないピアノが加わります。ベームとポリーニはかなり年齢差がありますが(当時どちらも大人気でしたね),どこかかっちりとした硬質感に共通点があり,非常に完成度の高い世界が広がっていると感じます。緻密にまとまってるけれども,自由な広がりもある見事な演奏だと思います。

2つ目ベートーヴェンの後期ピアノソナタ集(28番~32番。こちらは1975~1977年の録音。こちらも私にとっては,ザ・スタンダードという感じ。CDというメディアが登場して間もない頃,まず買いたいと思った演奏でした。2枚で6600円もしたのですが,今聞いても新鮮。「ハンマークラヴィーア」ソナタの冒頭部の輝きと力強さのある音を聴くと「これだ!」と感じます。

3つ目はやはりショパンの練習曲集(op.12,25全曲)。誰もがポリーニの代表作と感じる1972年の録音。今から50年以上の録音とは思えない,永遠の若々しさを持った演奏だと思います。第1番ハ長調の練習曲から,勢いのある音の流れが続き,すべてが鮮やかな世界に圧倒される思いになります。

その他,シューマン,シューベルト,ブラームス,プロコフィエフ,ストラヴィンスキーの曲の録音も持っています(どれもドイツ・グラモフォンですね)。書いているうちに全部を聞き返してみたくなったのですが,ポリーニの演奏ばかり聴くのも疲れそう(時間もないので)。これからも折に触れ,気持ちを引き締めたくなった時などに聞き返していこうと思います。

2024年3月23日土曜日

たまに無印良品にいくと,ついつい文房具に目が行き...丸軸万年筆と「おえかきマグネットハンガー」を購入。その後,岩波新書の新刊マイク・モラスキー著『ピアノトリオ:モダンジャズへの入り口』も購入。とても面白そうな本です。

 本日の午前中は金沢フォーラスへ。久し振りだったので無印良品にも行ってみました。行くと必ず文房具が欲しくなってしまいます。本日もついつい,丸軸万年筆(以前から気になっていた商品)と「おえかきマグネットハンガー」(こちらは衝動的に)を買ってしまいました。

丸軸万年筆は次のとおりアルミニウムの胴体のクールな感じの商品。既に万年筆は何本か持っているのですが,色々と試したくなるのは悪い習性です。手に取った感じ心地よい重みがあり,他の1000円代の万年筆よりはちょっと高級感がある感じです。書いてみると結構,硬い感じ。日記を書くのに使ってみようと思います。


インクはヨーロッパ標準のもので,ペン先はFでした。
蓋は本体の後ろにくっつけられますが,結構長くなるので
外したまま書いた方が良い感じかもしれません。

商品名どおり丸軸です。

もう一つの「おえかきマグネットハンガー」の方は,新しい商品かもしれません。2枚のマグネットの間に紙をはさんで飾る...という商品で実は目的をよく考えずに買ってしまったのですが...A4チラシを挟むとぴったりでした。私の場合,日常的に演奏会に通っているので,次に行く公演などを飾り,「気分を盛り上げる」のに良いかもしれません。次のような感じで使ってみようと思います。

結構マグネットが強力なので,1枚だけでなく数枚挟むこともできました。

最後は岩波新書の新刊。某商品券をもらったので,それを使って購入しました。実は現在,「岩波新書新赤版2000点突破記念読者プレゼント」というのを行っており,それに応募することが主目的でした。

https://www.iwanami.co.jp/news/n55235.html

本日買ってみたのが,マイク・モラスキーさんというアメリカ出身の早稲田大学教授(3月末で丁度定年退官とのことですが)が書いた『ピアノトリオ:モダンジャズへの入り口』という本です。


今年の春の連休中に行われるガルガンチュア音楽祭ではジャズも結構演奏されるということで,「より深く楽しむための入門書」として買ってみました。まだざっと内容を眺めただけなのですが,1950~60年代の主流派のピアノ・トリオの名盤の楽しみ方を非常に具体的に示しているということで...「70年前ならばほぼクラシック音楽と変わらない」のではと思いました。「渋い」「グルーヴ」とか日頃,感想を書くときに気軽に使っている用語をしっかりと定義しているなど「さすが岩波新書の中の1冊」という感じでした。

1950~60年代頃の演奏はYouTubeで聴けるものばかり,という点でジャズの基本的な楽しみ方を体感するのにも良さそうです。というわけで,少し時間をかけてじっくり読んでみたいと思います。