年末のクラシック音楽公演といえば第9,メサイアが定番。金沢ではオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が年末に第9公演を行わない方針(?)ということもあり,主に北陸聖歌合唱団によるメサイア公演を聴くのを恒例としていました。が,今年はOEKのPFUクリスマス・チャリティ・コンサートとメサイア公演とが重なってしまい,PFUの方を選択。
第9もメサイアも聴かないのも寂しいかなということで,今週末はCDで第9を聴いています。第9のCDは何枚か持っていますが,本日聴いたのは次のCDです。
矢部達哉さんがコンサートマスターをつとめる「トリトン晴れた海のオーケストラ」他による2021年のライブ録音CDです。この演奏に興味を持ったのは,数年前にNHKの特集番組でこの演奏の練習の様子を詳細に取り上げていたからです。指揮者無しで各パートのトップ奏者たちを中心に解釈や奏法について細かく意見交換しながら音楽を作っていく過程が放送され,「すごいなぁ」と思った記憶があります。
その記念に購入したのがこのCD。聞いてみると第1楽章の冒頭からいつも聴いている演奏と一味違う部分が続出。ティンパニの強打をはじめとして意欲満々の演奏です(オーケストラ名にちなんで,「天晴れ」とか声を掛けたくなりますね)。その点で少々疲れる部分もあるのですが,数ある第9のCDの中でも強い存在感を放っている録音だと思います。
たたし第4楽章で声楽が入ってからは,ちょっと別の方向性になっている気もします。生々しく喜びに溢れた声の迫力はあり,東京混声合唱団は素晴しいのですが,独唱者の方についてはオーケストラの精緻さと比べると,結構自由というか少々雑な感じもします。
というわけで,テレビ放送を見たこともあり,ほとんど実演で聴いたのも同然という実感を持つことができる演奏だと思います。
もう一つの「メサイア」の方については,こちらはあまり選択肢がなく,トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサートの演奏を聴こうかと思っています。こちらは個人的な定番になっている演奏です。
年末(というかクリスマスの)定番の曲として,チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」もありますが,こちらについてはOEKの演奏でしっかり実演・ステージを観てくる予定です。