2011年10月30日日曜日

先日オープンした鈴木大拙館に行ってきました。和風タレルの部屋みたいな思索空間が気に入りました。

10月18日に本多町の北陸放送の裏にオープンした鈴木大拙館に行ってきました。ちょっと仕事にも関係しそうなので,様子を見てきたのですが,金沢市にいくつかある個人名の付いた博物館・記念館とはコンセプトが違うようで,建物自体を楽しませるような作りでした。

鈴木大拙関係の写真や書などが展示してはありますが,非常に数が少なく,広々とした余白の方が目立つような展示の仕方でした。建物の雰囲気もモダンでクールな感じなので,金沢21世紀美術館と通じるような部分も感じられました。

展示されているモノの数が少ないからといって物足りないわけではありません。こういった博物館の場合,多くのモノにこまごまと解説付きで展示されていても,いちいち読む気にならないことが多いのですが,これぐらい少ないとしっかり,1点ずつ鑑賞しようという気になります(さらに細かい説明は,「ふるさと偉人館」の方におまかせということなのかもしれません)。各展示の横にキャプションがなく,別冊リーフレットを取って説明を読む形になっていましたが,このアイデアも良いと思いました。

その少ない展示を抜けると,四角い池のような場所に出ます。その中に瞑想でもできそうな場所があります。この雰囲気は,ちょっと金沢21世紀美術館のタレルの部屋に似ていると感じました。タレルの部屋の場合,窓のない部屋の天井だけが開いていることで,安心感と開放感の両方が味わえるのですが,大拙館のこの部屋の方は,同じような四角い部屋なのですが天井にあるのは丸い窓です。部屋の周囲は水に囲まれており,さらに外側に本多の森の景色が広がっています。冬になったら寒そうですが,この雰囲気はなかなか良いと思いました。本多町周辺に出かけることは滅多になかったのですが,こんなに静かな雰囲気だとは思いませんでした。

鈴木大拙館の思索空間   
こちらは21世紀美術館のタレルの部屋
人によっては「モノ足りない」と感じる人もあるかもしれませんが,大拙館の断舎離的シンプル空間は,とても気に入りました。大拙館とタレルの部屋をハシゴするのも面白いと思うのですが,いかがでしょうか。

PS. この大拙館のロゴマークですが,QRコードみたいですね。冗談半分で,我が家のスマートフォンで読ませようとしてみたところ,「必死に認識しようとするけれどもうまく読めない」という感じになりました。機械には悪いことをしました。

日経ビジネス・アソシエ最新号付録の0.9mmのシャープペンシル。これは書きやすい。

最近はやりの,付録付きの雑誌があると,ついつい気になります。特集記事に引かれて,時々,眺めていた日経ビジネス・アソシエの最新号にも付録が付いており,どうしようか迷った末,買うことにしました。

今回の特集は「手帳術」で,付録は0.9mmのシャープペンシルでした。
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/associe/20111017/287649/

シャープペンシルの場合,頻繁に芯を折ってしまうのが嫌で,「やっぱり鉛筆の方が良い」と,最近は,素朴な世界に戻りつつあったのですが,この0.9mmという太さが気になりました。さっそく使ってみると,非常に「いい感じ」でした。

本体がプラスティックでできているので,鉛筆より軽いぐらいで,書いていてストレスがありません。シャツなどに引っかける部分(何と呼べば良いのでしょうか?)もなく,シンプルなな六角形なので,鉛筆のようにしっくりなじみます。芯の太さも丁度良いと思いました。定番の0.5mmだと,一定の太さになりますが,0.9mmだとちょっと味のある線になります。柔らかめの芯が入っていたせいか,書き味も鉛筆に近いものがあります。0.5mmのものよりも芯が折れにくいのも良いと思います。

鉛筆も好きなのですが,やはり削るのは少々面倒ですね。というわけで,このシャープペンシルがすっかり気に入ってしまいました。0.5mmのシャープペンシルならば,粗品類を含め沢山持っているのですが,これからは,この0.9mmをデフォルトで使って行こうかなと思いました。

なお,色は茶色で,Associeのロゴが入っていますが,オリジナルは,次のコクヨのジュニアペンシルです。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B004SZYQC6/tatsuo-22

手帳の方は,どうしようか迷っているのですが,これまで使ってきた,月間カレンダーと週間カレンダーが2か所に分かれているタイプをやめて,月間カレンダーにだけがある薄っぺらいものにしようかな,と考えているところです。


というわけで,結局のところ,スマートフォンでスケジュール管理というのはできていません。充電を頻繁にしないと使えない機械には,いまだに馴染めません。私ごときのスケジュールの場合,手書きで済ます方が効率的という面もあるし,やっぱり,手で書くことの方が楽しいですね。それと,記録がしっかり後に残るのも紙の手帳のメリットだと思います。

2011年10月23日日曜日

古井由吉氏の講演会を聞いてきました。秋声と読書についての含蓄のある言葉を聞くことができました。

今日の午後,金沢市立泉野図書館で作家・古井由吉さんの講演会が行われたので聞いてきました。

古井さんは,1960年代前半に金沢大学で助手を勤めた後,立教大学に移り,その後,作家として活躍されている方です。1970年に「杳子」で芥川賞を受賞されていますので,「金沢ゆかりの有名作家」ということなのですが,実は,全く作品を読んだことがありません。

今回の講演のテーマは,「秋声と私」で,徳田秋声記念館が中心となって企画したイベントでした。が,秋声の作品の方も全く読んだことがありません。今回の講演会で,この両作家の作品に親しむきっかけになれば良いかなと思い出かけてきました。

内容は,古井さんが金沢に居た時代,つまり,昭和38年の豪雪の頃の雪かきのエピソードから始まった後,徳田秋声の話に移りました。その代表作「黴(かび)」という作品に出てくる,主人公夫妻の「婚姻と所帯」の話が中心テーマでした。古井さんも秋声も,金沢から東京に移ったという点で共通点があり,古井さん自身,秋声の描写力に特に引かれていることが伝わってきました。明治時代の婚姻関係については,現代とはかなり違った感覚であることも,よくわかりました。

古井さんは,大変ゆったりと語られていました。ベテラン作家の風格十分でしたが,予定の1時間ぴったりでお話をまとめていたのはさすがでした。秋声も古井さんも,「渋い作家」なのですが,古井さんの言葉で「秋声はちょっとした言葉で描写するのが巧い」と言われると,ついつい読んでみたくなります。秋声の場合,青空文庫で主要作品は読めてしまうので,金沢が出てくるような作品からちょっと読んでみようと思っています。古井さんの作品については ,豪雪時の様子を描いた「雪の下の蟹」という作品を,まずは読んでみたいと思います。

古井さんが最後に言っていた言葉も印象的でした。読書について次のようなことをおっしゃられていました。

作品を読んで深い感銘を受けても一度は忘れないといけない。忘れるというのは,記憶の底に沈めることである。数年後にふっとよみがえり,2度目に読んだ時には,読み方が深くなっている。

私自身,物事を忘れることは,単純に「悪いこと」と思っていたのですが,「忘れなければ生きていけない。もう一度出てきた時に深くなっているからそれで良いのである」という古井さんの言葉を聞いて,気が 楽になった気がします。このことを聞いただけでも来たかいがあったな,と思った講演会でした。

2011年10月11日火曜日

本日は金沢市内の文学館めぐり。スタンプラリーでオリジナル文庫本を入手

連休の3日目も穏やかな一日になりました。今日は「金沢市内にある文学館を4館巡るとオリジナル文庫本プレゼント」というチラシに便乗して,市内観光をしてきました。金沢市内の15の文化施設にどこでも入れる1DAYパスポート(500円)というのを購入し,文学館4つを含む7施設を自転車で巡ってきました。金沢市ぐらいの適度な大きさだと,これぐらいのことが出来てしまいます。

今回は,写真を中心にご紹介しましょう。まずは徳田秋声記念館からスタート。
 1DAYパスポートを購入。2階からは,浅野川に掛かる梅の橋が奇麗に見えました。続いて東山方面に向かい,安江金箔工芸館へ。以前は別の場所にあったものが最近新築されたものです。新しくなってから来るのは初めてです。
続いては浅野川大橋を渡って,泉鏡花記念館へ。今度,池辺晋一郎さん作曲で「高野聖」をオペラ化したものが上演されます。この作品の一部を朗読したものをヘッドフォンで聞いてきました。


続いて金沢文芸館へ。ここではやはり,五木寛之さんのフロアがやはり見所でしょうか。

 
ここで昼食。これまで店の前を通ったことがあるだけで入ったことがなかった金沢カレーの店へ。ゴールドカレー武蔵店です。
実は注文したカレーと違うのに気付かず,そのまま食べてしまいました...別の席の人が「注文したものと違うけど...まあいいや」と言うのが聞こえてきて妙に焦ってしまいましたが,食べてしまったものは仕方ががありません。見るからに普通のカレーではなく,牛スジが入っていので,すぐ気づくべきでした。 それにしてもこの牛スジ入りのカレーというのは美味でした。

その後は片町・長町経由で室生犀星記念館に向かったのですが,その前に金沢市老舗記念館に行ってきました。
昔から金沢に住んでいる人には「ナカヤのコンゲンタン」と言った方が分かりやすい建物です。ここに行く前にグリル・オーツカの前を通りかかったのですが,入口前に何と行列が出来ていました。きっと観光ガイドを見て,沢山のお客さんが入っているのだと思いますが,今から25年ほど前に,この店でハントンライスをよく食べていたことがあったのですが,考えられない光景ですね。
 その近くに何気なく出ていた中古レコード店の看板です。LPレコードを大胆に使っていましたが...よくよく見ると我が家にあるLPでした(チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。リヒテルのピアノ,カラヤン指揮)。
その後,犀川を渡り,室生犀星記念館へ。新橋という橋を渡りました。この橋を渡るのはもしかしたら初めてのことかもしれません。犀星記念館で,文学館スタンプラリーは完了し,見事,記念文庫本をゲットしました。三文豪が書いた,食にまつわる随筆などが収録されていました。
ここでおしまいにしても良かったのですが,せっかくの1DAYパスポートなので,その前に犀川大橋を渡り,犀川沿いにある犀星の文学碑を眺めてから,21世紀美術館の隣の金沢能楽美術館まで行きました。

500円でこれだけ廻れましたので(自転車でないと難しいと思いますが),かなりお得な印象です。もっと頑張れば,全館制覇も不可能ではないかもしれません。 

というわけで,市内をぐるりと1周したことになります。汗はほとんどかきませんでしたが,さすがに少々疲れました。ただし,心地よい疲れといったところです。我ながら(ラ・フォル・ジュルネ金沢もそうですが),こういう「ハシゴ」企画には弱いなぁと実感した次第です。

2011年10月10日月曜日

今日は絶好の行楽日和。金沢市中心部を散策してみました。21世紀美術館→オヨヨ書林

このところの金沢は秋晴れが続いています。私の方は,あれこれ仕事関係の勉強&作業をしないといけないところではあるのですが,家の中でじっとしているのも惜しいぐらいの気候でしたので,午後からは自転車で市街地に出かけてみることにしました。

21美周辺
今日はイベントの集中日だったようで,21世紀美術館,しいのき迎賓館周辺,片町商店街...とどこへ行っても 大勢人が出ていました。21世紀美術館周辺には,フリーマーケット風の店が多数出ていたり,野外でビッグバンド・ジャズの演奏をしていたり,皆でのんびりと「まるびぃ」の誕生日を祝っていました。

出ていた店の中では「豆本」のお店が面白そうだったので手に取ってみていたところ,店主の方から名刺を頂いてしまいました。せっかくなのでサイトを紹介しましょう。「豆本工房わかい」というお店でした。
http://mameneko.com/default.aspx
http://mamehonkobo.blog.fc2.com/
 その後,竪町商店街にあるオヨヨ書林に行ってみました。「店頭の本,3冊で100円」という宣伝に釣られ,「そのうち読むだろう(=今は読まないかも)」という本を含め,6冊も買ってしまいました(200円でした)。なかなか読む暇はないのですが,こういうのにはついつい負けてしまいます。こちらのサイトは次のとおりです。
http://www.oyoyoshorin.jp/

オヨヨ書林せせらぎ通り店の外観
仕事関係の本で読んでみたい本があったので,オヨヨ書林をハシゴして,せせらぎ通り店の方にも行ってみることにしました。どちらの店も雰囲気は良いのですが,せせらぎ通り店は,古本屋にしては珍しいほどにゆったりとした広さがあり,店の中にいるだけでくつろいだ気分になります。

じっくりと書棚を見ていたら,探していた本ではないけれども,役立ちそうな本を見つけたので,こちらでは,2冊(1200円ほど)買ってしまいました。

自転車で街中を走りながら,古本屋めぐりというのも中々良いものです。「また不要なものが増えて...」と家人には言われそうですが...。