6月23日は仕事の関係で,東京方面に出張に来ていました。夕方まで仕事があった後,帰りの列車の時間までの時間を使って,上野の東京都美術館で行われている「ブリューゲル「バベルの塔」展を観てきました。
http://babel2017.jp/
この展覧会については,少し前,NHKの「日曜美術館」でマンガ家の大友克洋さんをゲストに迎えて特集していたの見て,見に行きたくなったものです。
http://www4.nhk.or.jp/nichibi/x/2017-05-28/31/15815/1902722/
上野公園内にある美術館の場合,駅からとても近いのが利点です。本日も列車の発車時刻の30分ほど前まで観ていました。ただ,今回はこの日が金曜日で閉館時間を20時まで延長していたから可能だったものです。
17:30頃に美術館に着きました。最初のうちは,「結構混んでいるなぁ」ぐらいだったのですが,18:00過ぎぐらいから,だんだんとお客さんの数が増えてきました。
作品は3つのフロアに分けて,展示されていました。地下1階は聖書を題材にしたような16世紀ネーデルラント絵画のコーナー。正直なところ,古い時代の宗教画については,描かれている人物にほとんど表情がないこともあり,どれも似たように見えます。それとどうも劇画っぽく見えるところがあります。今回もざっと眺めるだけにしました。この中で,異様なすごみを感じたのがキリストの頭部を真正面から描いた小さな肖像でした。夜観ると夢に出てきそうな雰囲気がありました。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12975517.html
1階は,今回の展覧会のもう一つの目玉であるヒエロニムス・ボスの作品が展示されていました。まず,展示室の最初に展示されていた『放浪者(行商人)』という作品が印象的でした。次のような絵です。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12981044.html
http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=viewphoto&id=942&c=7
どこか怯えているような表情には,現代人の苦悩にも通じるような,「人間関係の悩みを抱えているのかな?」と思わせるような複雑さがありました。ストーリーを感じさせるような作品でした。
絵の中には,アイコンのような感じで色々なものが描かれていたのも,ついつい深読みをしたくなります。実際,それらを読み解くためのパネルも展示されていました。何かを象徴するようなフクロウが描かれていたりして,村上春樹の小説『騎士団長殺し』に出てくる,同名の絵もこの絵と同じような雰囲気なのかな,と勝手に想像を広げてしまいました。
ボスの作品と「ボスもどき」の作品のコーナーに続いては,ブリューゲルの版画コーナーでした。ここでは,色々と不思議なキャラクターが描かれていました。絵のタイトルからして,「大きな魚は小さな魚を食う」という諺風で,ファンタジーというには不気味な雰囲気がありました。その中にどこか遊び心が感じられるのが面白いと思いました。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12982627.html
そして2階展示室には,目玉であるバベルの塔が展示されていました。
http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=viewphoto&id=942&c=1
それほど大きな絵ではないのですが,実に緻密でぎゅっと圧縮された密度の高さがあります。絵の色合いは,全体にくすんだ感じだけれども,所々,変色したような感じでやや赤み掛かっていたり,青み掛かっていたり,ちょっと不思議な雰囲気があります。日曜美術館で大友さんが語っていたとおり,背景に地平線が入っており,絵を上下に二分しているのも不安な気分を盛り上げるようです。それと同時に,奥行きやスケール感を感じさせてくれます。
そして,絵の中には,小さく小さく塔の中で働いている人たちの姿などが描かれています。どこか宮崎アニメなどに出てくるような,要塞のような感じにも見えます。金沢21世紀美術館で現在行っている,池田学の作品にも,要塞を思わせるような架空のの建造物の中に,細かく人が描かれていたりしますが,それと共通する性格があると思いました。池田学さんに,ブリューゲルの影響があるのか尋ねていたいものです。
# 調べてみると皆さん同様に感じるようで,次のようなインタビュー記事がありました。
https://dot.asahi.com/aera/2017052500045.html
# 池田学展の方はこちら。
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1746
展示の最後のコーナーでは,高精細映像とCGで,バベルの塔の色々な部分をクローズアップするような5分ぐらいの映像を流していました。これも面白いものでした。この映像以外にも,東京芸術大学のチームが拡大復元した絵が展示されていました。どうも,この作品については,他のアーティストを刺激するような潜在的な力を持っているようです。
今回,作品を観るときに美術鑑賞用の近距離焦点の双眼鏡というのを使ってみました。生物学者の福岡伸行さんが,朝日新聞に連載しているエッセーの中で,「最近,使っています」と書いていたのを読んで,トライしてみたものです。有料記事ですが,次の記事です。
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20170508001499.html
事前にインターネット通販で近距離焦点の安めで小型の双眼鏡を購入したのですが,効果はそれなりにありました。金沢だとほとんど見かけないのですが(やはりお客さんの数でしょうか),今回の展示では,双眼鏡で観ている人は結構いました。「バベルの塔」展だからということもあるかもしれないですね。
私の場合,眼鏡を掛けているので,その上からさらに双眼鏡を当てる形になり,視野が狭い感じになります。眼鏡を外すともっと大きく広がるのですが,その場合,普通の眼鏡をぶら下げるストラップがあると便利だと思いました。この双眼鏡は,コンサート用にも使おうかと目論んでいます。
会場を出ると,展覧会用のマスコットキャラクターの「タラ夫」のコーナーが。「サザエさん」に出てきそうなネーミングです。ブリューゲルの作品をキャラクター化したようです。
その他の怪しげなキャラ(というよりはブリューゲルの作品から切り取ったもの)も窓ガラスに貼られていました。
記念のスタンプは押す場所がなかったので出展作品リストに捺してみました。
最後にバベルの塔の大きさを実感してもらうパネル。書いてありませんが,東京スカイツリーよりは低いようですね。
ミュージアムグッズも色々と楽しいものが多かったのですが,自分用のお土産として,「バベルの塔」スノードームを購入。実は,スノードームは結構好きなのです。780円と,思ったより安かったので買うことにしました。以下は帰宅後,撮影したものです。
雪を降らせると次のような感じ
外箱と一緒に撮影
その他のグッズは次のような感じでした。
http://babel2017.jp/goods.html
そして,予定通り上野駅から「かがやき」で金沢に戻りました。ブリューゲル展(ブリューゲル一族を特集したもののようです)は,来年1月から再度,東京都美術館で行われるようなので,うまく出張などがあれば,また観に来たいと思います。
PS. 驚いたことに,本日の朝日新聞の天声人語では「バベルの塔」について書いていました。期間終盤ということで,今日と明日は相当混むかもしれないですね。
http://www.asahi.com/articles/DA3S13002353.html
2017年6月24日土曜日
2017年6月11日日曜日
爽やかな気候の中,#せせらぎ通り で行われていたSeseragi Sunday Marketヘ。#オヨヨ書林では #辻恵子 さんの本を購入 その後 #雑貨×作家マーケット へ。心地よい一日でした
昨日の悪天候から打って変わって,本日は大変爽やかな好天になりました。それに合わせるかのように,金沢市内では屋外で色々なイベントをやっていたので,自転車に乗ってハシゴをしてきました。
まずは,金沢市立玉川図書館へ。OEKの次回の定期公演で演奏される,バターワース作曲の「青柳の堤」という曲が収録されたCDを借りてきました。
次の写真は図書館のすぐ隣の玉川公園です。このまま,ここで本を読んで過ごしたいくらいでした。
続いて,そのまま用水沿いに「せせらぎ通り」へ。
東急スクエア裏の広場で,Seseragi Sunday Market というイベントをやっていたので,参加してきました。せせらぎ通りには,良い雰囲気の新しい店が増えていますが,それらが屋外に出店して,飲食したり,ワークショップに参加したりできるというイベントでした。
せせらぎ通りの地図。用水がS字に流れているのが好きです。
イベントのチラシ(左から2番目)は,通常の印刷と違った手触り。この辺のこだわりも良いと思いました。
こちらは飲食店の点とが並んでいました。
Books under Hotchkiss http://booksunderhotchkiss.com/
石引バブリック https://www.ishipub.com/
など,せせらぎ通り以外にある,こだわりの書店も出店していました。
せっかくなので,CAFE DUMBOという店のコーヒーとマフィンを味わってみました。
香り高いコーヒーとオレオ(?)が乗ったマフィン。
家族へのお土産用に,「ひらみぱん」のパンを購入。後で食べてみたのですが,とてもしっかりとしたパンで,人気があるのも分かると思いました。
SKLOというお店のカードですが,これも凝った印刷でした。堅い紙だったので,このまま本の栞に使えそうです。
イベントの方はこれくらいにして,再度用水沿いに自転車で移動。オヨヨ書林せせらぎ通り店へ。
この用水の名前は...鞍月用水です。
NHK朝ドラ『とと姉ちゃん』のタイトルの「貼り絵」を担当していた,辻恵子さんの作品が展示されていました。展示期間を延長していたようです。
http://www.tsujikeiko.com/news.j.html
『とと姉ちゃん』で実際に使っていた貼り絵の原画も展示してあったりして,懐かしくなりました。その他,辻さんの作品集や貼り絵が使われている本も展示されていました。サイン入りの作品集も面白そうだったのですが,立ち読みしているうちに,昨年10月に刊行された景山えりか著『月整活』(主婦の友社)がとても面白そうだったので,この本を購入してしまいました。
月のリズムに合わせて生活する,というのはとても魅力的に思えます。
先ほどスコーンとパンを買った「ひらみぱん」のお店はすぐお隣です。
オヨヨ書林の前の通りは,尾山神社の参道になっているのですが,道路の工事が終わり,すっきりと直線的になっていました。
その後,せせらぎ通りの名前の由来となっている,用水=鞍月用水に沿って金沢駅方面へ。時々,カーブするのが,用水の面白いところです。金沢市立中央小学校のすぐ前です。
だんだんと歩道が狭くなってきました。
紫陽花も咲き始めていました。
この写真の白い部分から「せせらぎ」の音が出ていました。さらさらと流れる用水は,天気同様に心地良いものでした。金沢市内を流れる用水は大部分暗渠だったのですが,それをなくしたのは本当に良かったと思います。
いよいよ,「自転車をおりて通りましょう」という状態になってきました。
まだまだ用水は続きます。
それぞれの車庫の前に橋があるのもなかなかすごいですね。
用水とは別ですが...以前から気になっていたネーミングの家です。
鞍月用水の水門です。さらに先がありましたが,用水の追跡はここでおしまいにしておきました。
さて,金沢駅です。土曜日に皇太子さまが,この場所に来られていたせいか,タペストリが掛かっていませんでした。意外に珍しい光景ですね。
続いて,もてなしドーム地下でやっていた「雑貨×作家マーケット」へ。このイベントもすっかり定着しているようです。
この時は眺めるだけにしたのですが...夕方頃,家族と再度訪れて,茶碗を1個購入。2000円ほどしましたが,手触り,色ともに気に入ってくれたので思い切って購入。こういう場所で買うと,思い出にもなるので良いですね。
石川県立音楽堂では,東京佼成ウィンドオーケストラの演奏会。中高生の団体さんを多く見かけたのですが,みなさん吹奏楽部でしょうか。聞いてみたい気もしましたが,本日はパスしました。
続いて再度,香林坊方面へ。石川四高記念文化交流館裏では,ベルギービールのイベント。こちらも,恒例化しつつあるようです。
雑貨×作家マーケットとベルギービールのイベントのチラシ類です。
大変気持ちよさそうでしたが,こちらも眺めるだけにして,広坂を上って,石川県立歴史博物館前の緑地へ。次の写真は広坂の県立美術館前付近ですが,緑がものすごく美しかったですね。
昨日,この場所で皇太子さまが「みどりの愛護」のつどいで植樹をされたはずなので,確認(?)してきました。
どの木かよく分からなかったのですが,多分,一番前の木だと思います。新聞記事によるとヤマザクラとのことです。
県立美術館横の辰巳用水の支流(?)。この用水が金沢市内を巡っていると思うと何となく嬉しくなります。
金沢市内を自転車で一回りしたので,少々疲れましたが,たいへん心地よく過ごすことのできた一日でした。
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