2016年5月22日日曜日

室生犀星記念館で展示「蜜のあはれ」を見た後,久しぶりににし茶屋まで散歩。さらに犀星の道へ。

このところの金沢は,安定した行楽日和が続いています。本日は,自転車で室生犀星記念館まで行き,展示「蜜のあはれ」を見てきました。これは,4月に全国公開された室生犀星原作の同名の映画にちなんでの展示です。

犀川大橋を渡るのは久しぶり
犀川大橋から下流を眺めたところです。
記念館に到着
  
この作品は,老境にある作家と少女に変身した金魚が延々と会話をするという,犀星の晩年に書かれた一風変わったの幻想小説です。実は映画の方は見損なってしまったのですが(もしかしたら,金沢地区ならばどこかでやっているのかも?),原作は,半分ほど読んでいたので,その記念として行くことにしました。

1階の常設展示は犀星の人生と交友関係などを,原稿,遺品,写真,パネルなどで説明したものです。これは他の小説家にも共通すると思うのですが,関東大震災というのが,活動に影響を与えているようです。犀星の場合も,震災後,金沢に一旦帰郷しています。このことが,その後の小説家としての活動にプラスになっているようです。

「蜜のあはれ」の展示は,2階で行っていました。原作の小説はいくつかの章に分かれており,それごとにパネルや展示が飾られていました。もう一つの展示室には,映画「蜜のあわれ」で実際に使われていた赤子(二階堂ふみ演じる「金魚の化身」の役名)の衣装などが展示されていました。金魚をイメージさせる真っ赤なひらひらとしたドレスです。この赤のイメージが映画そのもののイメージにしっかりつながっており,「見てみたい」と思わせますね。
映画のチラシです。この赤い衣装(多分)が展示されていました。
記念館内の展示。この木は杏のイメージ(だったと思います)
 というわけで,お土産に「蜜のあはれ」の赤を基調とした一筆箋を購入してしまいました。この金魚のイラストも文字も犀星自身によるものというのが面白いですね。特に金魚のイラストは,良い味を出しています。晩年の犀星が描いたと思うと嬉しくなります。

さて,その後,せっかく野町付近まで来たので,にし茶屋街まで行ってきました。私が子供の頃,家族で繁華街に出てくる時には(例えば,片町にあった大和デパートに行く時),北陸鉄道の野町駅からにし茶屋街を通り抜け,犀川大橋を渡って,片町まで歩いていました。そのことを思い出して懐かしくなりました。

この寺は犀星が幼少時代を過ごした「雨宝院」です。犀川大橋のすぐ近くになります。



にし茶屋街も,近年はかなり様変わりしており,観光客もちらほら歩いていました。ひがし茶屋街と違って,ほぼ片側にしか古い町屋が残っていないのですが,西茶屋資料館という建物ができおり,小説家の島田清次郎関連の展示がされていました。西料亭組合事務所の方も綺麗な感じになっており,全体的に観光地っぽい雰囲気になっていました。

西料亭組合事務所
西茶屋資料館の中のパネル
西茶屋資料館の2階は,「お茶屋遊び」の雰囲気を伝える楽器などが置いてありました
金沢百万石まつりのチョウチンが良い味を出していました。
その後,犀川大橋まで戻り,「犀星の道」を通って犀星の碑まで行ってみました。

この辺はサイクリング,ウォーキング,ランニングにちょうど良い感じです。
犀星の文学碑・これも杏色?
映画「蜜のあわれ」については,そのうち機会があれば,是非観てみたいと思います。犀星自身は,フランス映画「赤い風船」の影響を受けて,この小説を書いたとのことです。結構短い映画で,一度観た記憶はあるのですが,そのうちに映画と犀星に焦点を当てたビジュアルな展示があっても面白いと思いました。