2025年11月24日月曜日

昨日のオペラ「高野聖」公演のお土産で買った山本タカト,鏡花絵ハガキ6枚セット。絵ハガキ用の額に月替わりで入れて飾ることにします。

 昨日,金沢歌劇座で観たオペラ「高野聖」公演のステージがあまりにも美しく変幻自在だったので,その勢い(?)でお土産として山本タカト,鏡花絵ハガキセットを買ってしてしまいました。

# 以下の画像は文章を補足するための「引用」として,画質を落としたものを掲載しています。

帯のマークは源氏香図。鏡花が好んだ
「紅葉賀(もみじのが)のデザインが入っています


左から「高野聖」「薬草取」「天守物語」
「草迷宮I」「草迷宮II」「夜叉ヶ池」というラインナップ

ただし...絵ハガキを買っても引き出しに仕舞ったままになる...ということも恒例なので,しばらく使っていなかった絵ハガキサイズの額に入れて,月替わりで(「今月の鏡花」という感じで)飾ってみようと企んでいます。


いきなり飾り出すと家人からは「何事か?」と思われそうですが,部屋の中に彩りが増しますね。ちなみにこの額ですが,6枚ぐらいは収容できるので,そのまま保存場所としても使いたいと思います。

といわけで皆様もお試しください。

2025年11月4日火曜日

映画「戦場のピアニスト」をNHK BSで観てみました。実話をベースにした主人公のピアニストから見た壮大な歴史画

 文化の日を含む3連休,色々と外出をしていたのですが,全般的に天候が悪かったこともあり,それ以外は自宅で過ごしていました。その時に観たのが少し前にNHK BSで放送していた「戦場のピアニスト」という2002年の映画でした。これを録画で鑑賞しました。実は,この映画のサウンドトラック盤だけは持っていたのですが,作品自体はしっかりみたことはありませんでした。見終わった後はスケールの大きな歴史画を観たような気分になりました。

物語は,ナチス占領下のポーランドを生き抜いた実在のピアニスト,ウワディスワフ・シュピルマン(エイドリアン・ブロディが演じていますの壮絶な半生を描いた実話をベースにしたドラマです。1939年ドイツがポーランドに侵攻後,ユダヤ人がゲットー(ユダヤ人居住区)に移され,さらに収容所に移され,ワルシャワでも市街戦が続く中,飢えや虐殺におびえる日々が続いていく...といった展開になります。監督のロマン・ポランスキー自身,ポーランドでの戦争体験者でそのことが映画の要所要所に反映していると感じました。

まず映画の描き方ですが,基本的に主人公のシュピルマン目線になっています。アウシュヴィッツなどの収容所の場面はほとんど登場しません。ドイツ軍に占領されたワルシャワ市内に焦点が当てられ,収容所に送られる寸前に運良く脱出できたシュピルマンのさらなるサバイバルがリアルに描かれていきます。

そしてタイトル(原題は「The Pianist」)に反して,ピアノの演奏シーンは意外に出てきません。ドイツ軍に捕まる前,シュピルマンがラジオ放送局でショパンを弾くシーンが出てきましたが(この時演奏されるのが,この映画で一気にメジャーな曲になった遺作のノクターン),捕まってからは隠れ家に潜んでいる形になるので,音を出したくても出せないという状況になります。ピアノを目の前にして,鍵盤ではなくその上の宙を叩いて「演奏する」シーンは特に印象的です(この時,頭の中に流れているのが,アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ)。

とはいえ,この過酷な状況でシュピルマンの命を救ったのもピアノ。隠れ家に潜んでいるところをドイツ軍幹部に見つかってしまうのですが,たまたまそこにあったピアノでショパンを演奏し(この時演奏するのがバラード第1番),命を助けられます。さらには食糧も補給してもらいます(戦争の終盤だったので,ドイツ軍幹部は先の状況がある程度読めていたのだと思います。)。隠れ家で見つけられる直前,べートーヴェンの「月光」ソナタが聞こえていました。これはこのドイツ軍幹部が弾いていたということなのだと思います。戦争中に音楽の力で交流するというシーンといえば,竹山道雄の原作を映画化した市川崑監督の「ビルマの竪琴」を思い出します。少々情緒的なのかもしれませんが,その力を信じたいなと思います。

そして映画全体としてみると,破壊尽くされた廃墟になったワルシャワ市街でさえ美しく描かれていました。一面瓦礫の山の中にシュピルマンだけが生き残っているようなシーンは,一枚の歴史画のようでした。そういう絵の連続でポーランドで起きた戦争を伝えようとする作品だと思いました。

最初にこの作品のサントラ盤を持っていると書きましたが,実は数年前この映画のピアノ吹き替えを演奏しているヤーヌシュ・オレイニチャクさんが金沢で演奏会を行ったことがあり,その前に中古盤で購入したものでした。というわけで,オレイニチャクさんのサイン入りです。


音楽担当はキラールという作曲家です。この作曲家については,「オラヴァ」というミニマル・ミュージック風の独特の迫力を持った作品がよく知られています(オーケストラ・アンサンブル金沢のファンならば特にそうだと思います)。そのキラールの曲も1曲だけ入っています。シュピルマン自身によるモノーラル録音によるマズルカも入っていたり,映画を観てから聴くと,さらに味わいが増すCDと言えます。

2025年10月23日木曜日

2025年秋の音盤市,今回買ったのはバーンスタインのストラヴィンスキー,ピレシュ&グシュルバウアーのモーツァルト,謎のフェドセーエフの録音。LPレコードの展示も楽しめました

定期的に金沢市内で行われている音盤市がこの前の週末,金沢駅もてなしドーム地下行われたので出かけてきました。購入したCDを紹介しましょう。


1枚目はバーンスタイン指揮による「春の祭典」組曲「火の鳥」(1919年版)の録音。10月下旬のオーケストラ・アンサンブル金沢の定期公演にちなんで購入。

自分でも意外だったのですが,1919年版の組曲「火の鳥」のCDを持っていませんでした。実演では何回か聞いているのですがCDでも欲しくなって購入。このCDですが,「春の祭典」の方がロンドン交響楽団,「火の鳥」の方がニューヨーク・フィルハーモニックの演奏です。それぞれ1972年,1957年の録音ということで,生きの良い演奏。「春の祭典」の最後の部分は2つの音で終わるはずですが,ほとんど1音のようにズバッと終わっているあたりが独特です。「火の鳥」はさらに若い時の録音で,軽快な爽快さのある演奏。終曲などは,晩年のバーンスタインのイメージからすると,結構あっさりした印象かもしれません。

2枚目は指揮者のテオドール・グシュルバウアーの名前を見て懐かしくなり購入。1970年代,クラシック音楽を聴き始めた頃,FM放送でよく耳にした名前です。そしてピアノは若き日のマリア・ジョアン・ピレシュ。この頃は日本語表記が一定していない感じで,「マリア・ジョアオ・ピリス」とか書かれていることが多かった記憶があります。


後から気づいたのですが...表紙の写真はなぜか盆栽。エラートの録音ですが,BONSAIという再発盤シリーズのようです。収録されている曲は,ピアノ協奏曲第13番と第14番+交響曲第29番。20番以降のCDは結構持っているので,10番台の曲を聞いてみたいと思い購入しました。

もう一つ後から気づいたのが,「AAD」の表記。アナログ録音をCD化した場合,「ADD」のものが大半なので,今どき珍しい...と書こうと思ったのですが「今どき」ではなかったですね。中古盤ならです。ピレシュもグシュルバウアーも大げさなパフォーマンスをするアーティストではなく,瑞々しく端正な演奏を聴いていると,とても落ち着きますね。

3枚目は,まず指揮者のウラディーミル・フェドセーエフの名前に目が行ったのですが,よくよく見ると収録されているのはヴァイオリン協奏曲などソリストが主役の曲ばかり。まずこの「表記のアンバランスさ」に注目してしまいました。


ジャケットの表記では目立たないのですが,アンドレイ・コルサコフというヴァイオリニストの見事な技巧が楽しめる録音になっています。若くして亡くなったヴァイオリニストのようですが...それならば,この方の名前の方を大きくしてあげれば良いのにと思わせる録音です。「チャイコフスキー交響楽団」というオーケストラの名前も目立ちます。日本では現在でも「モスクワ放送交響楽団」という名前で呼ばれているようですが,こちらがソヴィエト連邦崩壊後(もう35年ぐらい前になりますが)正式名称のようです。

ソリストよりも指揮者の名前の表記が大きい理由は謎ですが,それだけ(特にロシア国内では)フェドセーエフが尊敬され,人気が高いということなのでしょうか。聞いたこともないレーベルの録音なので,その点でも貴重な音盤かもしれません。

解説書内の写真も指揮者の方が大きくカラーです

3枚ともざっと聞いただけなので,これからじっくりと聞いてみたいと思います。

音盤市でもう一つ楽しみにしているのが,LPレコードのジャケットの展示です。今回のテーマは「おいしいもの」。こういう展示ができるのもLPレコードの楽しさですね。


財津和夫さんが水の中(?)で食事中という結構シュールなジャケット

チューリップということで,こちらも財津和夫さん関連。かなり初期のLPのようです。

大関・増位山。最近お亡くなりになられました。お相撲さんには,歌の上手い方が多いですが,歌手(まげを結っている写真なので二刀流ですね)としてもっとも売れたのはやはりこの方。琴風さんもレコードを出していましたね。

服部克久さんの音楽畑。これはシリーズものだった記憶があります。

北海道といえばカニ。写真のカニは毛蟹でしょうか?

スペインの歌を集めたLP。何かを飲んでいますね。アルコール類でしょうか。

これはよく分からないレコードだったのですが,昔懐かしい歌手・俳優の顔が並んでいます。

ジューシィ・フルーツという名前のグループ。この名前からしてテーマにぴったりですね。

最後は渡辺貞夫さんのレコード。直筆のサイン入り。最後に「。」が付いているのが面白いですね。
というわけで,この音盤市ではジャケット展の方も楽しみにしています。

2025年9月27日土曜日

NHK朝ドラ「あんぱん」最終回にちなんで「それいけ!アンパンパン:ベストヒット'96」というCDを久しぶりに取り出してみました

 NHKの朝ドラ「あんぱん」も昨日で終了。半年間楽しませてもらいました。

主人公・のぶは最後難病にかかりますが,亡くなって終わりとするのではなく,夫・たかしの尽力もあり,最後の数年間は「いきるよろこび」を持って生きることができた...といった終わり方にしていたのが良かったと思いました。「命をつないでいく」という「アンパンマン」のお話に合ったエンディングだったと思います。

というわけで,我が家に残っている,テレビアニメ「それいけ!アンパンマン」で使われていた音楽を集めたベスト盤を久しぶりに取り出してみました。「幼児はみんなアンパンマンが好き」という法則(?)どおり,我が家の子どもも大好きで,その流れで買ったものですが...30年近く前のものということに感慨を感じます。次の写真のとおり相当ボロボロです。

朝ドラの最後の方でも「アンパンマンのマーチ」は重要な役割を果たしていましたが,この曲のイントロのシンバルの鮮烈な音が聞こえると,「パッ」と画面を見てしまいますね。朝ドラの最終回前日では,「無事アニメがスタートできました」というシーンで使っていましたが,この明るい画面を見るだけで泣けてきそうになります。

歌詞カードにはこの曲に合わせて踊る
振付けも描かれていました。

このベスト盤に収録されているのは次のような曲です。すべて,やなせさん自身が作詞しています。


実はアニメ自体,私自身はあまり見たことはないのですが,ばいきんまんとかドキンちゃんといったキャラクターはお馴染み。それぞれに人気がありますね。

明るいキャラクターが多い中,一味違うのがロールパンナ。ドラマでは蘭子(Rの音が共通しますね)が担当。他にも色々なキャラクターが出てきましたが,「アンパンマン」の世界観と「あんぱん」の世界観がとてもうまく重なり合っていた(誰が誰のイメージか探すのも)のも面白かったと思います。

それにしても蘭子役の河合優実さんは良かったですね。助演女優賞だったと思います。何とも言えない「冷めているような燃えているような感じ」「昭和の感じ」は,妻夫木さんの抑えた演技ともども,ドラマ全体の中で明るいアンパンマンの世界の対旋律のようにずっと続いており,それが「見応え」を作っていました。

そして今田美桜さん。ドラマの最後に行くほどドキンちゃんに顔つきが似てきたように感じてしまいました。ちなみに次の「私はドキンちゃん」は,いずみたくさんの作曲です。


好むと好まざるに関わらず,色々な人たちが重なり合い,つながり合い,時にはアンパンパンのようなヒーローに救ってもらいながら,結構生きるのが大変な人生を生き抜いていく。ある意味メルヘンの世界なのかもしれませんが,その世界観は多くの人にとって,生きる力になっていると改めて感じさせてくれるドラマでした。

2025年9月25日木曜日

先日のOEK定期公演でトム・ボローさんがアンコールで演奏した、バッハ,J.S.「羊は安らかに草を食み」。大好きな曲を聴き比べしてみました。

 先日のオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)第496回定期公演で、ピアニストのトム・ボローさんがアンコールで演奏した曲が、J.S.バッハ作曲の「羊は安らかに草を食み(Schafe Können sicher weiden)」でした。もともとは「狩のカンタータ」と呼ばれている宗教曲に含まれるソプラノのアリアですが、とても親しみやすく美しい曲ということもあり、色々な形に編曲されて演奏されることも多い曲です。

個人的には、NHK-FMでかつて放送していた「あさのバロック」という番組のテーマ曲として聞いたのが印象に残っています。正確にいうとこのテーマ曲でこの曲を知りました。朝6時代の静かな空気にぴったりの曲で、それ以来、大好きな曲となりました。

このFM放送では、オリジナルの歌入りではなく、ソプラノの部分をヴァイオリンに変えた管弦楽曲版を使っていたので、この曲の管弦楽版を含む「バロック音楽名曲集」的なCDを買ってみたことがあります。それが次のCDです。

懐かしい名前ですが、カール・ミュンヒンガー指揮シュツットガルト室内管弦楽団の演奏が中心です。ただし...その中に入っている演奏ですが、どうも「あさのバロック」のテーマ曲の音源とはちょっと違う感じ。FMのテーマ音楽だと、通奏低音のオルガンが下降するフレーズを演奏するのですが(このフレーズがなぜか好きなのです)、ミュンヒンガー版には入っていませんでした。

「残念」というわけで、YouTubeで探してみました。私の印象では、次のネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏のような気がします。

https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=B1nyzGR3tUE

真偽はわかりませんが、マリナー版のオルガン担当の奏者が勝手に付け加えたのかなと勝手に想像をしています。この音源、中古CDなどで見つけたら入手してみたいと思っています。

さてこの曲のピアノ版ですが、今回演奏されたのはエゴン・ペトリという人が編曲したもので、ピアノ版の定番のような感じです。我が家にある音源は、今年5月のガルガンチュア音楽祭に出演した、實川風(じつかわ・かおる)さんがバッハの曲を集めたCDです。このアルバムにこの曲が収録されていたので聞いています。とても実直に演奏された安心して聴ける演奏です。


演奏後、サインもいただいています。

ちなみにこのCDですが、背の表記は次のとおり「實川風バッハ」。ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」のパロディのようで、そのネーミングセンスも気に入っています。

CDの背の部分にしか書かれていません。

ピアノ演奏版ではレオン・フライシャーがこの曲を演奏するのをテレビ(フライシャーの追悼番組)で見たことがあります。フライシャーは右手の故障のため「左手のピアニスト」として活躍していたのですが、リハビリで右手の機能も回復し、両手でこの曲を演奏したという演奏。この演奏ももう一度聞いてみたい気がします。

その他、シンセサイザー版バッハの先駆者、ウェンディ・カーロスが編曲したものも聴いた記憶があります。これも探せば音源がWebに乗っているかもしれません。

最後はオリジナル版です。ヘンスラーというレーベルから2000年頃にリリースされたバッハ全集の中に入っているヘルムート・リリング指揮のCDを持っています。この演奏はオリジナル楽器による演奏ではないのですが、例えば現代のフルートではなくもっと素朴な音のするブロックフレーテを使っていたり、バッハ時代に近い雰囲気を持った演奏だと思います。ソプラノはエヴァ・キルヒナーという方で、耳が洗われるような瑞々しい声です。

「狩のカンタータ」はBVW.208の方です



No.9が「羊は安らかに草を食み」です。

ちなみにバスはマティアス・ゲルネ。1990年代後半の録音ですが、この方は今では世界を代表する歌手になっていますね。その若き日の歌です。「狩のカンタータ」に先立って、ブランデンブルク協奏曲第1番の第1楽章と同じ音楽が序曲として収録されているのですが(上の写真のトラック番号です)、このカンタータ用に使われていたという説を踏まえて一緒に演奏しているようです。ホルンの雰囲気など狩の気分によく合っていますね。

というわけで、この曲、世界中で色々な人に愛されている曲のようです。今後も色々なアーティストがアンコールで演奏してくれるのではないかと思います。

2025年9月11日木曜日

追悼・吉行和子さん OEKの応援団でもあった吉行さんの語りで演奏された、岩城宏之指揮 武満徹「系図(ファミリー・トゥリー)」を久しぶりに聞いています。

 9月2日に俳優の吉行和子さんが亡くなられたという訃報がありました。吉行さんは、岩城宏之さんが音楽監督だった頃からオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の「応援団」として、プログラムにずっとお名前が掲載されていました。


ここ数年はOEKとの共演はありませんでしたが、グリーグの「ペール・ギュント」と武満徹の「系図」のナレーターとして実演を聴いたことを思い出します。このうち「系図」の方は次のとおりCD化されています。

三善晃さんの作品とのカップリング。
その曲でピアノを演奏している木村かをりさんのサイン入り。


この曲はもともとは大編成オーケストラのための曲ですが、この時は岩城さんがOEK用にアレンジした版で演奏されました。谷川俊太郎さんの詩は「むかし、むかし」で始まりますが、吉行さんのちょっとハスキーな声で聞くと、おばあさんが昔話を読み聞かせるような雰囲気になります。淡々とした中に温かみのある語りを聞くと落ち着きますね。岩城さん指揮もあっさり気味ですが、やはりその中に滋味深さが漂っています。個人的には、あまりにも情感たっぷりの朗読を聞くと...ちょっと引いてしまうようなところがあるので、この曲についても、「これぐらいの感じ」がちょうど良い気がします。というわけで、私にとってのこの曲の定盤がこの演奏です。

その他、色々OEK関連の資料を調べてみると、次の本の中にエッセーを書かれているのを見つけました。




「ペール・ギュント」の時の写真も掲載されていましたが、「9月6日=岩城さんの誕生日で、ハッピーバースデーの音楽を聞いたなぁ」と思い出しました。やはり、紙の本やCDなど、形のあるものの方が懐かしさが増すものですね。


2025年9月10日水曜日

露口茂さんをしのんで,グラナダ・テレビ製作「シャーロック・ホームズ」シリーズのオリジナル・スコアのCDを聴いています。そのつながりでケネス・シリトの演奏を探してみました

先日,俳優の露口茂さんが4月に亡くなられていたという訃報がありました。

露口さんといえば,やはり1970年代の人気ドラマ「太陽にほえろ!」の刑事役のイメージが強いのですが,さすがに50年も前の作品(このことにも驚いていますが)。我が家では,英国グラナダ・テレビ製作の「シャーロック・ホームズ」シリーズ(ただし,こちらも40年ほど前の作品ですが)でのシャーロック・ホームズ役の吹き替えの印象が強いですね。

このグラナダテレビ版は「本物感たっぷり」の雰囲気のある映像の素晴らしさに加え,主役ジェレミー・ブレットが唯一無二のはまり役。そしてその声を日本語に吹き替えていた露口さんの声も「これ以外考えられない」はまり役だと思います。現在に至るまで,NHKのBSなどで何回も何回も再放送されていますので,露口さんの声も永遠だと思います(考えてみると吹き替え版でしか観たことがないかも)。

最近気づいたのですが,我が家のCD棚にこの「シャーロック・ホームズ」シリーズの音楽を集めたCDがあるのを発見しました。私が買ったものではなく家族が買ったものだったので見落としていました。帯には「サウンド・トラック」と書かれていますが,データによると1987年録音。年代的には,放送で使っていた音源ではなく,オリジナル・スコアを使った独自の録音のような気がします。

番組のテーマ曲になっている,ヴァイオリンソロのメロディが何と言っても有名ですが(この曲のスコアが解説に付いているのも良いでですね),その他の曲もこのテーマのバリエーションのような感じで,「ホームズの主題による変奏曲」といった趣きがあります。ヴィクトリア朝の英国ムードに浸るには絶好の1枚だと思います。

さてこのCDで主題のヴァイオリンを演奏している人ですが,ケネス・シリト(シリートとかシリトーとか表記に揺れがありますが)という人です。「この名前とこかで聞いたことがあるな?」と思い調べてみると,ガブリエリ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者だと分かりました。ガブリエリ弦楽四重奏団の演奏では次のCDを持っていました。



シア・キングバセットクラリネットジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団,そしてガブリエリ弦楽四重奏団による,モーツァルトのクラリネット協奏曲五重奏曲を組み合わせた録音です。英国のHyperionというレーベルから出ているもので,録音時期は偶然ですが,ホームズの初回の放送が始まったのと同じ頃です。このレーベルは風景画などオーソドックスなデザインのジャケットが多いのですが(このオーソドックスな感じが気に入っています),このCDでのシア・キングのバセット・クラリネットの演奏もとても律儀で,安心して聞ける1枚です。

もう一つはヤナーチェクの室内楽を集めた録音。2枚組のCDでヤナーチェクの室内楽が全部聞ける,ということで買ったものです。まとまりが良すぎかなという感じはありますが,こちらも私にとっては定番の一枚。ケネス・シリトさんの独奏は,ヴァイオリン・ソナタの演奏で楽しめます。


というわけで....露口茂さんから遠く離れてしまいました。音楽を通じて色々なつながりを探し,辿っていくのは楽しいものです。