昨日仕事が終わった後,職場の人たちと一緒に,しいのき迎賓館にあるジャルダン・ポール・ボキューズで食事をしてきました。毎年この時期にどこかに食べに出かけるのが慣例になっているのですが,「たまにはリッチな雰囲気を味わいたい」という声が上がり,出かけることにしたものです。
会費でまかなったので,どういうランクのコースだったのかは,よく分からずに参加したのですが,赤白ワインのボトル2本,シャンパン,チーズなども追加で頼んでいたので,それなりの金額だったと思います。
だんだん日が暮れていく金沢城の石垣を眺めながら,ワインを飲み,フランス料理を食べ,しかも結構なごやかな雰囲気会話がはずんでいたので,実に良い感じで過ごすことができました。恐らく,こういう雰囲気を醸し出してくれるのが,有名レストランの力なのでしょう。逆に,お客さんの方も,こういう場所に相応しい行動を取ろうとするのかもしれません。
フランス料理といえば,「お作法」を気にする人もいそうですが,常識的な部分さえ押さえておけば,後は気にしすぎる必要はないと思っています。そもそも,西洋の人は,合理性を重視するので,合理的でない作法などないような気がします。また,分からなかったら尋ねる,というスタンスで良いと思います。
店の人からすると,作法どおりに静かに食べるよりは,多少ルール違反でも,楽しそうに食べてくれる人たちの方が嬉しいのではないかと思います。また,知ったかぶりをするよりは,素直に店の人にアドバイスを求める方がずっと良いのではないかと思います。
というわけで,私にしては珍しく,「これは何ですか?あれは何故ですか?」などと店の人にいろいろ質問などをしてしまいました。スマホで検索しようとする人もいましたが...こういう場所だと,店の人とコミュニケーションを取って,それを楽しむ方が粋だと思いました。
例えば,ワインのグラスがとても大きく,しかもワインの種類によって違っていたので,店の人に理由を尋ねてみました。その理由は「ワインごとにもっともよく味わえるように変えています」とのことでした。香りを閉じ込めるのか広げるのか,というグラス内の「スペース」の問題のようです。「なるほど」と分かったような気になりました。気持ちよく酔えたのも,この大きなグラスのお蔭だったのかもしれません。
というわけで,良いレストランというのは,お客さん同士,お客さんと店員など,いろいろな方向の会話を促進する雰囲気を持っているのではないか,と感じました。
出て来た料理の写真も取りたかったのですが...全部撮影するのも粋でないと思ったので,最後に出て来たコーヒーとデザートだけ撮影してみました。このコーヒーを一口飲んだ時,「これは濃い。だけど美味い」と思いました。その後,デザートを一口食べてみると,「デザートのしっかりとした味が濃いコーヒーとぴったりだ」と思いました。
# ちなみにデザートはマドレーヌ,マシュマロ,マカロン,抹茶と「マ」尽くしでした。マカロンをフランス語風に発音してみたらこうなるはず...と"ロ"の音をうがいするように発音してみたところ(まじめにやってみたのですが),妙に受けてしまいました。
というわけで,コース全体としてのバランスが計算されていることが,良いコースのポイントなのではないか,と感じました。この日の料理を食べながら,コース料理をゆったり食べる(ワインを飲みながらだったこともあり,3時間も店にいました)のも良いものだと思いました。
正直なところ,私は料理の味には,全くうるさくないので,料理にどういう工夫をしているかの方に興味があります。その点でも,この店の料理は面白いなと思いました。ついつい,話題にしたくなります。
頻繁に来られる店ではありませんが,たまに来ると,いろいろと刺激になって良いものだと思いました。