2019年7月7日日曜日

富山県での用事のついでに #富山県水墨美術館 で 展覧会「美を謳う #中島千波 の世界」を観てきました。各時期の代表作風を俯瞰できる充実した内容でした。

本日は午後から富山県で用事があったので,午前中,少し早めに出かけ,富山県水墨美術館で行っていた「美を謳う:中島千波のな世界」を観てきました。


中島さんの日本画については,少し前にNHK「日曜美術館」で近年の活動について紹介している特集を観て以来関心がありました。今回の展覧会についても,中島さんの作風の変化を俯瞰するような形でそれぞれの時期の作品が展示されていました。ちなみに,本日が展覧会の最終日でした。そのこともあり,かなり大勢のお客さんが入っていました。

最初の展示室には,初期から現在まで描き続けている人物画を中心に展示されていました。ベトナム戦争の死者を描いた作品など戦後の社会の変化に反応するような絵が並んでいました。その中では,仏教のキーワードを題材にした作品が印象的でした。前述の日曜美術館で,「無明(むみょう; 煩悩にとらわれ,仏法の真理を理解できない心の状態)」をキーワードに描いたを紹介していましたが,「これか」と思いました。シンプルな線で人物群像を描いているものが多く,どこかクールな雰囲気が漂うのが現代的だと思いました。

次の展示室には,「静物画」と「花と山の絵」が集められていました。やはり,今回の展覧会のポスターにも使われている桜の絵がいちばんの人気作品のようでした。水墨画美術館に相応しく,これぞ薄墨桜という,臈長けた雰囲気のある作品でした。

桜を描いた作品は3枚ほどありましたが,その中に,水墨美術館の庭にある枝垂れ桜を描いたものもありました。後から,しっかり実物の写真も撮影してきました(記念に絵葉書も購入)。




その他の花の作品についても,背景色が単一でその上に,デザイン化された形で鮮やかに描かれたものが多いので,この辺一帯には大変華やかな雰囲気がありました。背景が金色の花菖蒲の絵もありましたが,題材的にも琳派の作品に通じる雰囲気がありました。

風景画では,セザンヌがライフワークのように描いた,「サント・ヴィクトワール山」を同じような構図で描いた作品が面白かったですね。この作品を観た年輩の男性が「おっ,浅間山か」とつぶやいているのを聞いてしまったのですが...結構似ているかもしれません。

その他,かつて朝日新聞に連載していた,宮尾登美子「きのね」の挿絵(約30年前に中島さんが担当していました)の原画も飾ってありました。歌舞伎界を描いたこの小説,個人的に少し思い出のある作品なので,少し懐かしくなりました。

この美術館に来るのは2回目ですが,「平屋ならではの贅沢さ」があって,好きな場所です。駐車場も結構広いので,車で来るのにも好都合ですね。

PS. 美術館に置いてあったチラシなどを観るのも楽しみです。次のような観光ガイドが置いてありましたが,どちらの表紙も同じ場所ですね。富山県美術館付近の運河でしょうか?

金沢に帰る途中,時間があったあったので(本日は国道8号線を使って出かけたこともあり),海の方まで行って,海王丸パークに行ってきました。船の雰囲気も良かったのですが,異様に長く高い場所を走る橋もなかなか壮観でした。