2018年12月22日土曜日

話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」を鑑賞 フレディ・マーキュリーの才能とクイーンの音楽の魅力に溢れた作品。そして「家族としてのバンドの力」が描かれていました。キャッチコピーどおり「ラスト21分」は酔って泣かせてくれます。

本日はヒット中の話題の映画,「ボヘミアン・ラプソディ」をユナイテッドシネマ金沢で観てきました。英国を代表するロック・バンド,「クイーン」のリード・ヴォーカルだったフレディ・マーキュリーの半生に焦点を当て,映画の全編に渡って,クイーンの有名曲を散りばめた,これぞ音楽映画という作品でした。
実は有効期限の迫った「割引券」を使うのが目的の一つだったのですが,改めてフレディ・マーキュリーの才能の素晴らしさを体感させてくれる,音楽の力に溢れた作品だと思いました。

ドラマのテンポも非常によく,2時間以上の長い作品だったにも関わらず,全く退屈することはありませんでした。特にメンバーの不和で解散しつつあったメンバーが,ライブ・エイドというチャリティ・コンサートのために再結集し,見事な歌を聞かせ,パフォーマンスを見せる「最後の21分」は,臨場感満点で,見事に蘇ったフレディの声を聞くだけで,「ウルッ」となるような瞬間の連続でした。

ここに至るまでに,フレディの「家庭の事情」と「恋愛の事情」,バンド内の個性のぶつかり合い,芸能界の中で健全に生きていくことの大変さなどが次々と音楽を交えたエピソードが続きます。フレディは,パキスタン系(多分)の移民の家に生まれた同性愛者。厳格な父親は,バンド活動についての理解はなく,ずっと不仲。その分,静かにフレディを見守る母親の知的な落ち着きが際立っていました。

フレディは,最初はバンド結成当初からのファンの女性と結婚(or同棲?)していたのですが,その後,同性愛に移り,フレディの才能を利用しようとするパートナーとの「悪い関係」が続きます。その結果なのかどうか,最終的には,当時治療薬の無かったエイズに感染し,死を覚悟します。その後,最終的な伴侶となる真の友人ができ,復活コンサートへとつながります。この辺の事情については,脚色や変更とはあると思いますが,事実にかなり忠実に描かれていたようです。

フレディが加入する前のクイーンと名乗る前のバンドは,元々,大学生によるバンドで,そのことがクイーンの一つの個性にもなっていると思います。どこか知的なユーモアのようなものがあり,フレディの才能を認めつつも,皆が斬新なアイデアを出し合って,色々な曲が生まれてきます。

その代表が映画のタイトルにもなっている「ボヘミアン・ラプソディ」です。この曲は,全体で6分もかかる異例の曲ですが,一度聞けば,文字通りのラプソディックな面白さに引き込まれるような曲です。私は中学生の頃,友人の家でこの曲を初めて聞いたのですが,「ママー」とか「ガリレオ,ガリレオ」とか聞き取れる単語が脈絡なく出てきて,一度聞いて好きになりました。

当時「オペラ座の夜」というアルバムに入っていたことも知らなかったのですが,そのことを意識しているのかのよう,合唱団が合いの手を入れるように妙にカッチリとバックコーラスが入るのも面白いですね。この妙に作り込んだ,重厚な感じが普通のポップスやロックと違う気がしていました(そこまで色々聞いていたわけではありませんが)。

そして,一度聞けば忘れられないフレディの声。当時はメンバーの名前は知りませんでしたが,その伸びやかな声については,「いいなぁ」と思っていました。その声には,高貴さと野性味と甘さが融合しており,それが曲の雰囲気に合わせて,自然に変化するのが「天才的」だと思います。

復活コンサートで,まず出てきた「ラプソディ」前半の情感たっぷりの「ママー」(映像としてお母さんが登場していたので,特に感動的でした),クライマックスに出てきた「伝説のチャンピオン」のサビの部分の歌い上げ方(満員のファンだけでなく,他の3人も「復活したなぁ」と嬉しそうな表情)など,圧倒的な声の力とそれに酔う人たちの一体感が臨場感たっぷりに描かれていました。

その他,「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の誕生秘話みたいなエピソードが入ったり(遅刻常習犯のフレディを待っている間にひらめいたもの),「地獄へ道づれ(結構大胆な意訳?)」の冒頭のベースのリフの格好良さがメンバーのモチベーションを高めたり(確かに格好良いイントロです)...。「ボヘミアン・ラプソディ」の製作過程も面白かったですね。「ガリレオ」の高い声を何度も吹き込んでいたり,田舎の景色を眺めているうちに,冒頭のピアノのメロディを浮かべたり,楽曲ごとのエピソードが盛り込まれていました。この辺の作り方には,どこか映画「アマデウス」に通じるような趣きがあり,音楽映画ならではの楽しさがありました。

映画の方は,復活コンサートでのクイーンの出番が終わった後,エンドタイトルになって終了。フレディの死については,字幕で「その後1991年に死亡」という感じで紹介していました。このまとめ方も良かったと思います。

フレディがクイーンに「戻ってくる」時に,「Band is family」といったことを語っていましたが,これが結論なのかもしれません。才能だけでなく,それを育む家庭のような存在がないと,スーパースターとしての活動は持続できないと言えそうです。

というわけで,映画館で浸って観るのにぴったりの音楽映画でした。土曜日の午前11:45からの回をで観たのですが,周りを見ると60歳ぐらいの高齢者が中心。さすがに「一緒に歌う」人はいませんでしたが,ヒットするのも当然という作品だったと思います。
フレディに扮したラミ・マレックの絵ハガキももらいました。
ちなみに,我が家にあるクイーンのCDは,ベスト盤のみです。このベスト盤は,チラシの情報によると,「英国史上最も売れたアルバム」とのことです(私でも持っているぐらいなので)。



実は,フレディ・マーキュリーの顔をずっと知りませんでした。写真で見ると,「金髪の人(ドラムのロジャー・テイラー)」と「長髪のパーマの人(ギターのブライアン・メイ)」の方が目立つので,このどちらかがボーカルなのかなと勝手に想像していました。

一つ気になるのは,サウンド・トラックです。映画で流れていたのは,どうみてもフレディ・マーキュリーの声でしたが,どういう技を使っていたのか気になるところです。