このところ,何かと忙しかったので,日中は家から一歩も出ず,ゴロゴロしていました。家から出るどころか,ほとんど居間のコタツにもぐったまま,という感じでした(そのせいか,背筋が痛い)。
そんなことをしながら,子供の頃を思い出していました。昔から家にこもっていることが好きで,やはり,冬になるとコタツに首までもぐり,ラジオカセットで音楽を聞いていたりしていました。小学生の高学年の頃,亡き祖母と一緒にコタツに入り,「美しく青きドナウ」を聞きながら,雪が空からゆったりと落ちてくるのを見ていた...そういうシーンが何故か目に浮かびます。確かにそういう時間があったはずです。
昔同様,頭の上にラジカセ(今ではカセットは付いておらずCDが付いていますが)を置き,CDを聞きながら,本を読みながら,時々寝ながら,過ごしていました。聞いたCDは,エドウィン・フィッシャーという往年の名ピアニストによるシューベルトの即興曲集などです。
この演奏にも思い出があります。中学生の頃,たまたまラジオを聞いていた時,この人の演奏する,作品90の4の即興曲が流れてきました。曲名も演奏者も知らずに聞き始めたのですが,その音の流れの美しさと転調の素晴らしさに「!」と耳が止まってしまいました(耳が止まったというよりは,多分,動かしていた手が止まったのだと思いますが。)。
演奏後,アナウンスが入り,シューベルトの即興曲という曲で,エドウィン・フィッシャーが弾いていることが分かりました。それ以来,この曲が大好きになりました。フィッシャーの演奏は,非常に古い録音なのですが,その針音が聞こえてくるような,どこか遠くの方から聴こえてくるような感じが,ラジオで聞くというシチュエーションにぴったりでした。
このフィッシャーのシューベルトの演奏を,昨日,タワーレコードに行った時,10枚で1100円というとんでもなく安いBOXの中に入っているのを見つけ,ついつい買ってしまいました。それを今日,聞いてみたわけですが,安すぎるのも少々複雑な気分です。
その他に,あれこれ聞いたことのない演奏が沢山入っているので,また今度,コタツに入って寝ながらラジカセで聞いてみようと思います。至福の時間というやつかもしれません。