2016年9月24日土曜日

昨晩は徳田秋聲記念館で行われたBookwormに参加。山崎円城,滝口悠生,Akeboshiの各氏とお客さんによる,ちょっと不思議な朗読と音楽の世界へ

金曜の夜は,仕事モードから休日モードへの切り替えの時間です。金沢市内の各種ミュージアムが夜遅くまで開いている「ナイト・ミュージアム」企画の一環で徳田秋聲記念館で行われた,Bookworkというイベントに参加してきました。
記念館の入口
浅野川付近には大変美しい夕景が広がっていました。
梅の橋から見る徳田秋聲記念館
これは「自分の好きな詩や本の一節を持ち寄って朗読する」という会で,この日来られていた山崎円城さんが19年前から行っているとのことです。「好きな本を紹介する」といえば,ビブリオ・バトルというのが最近は色々な場所で行われていますが,Bookwormの方は,順位を決めたり,時間制限を設けるわけではなく,「それぞれの人が「それぞれのスタイルで,ただ好きなものを朗読する」というものです。
背景に浅野川と夜景が見える場所で行われました。
山崎さんによると,ミヒャエル・エンデの「人は自分の好きなものを紹介するとき,とても上手く話すことができる」という言葉にヒントを得て始めたものとのことです。この言葉は,とてもよく分かります。私自身,自分の聞いた音楽について,感想をまとめているのですが,「好きなもの」について書く方が圧倒的に簡単で,楽しいものです。

今回は,最後のコーナーで応募者9名による朗読があったのですが,それに先立って,山崎円城,Akeboshi,滝口悠生の各氏によるトーク,演奏,朗読がありました。

最初に登場した山崎さんは,Bookwormの創始者ということで,色々なスタイルでの表現を聞かせてくれました。基本的にブルースな世界(?)を表現されていました。指パッチンのリズムに乗せて,味のある歌を聞かせてくれたり,カセットテープから流れる効果音(子どもの声とか楽器の音とか)に乗せて朗読したり,途中からメガホンをマイクがわりにして歌ったり,ギターの弾き語りで曲を聞かせたり...アナログだけれども創意のある世界を楽しませてくれました。

続いて,作家の滝口悠生さんが登場し,徳田秋聲と自作の朗読を行いました。滝口さんは,今年芥川賞を受賞した方で(石川県出身の本谷有希子さんと同時期の受賞ですね),実は,この方のお話を聞くことが今回のいちばんの目的でした。滝口さんもBookwormの出身者で,今回は,山崎さんに誘われて,金沢に来られたとのことです。

秋聲ゆかりの場所での朗読ということで選ばれたのが『町の踊り場』という短編の一部でした。自作の方は,芥川賞受賞作の『死んでいない者』の一節でしたが,どちらも「葬儀」を描いている点で共通しています。秋聲のこの作品は,読んだことはなかったのですが,音で聞くと,現代の作品と通じる部分があると思いました。滝口さんの作品と,違和感なくつながっているような印象がありました。ただし...聞いているうちに,ちょっとウトウトとしてしまったので,今度,両作品ともしっかり読んでみたいと思います。

Akeboshiさんの音楽は,今回初めて接したのですが...と書きたいところですが...プロフィールを読んでみると...映画「恋人たち」の主題歌担当を書かれています。この映画は見たことがあります。その他にも井上陽水さんとの共演などもされているということで,意識せずにその音楽に接しているようです。

今回は,電子ピアノの弾き語りでした。Akeboshiさんは,英国の音楽大学に留学されていたことがあるということで,英語で歌われる曲が中心でした。雰囲気としては,ビリー・ジョエル(私が知っているのは1980年代だけですが)のスタイルに近いと思いました。力強く響く部分と気持ちよく流れる部分のバランスが良く,ずっと聞いていたいな,と感じました。

トークの中で,歌詞の作り方として「内容重視」と「音にはめ込む」の2つの方向性があることを紹介されていました。井上陽水さんの場合,後者を意識的にやっており,曲にアクセントを付ける部分に,意識的にカ行音を集中させるようなことをやっているとのことでした。これはとても面白いと思いました。そうなると...結構,無茶苦茶な歌詞になってしまうのですが,そう思わせないテクニックも求められるようです。

留学中,アイルランドに一人旅をした時,イスラエル出身の少年に会い,意気投合し...といった体験をもとに作曲したことを語られていましたが,この異文化体験との接触というのは,音楽に限らずアーティストにとっては大きな刺激になるようです。

後半は(前半の3人のトークが結構長くなったので,かなり押し気味になったのですが),事前に応募のあった9名の方の朗読がありました。自作の詩を読む人がいたり,好きな本の一部を読む人がいたり,様々な年代・性別の方がいたり...「好きなものを表現する」という点だけで偶然集まった人たち,という設定が面白いと思いました。ただし「常連さん」的な方もいらっしゃったようで,実際に参加するには,ちょっと敷居の高さもあったかもしれません。

ビブリオバトルのように競技をしているわけではないので,どういう朗読でも構わない自由さがあります。実際に聞くとなると,トークの内容が整理されており,明快なトーンで読んでくれる人の方が確かに心地よいのですが,スムーズではないけれども,強い「こだわり」を感じさせてくれる表現もあります。

自分の持ちネタとして,朗読用の「好きな一節」や「好きな詩」をコレクションしておく。これはとても面白いと思いました。これを目当てに読書をすると,読む目的もできますね。

大江健三郎の『レイン・ツリーを聴く女たち』の中の一節を朗読した方がいらっしゃいました。確か武満徹の作品にインスパイアされた作品のはずです。音楽に関連する文章の中から,好きな一節をコレクションする,というのは,ちょっとやってみたいな,と個人的に思いました。

記念館の入口。イベント後です。

2016年9月22日木曜日

話題の映画「シン・ゴジラ」を観てきました。想定外の危機への対応をシミュレーションするリアリティを持った凄い情報量を持った怪獣映画でした

昨晩は,話題の映画「シン・ゴジラ」を金沢市内のユナイテッドシネマのレイト・ショーで観てきました。大ヒット作ということで,大入り袋の代わりに次のようなシールをもらいました。
「ゴジラ」といえば,怪獣映画の代表作ですが,この「シン・ゴジラ」には,娯楽的な要素はほとんどなく,想定外の人知を超えた危機が発生した場合の国の政治の中枢部の動きをドキュメンタリー・タッチでシミュレーションしたような映画になっていました。テンポが非常によく,特にドラマの前半は感情移入する暇も与えないほどの焦燥感が画面から伝わってきました。

タイトルの「シン」という言葉が目立ちますが,続編的な意味での「新」ではなく,全く別の切り口から「ゴジラ」を描いた作品ということで使っていたのだと思います。この「シン~」という用語は,映画の「別格さ」を表現している点で見事です(今年の新語流行語大賞はこれかも)。パロディとして真似した使いたくなるような言葉です。

ゴジラが海から東京に上陸し,甚大な建物の被害だけでなく,放射能汚染の被害が出るという点で,誰が観ても東日本大震災のアナロジーになっています。つまり「想定外の危機」を怪獣という形に具現化していたことになります。

ゴジラがなぜ生まれたかについては,1954年版「ゴジラ」と共通するのかは知らないのですが,人類の文明の発展の負の側面から生まれたという点は共通していると思います。ゴジラ自身には悪意はないけれども,いろいろな負の連鎖が重なった結果,海底の生物が異様に進化し,無敵の耐性を備えて,巨大化して出現したという形になります。

ネーミング的には「GODZILLA」(石原さとみが,英会話学校のCMのように発音していました)なのですが,特に前半の「GOD」という部分を強調していました。人間の能力を超えている点で,その前では謙虚になるべきというメッセージを感じました。

そのエネルギー源が核エネルギーで,自身に危機が迫った時に,ヤマアラシが棘を逆立てるように,強烈な白熱光を四方八方に発散します。そのエネルギーを出し尽くすと活動は取りあえず止まるのですが,エネルギーが溜ってくるとまた活動を始めます。

ゴジラの体は,溶岩のようにも見えます。活動期になるとマグマのようなものが体の内部に出現し,不気味な赤い光を見せます。この活動と休止を繰り返しながら,段々と大型怪獣に進化していくあたり(急速に進化するのもゴジラの特徴),火山の活動と似ています。初期ゴジラは,結構愛嬌がある感じでしたが,段々とお馴染みの形に進化していきました。しかも遺伝子の情報量(?)も人間以上ということで,敵が近づくと反応するセンサーのようなものまであります。

この想定外の危機に対する総理大臣を中心とした政府の対応ですが,ヒジョーに(と財津一郎風に言いたくなるぐらい)関係者の数が多く,しかも長い名前の会議を次々と重ねます。その結果として,初期の対応としては,正確ではない,国民が安心するような無難な情報を発表する,という形になります。一種,揶揄している部分もあったと思うのですが,最終的には,この日本式のチームで対応する方式でゴジラの活動を何とか食い止めます。批判するだけになっていないのが良いと思いました。

その対応の中心となるのが長谷川博己と竹野内豊という,「次期のリーダー候補」です。2人の役名は長くて忘れたのですが,その下に集まる専門家集団であるとか関係各所との調整の成果が,最後は東京を救うことになります。両者ともクールで爽やかでさえあるのですが,その中に熱い思いを持っており,そのことが対応チームをまとめる力になっていました。

個人的には,日常的には官僚的な組織の中では変人扱いされている,長谷川の下の専門家チームに注目しました。現状分析だけする大御所が役に立たない一方で,彼らの表情や動きが段々,生き生きとしてくるのを見ながら,多様な人材を抱えていることが強みになることを伝えたかったのかな,と感じました。

その他,日米安保条約や多国籍軍のことが出てきたリ,色々な要素を抜かりなく盛り込んでいました。最後,多国籍軍が東京に核ミサイルを撃ち込んでゴジラにとどめを刺す,という最後の手段が出てきて,カウントダウンも始まります。この案を阻止して,長谷川チームの対案(ゴジラを体内から凍結させるという案)で何とか食い止めるというのがドラマのいちばんの見所になります。最後の手段のワザの一つに代行総理が頭を下げ続けるというのもありましたが,「伝統的な手法」も駆使しているあたりも面白いところでした。

とにかく登場人物の数や飛び交う用語の数が多く,消化しきれなかったのですが,そのことによって中央官庁での意思決定の難しさが表現されていると思いました。子供向け怪獣映画では,結構簡単に軍が出動して,ミサイルなどを打ち込んだりするのですが,その手続きをしっかり描くとこんな感じになるのかもしれません。自衛隊の組織については,そもそも予備知識が全くないのですが,その組織力や責任感も,クールに描かれており,結構リアルなのではと感じました。

最終的には,新幹線を含む各種鉄道をゴジラにぶつけたり,ありとあらゆる手段を使うあたり,結構ワクワクと観てしまいました。が,最後の段階,とりあえずゴジラは動きを止めているだけで,「もしかしたらすぐに動き出すかも」という雰囲気で終わります。「ゴジラと共存をしていかなければ」というセリフも出てきましたが,火山が多く,地震が多発する日本では,他人事とは思えない警鐘になっていました。

重要なことを書き忘れました。音楽は従来どおり,伊福部昭作曲の音楽を使っていました。この音楽があることで,「シン」と同時に「伝統」も感じることができました。映画の最後のクレジットが出てくる部分でもゴジラのテーマを流していましたが,恐らく,1954年のオリジナル音源を使っていたのではないかと思います。

ドラマ全体としては,画面に緊迫感があり,カメラが激しく動く部分もあったので,観ていて結構疲れました。また,作り手側の意図が鮮明過ぎるかな,ということも感じました。しかし,こういったこと以上に,危機への対応を細かく積み重ねるように描くことで,荒唐無稽な怪獣映画とは思えないリアリティを感じさせてくれた点が凄いと思いました。

2016年9月18日日曜日

江戸時代の軍書からみる関ケ原合戦:史実と虚構@金大サテライトプラザで講演を聞いてきました。「真田丸」をより立体的に楽しめそう。夕食はサンマの塩焼き+ひやおろし

本日の金沢は朝から天候が悪かったのですが,先週から今週に掛けての「真田丸」に合わせるかのように,金沢大学サテライトプラザで金沢大学の山本洋先生による講演「江戸時代の軍書からみる関ケ原合戦:史実と虚構」が行われたので聞いてきました。

会場の金沢大学サテライトプラザ(金沢市西町教育研修館)です。この日の金沢市内は,観光客で恐ろしく混んでいましたが,何とか到着。



この建物は谷口吉郎設計ですが,この天井の折り鶴(?)が特徴的ですね。


内容は,(1)色々な文学やドラマで関ケ原合戦をどう描いているか?(2)本来の史実とどうだったのか?(3)どういう背景があるのか? といったもので,かなり専門的な内容を含んでいましたが,とても分かりやすく紹介していただきましたので,「なるほど。ガッテン」という感じで関ケ原合戦に関する知識を深めることができました。

関ケ原合戦については,一般的には「天下分け目の戦い」「東軍対西軍」「家康の老獪な戦略によるの勝利」...といった印象があると思うのですが,史実は少し違うというところから始まりました。

まず「関ケ原図屏風」の話題が出ました。下のような屏風です。
http://heritager.com/wp-content/uploads/2015/04/sekigaharascreen-big.jpg


ご存じのように今年の大河ドラマ「真田丸」では,関ケ原合戦自体は全く描かれませんでしたので,この図屏風を見て,改めて「こんな感じだったのか」と振り返っているところです。が,この絵には,描いた人の思惑が現れているとのことです。

山本先生は,実際に関ケ原古戦場に行って確認をしてきたとのことですが,例えば,「小早川秀秋が,急斜面を降りて,大谷吉継を攻めるのは多分不可能」とのことでした。

その他にも,こういった資料には,史実と虚構が混ざって描かれているということが,紹介されました。関ケ原合戦には,色々な「有名なエピソード」がありますが,もとをたどれば「関ケ原軍記大成」という資料に行きつくことが多いようですが,この資料自体にも色々な思惑が盛り込まれており,時代を経るにつれて,「尾ひれが付いて来た」というのが実際のようです。例えば次のような感じです。

(1)東軍対西軍 という構図
明治時代の研究書以降流布するようになったもので,当時は,「石田三成+毛利輝元」対「徳川家康主導軍」というのが実体だったようだ。

(2)七将による三成襲撃事件
前田利家の死後,三成に恨みを持った7人の武将が三成を襲撃し,三成は伏見の家康の屋敷に逃げ込んだ...という話。実際は,三成は伏見の自分の屋敷に逃げ込んでいたようだ。

(3)小山評定
小山で軍議を行い,福島正則,黒田長政らが石田三成征討を決定。あったかもしれないが,黒田長政,細川忠興らが参加するのは物理的には難しかった。

(4)問鉄砲
東軍になかなか寝返らない小早川秀秋に対して,家康が督促するように鉄砲を撃ち,慌てて小早川軍が寝返ったというエピソード。実際は,小早川軍は,開戦と同時に裏切っている。また,距離的に鉄砲の音は聞こえなかったはず。

(5)凡庸な毛利輝元
毛利輝元が家康と正面衝突をしたくなかったのは事実だが,当時,西国で広範囲に渡って領土拡大のための活動を行っていた。

こういったエピソードが,どこから出てきているのか?を『関ケ原軍記大成』の本文で確認したのですが,ちょっとした謎解きのような感じでした。

後半は,山本先生の本来の専門である,岩国藩の吉川広家の話が中心になりました。この『関ケ原軍記大成』には,版本が全くなく,写本により全国各地に広範囲に流布したという点に特徴があります。一種,「影響力のあるメディア」のような位置づけの資料と認識されていたので,吉川広家は,そのことを利用して,吉川家の格を上げるために(賄賂のような形で),この大成に「架空の書状」を掲載させた,といったことが紹介されました。藩が取り潰しになるかどうかの厳しい状況の中での生き残り策ということで,のんきな状況ではないのですが,「これは面白い」と思いました。

いずれにしてもこの『関ケ原軍記大成』には,純粋な史実以外にも色々な虚構も含まれており,歴史学の史料としては,単純には使えないとのことです。そのことを理解した上で,利用するならば良いのですが,例えば,「町おこしのための観光地の説明書き」の典拠として使うのは,危険なことです。通説化した有名なエピソードの中にもこういう例は多いようですが,徳川史観にならざるを得ない江戸時代当時の歴史書を無批判に使うことはあり得ず,どういうメカニズムでその歴史認識が形成されたのかを考えることが重要というのが結論ということになります。

私自身,小学校~中学校に掛けて,暗記科目としての日本史が大好きで,得意科目だったのですが,現代のアカデミックな歴史学というのは,いわゆる「暗記科目」とは全く別もので,大変スリリングなものなんだ,ということを具体的に知ることができました。歴史学入門としてもとても面白い講演会だったと思います。

この日は講演会まで少し時間があったので,駐車場からの途中にあった,Cony's Eyeというギャラリーショップ&カフェに寄って見ました。

本当は何も買う予定ではなかったのですが,ついついプラスティック製万年筆(500円程度)を購入。万年筆という言葉に弱いからなのですが,携帯もしやすいので,気軽にサラサラと楽しむことができそうです。

さて,夕食です。先週買った「ひやおろし」(能登のお酒の竹葉です)との取り合わせを考えて,サンマの塩焼き。このお酒の旨味と心地よい飲みやすさとの取り合わせが最高でした。

2016年9月16日金曜日

連休前の金曜日の夜,金沢市内のイベントを一回り。肉フェス,金沢JAZZ STREET2016,サイガワあかりテラス。最後は21美へ。色々やっていました。


連休前の金曜日の夜ということで,金沢市内では色々なイベントを行っていました。9月といっても日中は結構暑いので,夜のイベントが多くなっているような印象があります。それと,夜にイベントを行うと,そのまま金沢に宿泊することになるので...お金を落としていってくれる...ということもあるのかもしれません。

まずは,しいのき迎賓館へ。この建物の裏の緑地は,夏の間は色々なイベントスペースとして定着しています。「アイスクリームのイベントか?」と思って裏に行ってみると...
段々と焼肉の臭いがしてきて... 肉フェスでした。このイベントは今回初めてでしょうか?アイスクリームは明日からでした。いずれにしても,食のイベントが多いですね。


なかなか食欲をそそるものがありましたが,何も食べずに通過しました。



 お隣の いしかわ四高記念公園に行くと,金沢JAZZ STREET2016の前夜祭のような感じで演奏を行っていました。こちらにもお店が多数出ていました。

JAZZ STREETの方は,今年は21世紀美術館内のシアター21でも行うようなので,街中で(石川県立音楽堂ではOEKの定期演奏会ですが)ジャズ,ということになりそうです。

東急スクエアの前を通って,久しぶりに犀川大橋方面へ。

ここでも金沢JAZZ STREET関連のイベントをやっていました。犀川の河川敷に多数のイルミネーションが点灯していました。これも今年初めての試みかもしれません。

ぶれていますが犀川大橋もライトアップされていました。
 河畔まで行って近くで撮影。

輪島の千枚田のライトアップと似た雰囲気かもしれません。

対岸(右岸)の方にはステージもありました。ただし...ジャズでではなく,何か艶めかしくエキゾティックな歌と踊りをやっていました。



室生犀星の碑もライトアップ。濃い影がなかなか良い感じですね。

続いて金沢21世紀美術館へ。美術館の敷地内の茶室でも何かイベントをやっていました。匂いに関するイベントのようでした。

美術館内へ。いつの間にかコインロッカーが増設されていました。

タレルの部屋です。日が沈んだ後,空が真っ暗になりますね。

最後は美術館の外観。
明日からの連休も大勢の人が金沢に集まりそうです。お天気だけが心配ですね。

2016年9月12日月曜日

昨日は「ハッチでオトメの金沢展」とBooks under Hotchkissで「安西水丸さん,デザインを教えてください!」へ。両方とも見ているだけで楽しめました。

昨日9月11日は,丸一日予定がなかったので,自転車で金沢市内に出かけ,ちょっと気になっている店,2軒に出かけてきました。

まず最初は,浅野川大橋近くにある,HATCHi金沢というホテル+レストラン+カフェに行ってきました。今年できた店で,いつも店の前を通りかかって気になっていたのですが,「ハッチでオトメの金沢展」という案内が出ていたのが目に入り,のぞいてきました。
店の奥の方は,カフェやレストランになっており,このオトメの金沢展の方は,入口付近でやっていました。陶磁器,ガラス,漆,工芸品,雑貨,お菓子...ネーミングからして,若い女性向けの商品ということになるのですが,最近はこの手の雑貨も好きなので,しっかりとっチェックしてきました。

次のような感じで商品が並べられていました。

古本まで入っているあたりが,オトメの金沢的なところかもしれませんね。この展示(販売)ですが,11月3日までやっているようです。
         

続いて,尾張町の裏通りの鏡花通りへ。金沢大学フィルのチェロパートのコンサートのポスターが目に入りました。金沢21世紀工芸祭も注目ですね。

近くにあった,木製品の店の店頭のショーウィンドウです。「「暮らしの手帖」で取り上げられたことがあります,という」ということで,雑誌を展示していました。
尾張町の表通りへ。この眼鏡屋さんのデザインは,昔から気に入っています


さて続いては,金沢21世紀美術館近くのBooks under Hotchkissへ。この店も比較的新しい店です。本屋さんということですが,今回は「安西水丸さん,デザインを教えてください」という展示を見るために出かけてきました。
入るのは初めてだったので,ちょっとドキドキしましたが...入ってみると「ご自由にごらんください」という張り紙があって,自由に見てもよいようになっていました。先客がもう一人いたのですが,その人と一緒に(?)安西水丸さんがデザインした本をじっくりと眺めてきました。

水丸さんの本といえば,村上春樹の本の装丁の印象があります。シンプルな形,色によるデザインは,真似できそうでなかなか真似できないものかもしれませんね。

店頭には,「安西水丸さん,デザインを教えてください!」という展示のタイトルそのままの本も販売していました。今回の展示の図録のような感じで,このお店が発行した本のようです。買おうかどうか迷ったのですが...今回は止めておきました(もう一回この店に行ったら買ってしまいそう)。
展示の中で「おおっ」と思ったのが,次の作品です。シルクスクリーンだと思いますが,村上春樹の「中国行きのスロウ・ボート」の装丁に使われているものですね。

ちなみに次の写真は我が家にある文庫本です。小説(短編集ですが)の内容は覚えていないのですが,このデザインは忘れられないですね。この作品をデザインしたクリア・ファイルも販売していたのですが...これも今回は止めておきました(もう1回行ったら買ってしまいそう)。
2階でも本を展示していました。書店とギャラリーが一体になったようなお店で,結構気に入ってしまいました。ちなみに,展示物なのか売り物かよく分かりませんでしたが,全部値札が挟んであったので購入可能だったようです。 11月6日までやっています。

さて,この日,HATCHiでの買い物の成果です。個人的に「定番」と思っている,かわむらの甘納豆と顔が描かれている箸置きを買いました。これらはお土産です。もう一つ,メモ帳を購入しました。普通のシンプルな白いメモ帳だったのですが,紙の触り心地が素晴らしく,ついつい「自分用に」買ってしまいました。
最近,金沢には結構,面白そうな店が増えているので,また探検してみたいと思います。

2016年9月11日日曜日

石川県立美術館と金沢21世紀美術館の展覧会がスタート。ただしこの日は空の雲が主役だったかも。

9月になると金沢市内の美術館では,新しい展覧会が始まります。9月10日(土),県立美術館と金沢21世紀美術館の両方ともで,新しい展覧会が始まったのでざっと観てきました。

まず,石川県立美術館へ。

始まったのは企画展示「近代美術の至宝:明治・大正・昭和の巨匠」で,明治以降の洋画,日本画,工芸の各分野で活躍した巨匠たちの作品119点を集めたものです。名前を聞いたことのある作家の作品や石川県立美術館で所蔵している名品などが勢揃いし,非常に見ごたえがありました。


まずは,開会式へ。今年から友の会に入っているのですが,招待券が届いたので出かけてきたものです。オーソドックスな開会式で,テープカットなどを行っていました。

その後,作品を鑑賞しました。作品数は116点ということで,それほど多くないので,各作品をじっくりと楽しめるのが良いと思いました。

今回ざっと観て,まず良いなぁと思ったのは,次の2作品でした。

堂本印象「木華開耶媛」。これは今回の展覧会の目玉の作品で,ポスターでもメインに使われているものです。実物を見ると,ほんのりと暖かみのある色合いが素晴らしく,アルカイックな雰囲気が漂っていました。

洋画の方では,小絲源太郎「獺祭図」(だっさいず)というのが印象に残りました。色々なものが並べられた静物画なのですが,暗いトーンの中にクリアに浮かび上がる静物が非常に意味深な感じです。

ちなみに「獺祭」という言葉を調べると次のとおりです。

1 《「礼記」月令から》カワウソが自分のとった魚を並べること。人が物を供えて先祖を祭るのに似ているところからいう。獺祭魚。おそまつり。うそまつり。

2 《晩唐の詩人李商隠が、文章を作るのに多数の書物を座の周囲に置いて参照し、自ら「獺祭魚」と号したところから》詩文を作るとき、多くの参考書を周囲に広げておくこと。

2の意味になると思うのですが,どこか知的でミステリアスな雰囲気の漂う作品でした。

この展覧会は,時間があれば是非もう一度観てみたいと思いまうs。

石川県立美術館の外観です。この日は,雲の形が大変面白かってですね。見上げるたびに変化していました。



続いて金沢21世紀美術館へ。

途中通った広坂交差点でも空を見上げてみました。

この日からコレクション展2が始まりました。




一部撮影OKでした。塩田千春さんの作品。

志賀理江子さんの写真の部屋。印象的で鮮やかな作品が強く目に焼き付きました。
 

10月からは「Boundary between Kogei and Desdign」という新しい展覧会も始まるようです。

粟津潔さんの関係の展示も含まれていました。

さてこの日ですが...雲を測る男同様に,私も空ばかり見ていました。
 

「雲を支える男」という感じですね。

しばらくすると...本当に雲を測る感じになりました(撮影する角度で何とでもなるのですが...)。


レアンドロのプールも相変わらず賑わっていました。

タレルの部屋から観る雲の具合も良い感じでした。

こうやって見ると,21世紀美術館内には,寺社仏閣の中にいくつか名所があるのと同じような感じで,いくつかチェックポイントがあり,それぞれの知名度が上がっている点が人気を集めている秘密なのかもしれませんね。

外に出てみると,10月から始まる「金沢21世紀工芸祭」という,金沢を舞台とした大型工芸フェスティバルのシンボルのようなオブジェが登場していました。 

プレイベント的にテントや店も多数出ていました。このイベントも本格的に始まったら,いくつか参加してみたいと思います。

というわけで,これからは,「美術の秋」の方も楽しんでいきたいと思います。