2016年3月29日火曜日

泉鏡花記念館「鏡花本装丁の美:清方・英朋・雪岱」。やはり紙の本の世界は魅力的です。橋場町~浅野川付近を散策。新しい店も増えていますね。

この前の日曜日は好天に恵まれたので,自転車で石川県立音楽堂まで出かけて来たのですが,その途中,泉鏡花記念館にふらっと立ち寄って展示を見てきました。行われていたのは「鏡花本装丁の美」という展示でした。




泉鏡花の初版本については,装丁に関しても注目を集めています。今回の展示では,鏡花の作品の挿絵を描いた鏑木清方(1878-1972),鰭崎英朋(1880-1968),小村雪岱(1887-1940)の3人に焦点を当て,それぞれの画家の表現を通じて,鏡花作品に触れてもらおう,という趣向になっています。

こういう文学館の展示については,文字情報ばかりだと辛いので,今回のようにビジュアルにアピールする展示が中心だとありがたいと思います。鏡花作品の場合,作品自体ビジュアルな感じがするので,特に挿絵画家の影響力は大きいのではないかと思います。

それぞれの作品をざっと見た感じだと,やはり生年順に絵の雰囲気がレトロな感じがします(ただし,没年は若い順に早く亡くなっているようです)。個人的には,小村雪岱の挿絵の,ちょっと幾何学的な雰囲気が気に入りました。

昨年秋に3文学館のスタンプラリーに参加した時,3文豪の著作をデザインした小さなメモ帳をもらったのですが,その中の鏡花作品が『斧琴菊 』というものでした(次の写真のもので,今回の展示のポスターのメインビジュアルになっているものです。)。その装丁が雪岱によるものです。こうやって見ると,やはりデザイン的なデザインだなぁと感じます。
ちなみにこのメモ帳ですが,ちょっと小さすぎるので,なかなか使えないですね。

鏡花記念館主催のシンポジウムに参加した時,鰭崎英朋の描いた挿画の絵葉書をもらったことがあります。次のようなもので,『続風流線』という作品の口絵なのですが,これも不思議な雰囲気があります。
泉鏡花の作品については,演劇やオペラで上演されたものを何本か見ていますが,一度奮起して,原作を読んでみたいものだと思っています。

ちなみに記念館の入口に鏑木清方の作品のポスターが飾ってありました。
これは,鎌倉の鶴岡八幡宮の近くにある,鏑木清方の博物館のポスターですね。いかにも日本画という感じですね。

さて,鏡花記念館から浅野川大橋に向かう途中の橋場町交差点に,シェア型複合ホテル「HATCHI」というのがオープンしており,目を引いていました。前は仏壇店だったのですが,ちょっと気になります。

ホテルだけではなく,店やカフェもやっているようでした。今後,一度入ってみようかなと思います。
この橋場町付近ですが,最近は観光客の人通りがものすごく多いせいか,八百万本舗とか,面白そうな店が増えている感じです。

その隣にある,「禁煙室」という名前の喫茶店も昔からありますね。
写真を撮ろうとしたら, レトロなバスが店の前を通過。
位置関係がバラバラですが,鏡花記念館前の通りです。
久保市乙剣宮もすぐ傍です。
 鏡花記念館のすぐ近くの朗読小屋「浅野川倶楽部」の前には,市内の文学館のポスターがずらっと並んでいます。

浅野川もすぐ傍なので,鏡花記念館から秋声記念館まで,浅野川沿いをのんびり散歩して往復するのも,結構良い観光コースだと思います。
この日は晴れていたせいか,結構大勢の人が浅野川河川敷でのんびりしていました。実は,こういう適度な大きさの「川らしい川」というのがいちばん貴重なのかもしれませんね。

2016年3月20日日曜日

石川近代文学館で本谷有希子著『異類婚姻譚(抄)』の朗読会を聞いた後,片町・香林坊付近で本と文房具を購入。横安江町では,よこっちょ・ポッケマート

本日は石川近代文学館で行われた朗読会を聞いてきました。朗読されたのは,石川県出身の作家,本谷有希子さんが芥川賞を受賞した『異類婚姻譚』でした。
この作品については,芥川賞受賞が決まった後,雑誌『群像』で最初に発表されたものを図書館で読んでみて,面白い味わいの話だと思いました。朗読で耳から聞くとどうなるだろうと思い参加することにしました。

中編小説といっても,朗読するにはかなり長い作品ですので,今回は一部カットした形で朗読されました。朗読は,石川近代文学館での朗読会(今回で101回目なのだそうです)に過去何回か登場している横川正枝さんでした。横川さんは県内で俳優として活躍されているそうですが,本谷さんの作品に登場する主役の女性「サンちゃん」(結婚4年目の30代専業主婦)にぴったりの雰囲気の方で,小説の雰囲気が生き生きと伝わってきました。
背景に白い布を配したり,照明や音楽を入れたり,100回分のノウハウが生きていました。
ストーリーについては,読んでいない人もいらっしゃると思うのであまり詳しくは書きませんが,かなり不思議な雰囲気を持つ旦那とサンちゃん夫婦の話です。「夫婦がだんだん似てくる」という点がポイントで,ちょっとコミカルで不気味なテイストも持っています。いつ,どこの話が分からず,旦那やサンちゃンの名前もこれだけしか分からないので,抽象的なのだけども,結構平凡でリアルな日常生活が具体的に描かれているので,読者は感情移入しやいと思います。身近であると同時に普遍性もある設定といえます。

ストーリーの中心である「夫婦が似てくる」点については,サンちゃんの知人から聞いた「似ている夫婦」のエピソードが最初の方に出てきたリ,サンちゃん夫婦の間に色々な「兆候」が出てきたリ,いくつかエピソードを積み重ねた後,最後のクライマックスにつながっていきます。「~譚」というタイトルどおり,一気にファンタジーっぽくなる点が面白い点ですが,好みが分かれる部分かもしれません。

作品で描かれている,夫婦の関係については「あるある」という感じのものがいくつかありました。例えば,旦那は,最初,家に帰ったらテレビのワイドショーばかり見ているのですが,途中からは急に揚げ物作りに凝り出したり,予測不能です。意味なく何かに熱中するというのは,ありがちだと思いました。

「夫婦が似てくる」点については,サンちゃんの弟の恋人が言う「蛇と蛇がお互いの尻尾を食べ合い,最後に一体化してしまう」という結婚観(?)が象徴的に使われています。夫婦が「似てくる」状況を描く時に,「顔がゆるんで,パーツが動く」という表現を使っていたのがコミカルでしたが,妙にリアルに感じてしまいました。基本的に「一体化して自分が無くなってしまうかどうか」のせめぎ合いが現代の夫婦のあり方なのかもしれません。

この作品については,このとおり,リアルなお話というよりは,ファンタジー的な要素もあるので,中途半端に映像化するよりは,今回のように朗読をして,イメージ膨らませるのがいちばん相応しい気がしました。横川さんは,声色を使い分けたり,椅子から立ち上がって,動作を交えて朗読されていたので,演劇を観るのと近い雰囲気もありました。

小説の場合,やはり「読むのがめんどう」という部分もあるので,今回のような朗読の会というのが,個人的にはとても好きです。配布資料として人物相関図もついていたのですが,これも分かりやすかったですね。
石川近代文学館では,しばらく前には米澤穂信さんの『満願』の朗読も取り上げてくれましたが,読書離れ対策には,話題の作品の朗読会がいちばん良いのでは,という気がしました。
さてこの日ですが,朗読会に先立ち,横安江町で行っていた「よこっちょ・ポッケマート」を見てきました。
この門前市的な雰囲気が結構好きです(ただし,何も買いませんでしたが)。今回は,一箱古本市もやっていたはずなのですが....ちょっと場所が分かりませんでした。

朗読会の後は,うつのみやで本を1冊,ダイソーとロフトで文房具を購入しました。

うつのみやで買ったのは,東雅夫編『日本幻想文学大系:幻視の系譜』(ちくま文庫)です。
室生犀星の「蜜のあわれ」が映画化されたので,これが収録された文庫を買おうと思っていたのですが,ちくま文庫のこのアンソロジーに含まれていることが分かったので,「せっかくなので色々な作家の怪しげな作品が集まったものの方が面白いかも」と方針を変えました。

ちなみに泉鏡花の「化鳥」も入っています。中島敦「文字禍」という作品も入っているのですが,これは,少し前にNHK-FM「きらクラ」のBGM選手権で使われていたテキストだったことを思い出し,読んでみたくなったものです。1000円以上する高い文庫本でしたが,結構楽しめそうな気がします。

ダイソーでは,ホワイトボードノートを購入。
少し前にNHKの朝のニュース番組でホワイトボードグッズの特集をやっていたのに刺激されて,ついつい買ってしまいました。特にどう使うか考えていないのですが...。100円だとついつい買ってしまうのが,曲者です。

ロフトで買ったのは,フリクションイレーサー(100円)です。
材質的にはまさに消しゴムです。フリクションを使った読書法を編み出せないか(大げさですが),考えているところなのですが,これだと広い面を一気に消せるので,色々と使い道があるのではないか,と思います。

最後にロフトの入っている片町きららの1階の「green bar」というカフェに初めて入ってみました。
カフェで本を読むのが好きなので,30分ほどコーヒーを飲みながら,じっくりと読書をしました(先ほどの本とは別の持参した本ですが)。アメリカンコーヒーを注文してしまったのは後悔しているのですが(やはりもっと濃いのが良かった),結構ゆったりと過ごせる場所でした。

というわけで,連休の中日の午後は,結構,文学的に過ごしていました。

2016年3月13日日曜日

会員制倉庫店コストコに家族で出かけてきましたが,我が家にはすべてにおいてボリュームが多過ぎでした。

本日は,会員制の倉庫店コストコの野々市店に初めて行ってきました。一度出かけてみたかったのですが,やはり会員制というのがネックです。たまたま,親戚が会員になっていたので,本日は「その家族」ということにして,4人で出かけてきました。
屋上の駐車場から動く歩道で入口フロアへ
入口も倉庫に入る雰囲気

しかし...行ってみると,会員本人を含めて同時に入れるのが3人(子どもは数に入らないようで)ということで,1人溢れてしまいました。「会員になってしまおうか」思案したのですが,今後ずっと使うかどうかは,やはり様子を見ててみないと何とも言えないので,取りあえず私だけ外で待っていて,しばらくして後から入れ替わりで入ってみることにしました。

中に入ってみると,非常に天井が高く,巨大な倉庫を一般開放したような感じでした。売り方の単位が大きく,パッケージも大きいので,何か「ガリバー旅行記」の巨人の国に紛れ込んだ小人という風に感じてしまいました。

それにしても会員制というのは,うまい仕組みで,何か買わないともったいない,という気分になってしまいます。アメリカに来たような開放的な気分と合わさって,我が家でも思わず,あれこれ買ってしまいました。

ちょうどお昼頃だったこともあり,お腹を空かせた母親がついつい買ったのが,巨大ピザです(かこれしかサイズはなかったのですが)。勢いで買ってしまったようですが,若くない4人で食べるには多過ぎました。

ちなみに,この時,隣の席に座っていた小さな子供が,ジーッとこの巨大ピザを見ていたのがとても気になりました。どうも食べたかったようです。結局,余らせてしまい,冷えた状態で持ち帰ってしまったので,この際,「お一ついかが?」と食べてもらった方が良かったかな,とちょっと後悔しています。その他にも,1個のボリュームの大きな食べ物などを色々と買い込んでしまいました。

行ってみての感想ですが...お年寄り中心の家族の場合,そうたびたび行くことはないかな,と感じました。フロアが広く,あちこち歩き回るのも大変なので,日常品を買うだけならば,個人的には,クスリのアオキ(別にこの店だけというわけではないのですが,ポイント・カードを持っているので)ぐらいの大きさで,歩いて行けるところにある店で,必要な時に必要な分だけ買うというのが使いやすいかなと思っています。

というわけで,本日は夜まで満腹状態が続いています。